村田沙耶香原作×蒔田彩珠『消滅世界』“実験都市エデン”の本編映像&メイキング映像が解禁

2025/11/18 00:13 

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映画『消滅世界』(11月28日公開)(C)2025「消滅世界」製作委員会

 芥川賞作家・村田沙耶香の長編小説を実写映画化した『消滅世界』(11月28日公開)より、物語の舞台となる“実験都市エデン”の本編映像・メイキング映像・新場面写真が一挙解禁された。

【動画】映画『消滅世界』本編映像・メイキング映像

 原作は、第155回芥川龍之介賞受賞作『コンビニ人間』刊行直前の2015年に発表され、累計発行部数170万部を突破した話題作。性愛が社会から排除され、人工授精が常態化した世界で、“普通とは何か”“愛とは何か”に揺れる若者たちを描くディストピア小説だ。今年11月には村田の新作『世界99』が野間文芸賞を受賞したことでも改めて注目が集まり、国内外で映画化への期待が高まっている。

 映画『消滅世界』でメガホンを取るのは、気鋭の映像ディレクター・川村誠。初監督・初脚本となる本作で、日本映画界に新たな世界観を提示する。主人公・雨音を蒔田彩珠、夫・朔を柳俊太郎(※柳=木へんに夘)が演じる。

 心から愛し合った夫婦の自然妊娠で生まれた少女・雨音(蒔田)は、性愛のない清潔な結婚生活を望み、夫・朔(柳)以外の男性や二次元キャラクターと恋愛を重ねていく。だが、恋人を持ちながらも思うように恋愛関係を築けない雨音。それは朔も同じだった。二人は、千葉に建設された実験都市・エデンへの移住を決意する。エデンでは、選ばれた住民たちが一斉に人工授精を行い、生まれた子どもたちは住民全員の子として愛され育つ。子どもたちにとっては、大人たちは全員「お母さん」なのだ。二人にとって理想郷にも思えたエデンでの“正常”な日々は、二人のある思惑を契機に“夫婦関係”を大きく狂わせていく――。

 解禁された映像では、千葉に建設された実験都市“エデン”を訪れる雨音と朔の姿が映し出される。エデンを支配するのは「白」。住民は白い装束をまとい、施設も白一色で統一され、まるで無機質な理想郷のような光景が広がる。

 撮影に使用されたのは、神奈川県厚木市の神奈川工科大学・KAIT広場をはじめ、国内の実在建築物。川村監督の「セットを使用せずに全て現実にある建築物を組み合わせて構築する」という強い意志のもと、建築コンセプトまで吟味してロケ地が選定された。とくにKAIT広場は、建築家・石上純也氏を「人間の側から自然をデザインする方」とリスペクトする川村監督と作品世界が強く響き合ったという。

 ロケ地決定までの経緯について川村監督は、「世界観を想像させるような場所を撮影ギリギリまで探しました。KAIT広場を『公園』にすることを思いつき、建築のコンセプトなどをリサーチするにつれ、この作品に相応しいロケーションであると確信しました」と語る。

 解禁された映像でも、たくさんの子どもたちがエデンの住民として活き活きと映し出されるが、「“子どもちゃん”たちが走り回る姿を見た時、自分のイメージしていたエデンが立ち上がってくる感覚があった」と、川村監督の脳内のエデン像と完璧に重なっていたことが伺える。

 メイキング映像では、子役たちが「お母さん!」と駆け寄り、管理人(眞島秀和)が両手を広げて迎えるシーンも収録。エデンでは、生まれた子どもたちは住民全員の子として育てられ、誰もが「お母さん」になる設定だ。朔は戸惑いつつも、「一緒に遊ぼうね」とエデンならではのルールを受け入れようとするが、雨音は「無責任に可愛がって、飽きたら家に帰るって、何だか猫カフェみたい」と、まだ違和感が拭えない――。

 これらのシーンは、本編でも極めて重要で印象的な場面として描かれる。ストーリーはこの後、二人が思いもよらぬ事態に陥る展開を見せていくが、どういったシーンにつながっていくのかは――続きは劇場で確かめたい。


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