サントリーの“飲料”が主ではない“推し活”自販機が好調 売上3倍ペースで急成長
サントリーの“推し活”自販機「TAG-LIVE!LABEL」

【写真】バンドリ!やアイドルマスターも…“推し活”自販機
◆浜崎あゆみやStray Kidsら、「TAG-LIVE!LABEL」のコラボ続々 2028年には売上100億円を目標に
サントリーは、従来のグッズビジネスが抱えていた「大量生産・大量在庫・ロット制約」という版権元(ライセンサー)側の課題に着目。自販機を通じ、コンテンツのイベントや企画などの熱量が高まるタイミングに合わせて、その場でオリジナルラベル缶を作れる推し活サービス「TAG-LIVE!LABEL」を2023年より展開している。
きっかけは、2019年に開設した完全モバイルオーダー制のコーヒースタンド「TOUCH AND GO COFFEE」だった。当初はビジネスパーソンをターゲットとしていたが、若年層がボトルに「推し」の名前やカラーを入れて楽しむ「推し活」ニーズが高いという気づきを得た。
「TAG-LIVE!LABEL」は、自販機展開の急速な拡大に伴い、売上が2024年~25年で3倍、25年~26年でもさらに3倍と急成長を続けている。2026年の着地想定は数十億円規模に達する見込みだ。同社戦略企画本部課長 兼 事業推進本部新価値創造部 課長の高橋大輝氏は、次のように掲げる。
「2028年には売上100億円を超える規模まで引き上げ、将来的にはサントリーにおける新たな自販機事業の柱に育てる方針です」
近年、飲料自販機は物価高による節約志向やメーカーの補充員不足により、不採算機の撤去や事業縮小が進んでいるが、同社は新たな収益の柱として見据えている。
「結果として、社内からも非常に大きな期待を寄せられています。既存の飲料自販機では考えられないような高い売上(客単価)が立つため、自販機ビジネスにおいても、非常に大きな価値を持っています」
2023年のサービス開始以降、全国の自販機(共通機5000ヵ所、専用機400ヵ所)を活用し、これまで200以上のIPとのコラボを展開。毎月15~20ほどのプロジェクトが動いている。
「一番売れた実績では、K-POPグループのStray Kids(ストレイキッズ)さんとのコラボラベル缶です。一昨年(2024年11月~12月)に展開させていただいた際に、21万本という非常に大きな反響をいただきました。また浜崎あゆみさんは、好評により第2弾の実施も決まっています。過去のCDジャケットをラベル缶にすることで、ファンの方が懐かしさや感動を味わう体験が喜ばれました。そのほか、DREAMS COME TRUEさんなど、人気のアーティストのコラボラベル缶も展開しています」
◆アクリルカードの自販機も…推し活に特化した自販機の新サービスが続々
「TAG-LIVE!LABEL」では、6月中旬より新サービスが続々展開される。6月17日よりボタンを押すと推しの声や音楽が再生される“推しボイス自販機”を導入。その第1段として2.5次元アイドルグループ・すとぷりとのコラボレーション企画を実施。“推しボイス自販機”は、全国約100の商業施設で展開。
また、コンテンツの公式グッズを自動販売機で展開する「TAG-LIVE!MART」も新設。オリジナルラベル缶に加えて、イベントと連動した公式グッズを同時に販売する。6月30日より『アイドルマスター』シリーズの最新作「学園アイドルマスター」とコラボレーションし、完全描き下ろしグッズを全国10施設で展開。「TAG-LIVE!MART」は、来年~再来年には、現在400ヵ所ある専用機設置場所の中から絞り込む形で、100施設を目処に拡大していく計画だ。
さらに、デジタルコンテンツをその場で透明アクリルカードにオンデマンド印刷・提供する日本初となる自販機型サービス『TAG-LIVE!CARD』。『BanG Dream!(バンドリ!)』から生まれたリアルバンド・MyGO!!!!!(マイゴ)とのコラボレーションを、7月11日より実施する。2026年内に全国主要都市9施設、14台を設置。2027年中には全国で250台の展開を目指す。
◆最大の強みは“売り切れがない”…転売リスクも低く求めている人の手に渡る構造に
今回グッズやアクリルカードといった飲料とも異なる新規の自販機サービスが増えることで、補充のリソースの確保に心配はないのだろうか。
「当社の自動販売機事業会社である『サントリービバレッジソリューション』が、既存のルート配送網を活用して、『TAG-LIVE!LABEL』も一緒に補充を行います。全国津々浦々に張り巡らされたサントリーならではの強み(ケイパビリティ)を最大限に活かしたサービスとなっています」
「TAG-LIVE! LABEL」は、全国どこにでもある自販機で手軽な推し活が可能。商品化のリードタイムが短いため、話題のコンテンツやイベントに合わせて展開できるのが良い。また、ラベル缶はランダムで排出されるため、何が出るかわからない、ガチャのようなワクワクが楽しめる。一方、IP関連商品につきものの転売問題に繋がることはないのだろうか。
「転売に対する我々の最大の強みは『売り切れがない』ということです。通常のグッズ販売だと、ロットで作ったものが売り切れると再入荷までに時間がかかり、希少価値が生まれて転売されてしまいます。しかし、我々は製造のリードタイムが極めて短いため、売り切れても翌々日には補充が可能です。『お客様が求める限り供給し続ける』というスタンスをとっているため、他の限定グッズなどに比べると、構造的に転売されにくい仕組みになっています」
“飲料”メーカーが“飲料”を主としていないビジネスに、当初疑問の声もあった。しかし、主力事業となりうる勢いで販売規模を拡大している。
「今の飲料市場においても、単に『喉の渇きを癒やす』だけでなく、体験価値を伴う商品が増えています。弊社の主要飲料ブランドでもIPコラボを積極的に行っていますが、飲料がIPと組むことで、お客さまに新しい体験価値を提供していきます。また、基本的に版元様と“直接取引”を行っているケースが多いため、よりタイムリーで深い関係性を築けています。この関係性をグループ全体に繋げていけることは、大きなメリットになると考えています」
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