桑田佳祐、映画主題歌を“口笛バージョン”に 『盤上の向日葵』重要シーンを再編集する異例の展…

2025/10/03 07:49 

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映画『盤上の向日葵』(10月31日公開)主題歌「暮れゆく街のふたり」を担当するサザンオールスターズ

 俳優・坂口健太郎主演の映画『盤上の向日葵』(10月31日公開)を彩るサザンオールスターズの主題歌「暮れゆく街のふたり」に、新たな展開が加わった。当初はエンドロールのみで使用される予定だったが、桑田佳祐が本作のために“口笛バージョン”を新録。物語の重要な場面で劇中曲として流れることが決定した。桑田が提供した主題歌を劇中用に特別アレンジするのは今回が初めてとなる。

【動画】記事内で紹介している映画『盤上の向日葵』主題歌特別映像

 きっかけは、楽曲制作時に桑田が“仮歌”として吹き込んでいた口笛だった。昨年、映画の製作陣は「切なさや哀しさ、愚かさも含め、必死に生きていく人間たちへの応援歌がほしい」と、主題歌をサザンオールスターズに依頼。完成直前の本編を見た桑田は楽曲提供を快諾し、最新オリジナル・アルバム『THANK YOU SO MUCH』のために制作を進めていた楽曲のひとつ「暮れゆく街のふたり」が主題歌に決まった。

 さらに、作詞・作曲をした桑田が、楽曲制作に着手した当初、“仮歌”として歌ではなく口笛を吹き込んでいた、という裏話を聞いた製作陣は、主題歌チームと相談しつつ、「口笛を本編に活かすことは出来ないか?」と、完成させたばかりの映画を編集し直す大胆な決断を下す。

 物語の中盤、生き方を模索していた主人公・桂介(坂口)が、故郷にも通ずるような向日葵畑で亡くなった母を思い出す。ふと現実に立ち戻ると、そこには別の女性の姿が。それが農園で働く奈津子(土屋太鳳)との、そして新しい生き方との出会いだったという大事な場面を再編集。当初は無かった映像を織り交ぜ、“口笛バージョン”を流すという構成を相談したところ、桑田もこの再編集版に賛同。全国ツアー中に“口笛バージョン”を改めて録音し、映画のためだけの特別バージョンが誕生した。

 桑田はかつて、自身が監督した作品である『稲村ジェーン』(1990年)で映画の劇伴を手掛けたことがあるが、今回の“口笛バージョン”のように主題歌として提供した楽曲を、映画の劇中曲として特別にアレンジすることは初。桑田と映画製作チームの“セッション”ともいうべき異例の展開が、スペシャルな映画用オリジナルバージョンを生むこととなった。

 桑田は自身のラジオで「仮歌を口笛でやっていたんですが、『これがいい』という話になりまして、ツアー中に入れ直しました。それが向日葵畑のシーンで使われます」と経緯を明かし、「また劇場で観ようと思います」と期待を込めた。

 熊澤監督も「別バージョンの楽曲を特別に作っていただけることは、普通はないとのこと。映画の中でポイントになる、主人公の決断をこの曲で盛り上げることができたのは、大変うれしいことでした」と感謝を語っている。

■「主題歌特別映像」も公開

 あわせて、主題歌をフィーチャーした「主題歌特別映像」も解禁された。貧しいながらも優しかった頃の父との思い出、つらく孤独な少年時代に、将棋だけではなく人のぬくもりを教えてくれた恩師との日々。そして東明(渡辺謙)に連れて行かれた雪深い東北地方への旅打ち。盤上に現金が飛び交う真剣師たちの息詰まる戦いに引き込まれる桂介。死体とともに発掘された将棋の駒「菊水月」の謎を追う刑事たち。桂介を案じ、思い悩む奈津子の姿――新規映像も盛り込まれた2分間の映像だ。桑田の歌声が切なさと温かさを帯びて響き、「何があっても生き切るんだ!」という力強いメッセージを伝える仕上がりとなっている。

 また、解禁となった「主題歌特別映像」を60秒にカットダウンしたものが、本日(3日)から10月30日まで、全国のSMT系映画館で幕間上映される予定。


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