綾瀬はるか、宇多田ヒカル、高橋留美子らの“推し本”に反響、SNS時代に再評価された“帯推薦…

俳優にアーティスト、クリエイターなど豪華著名人80名が推薦文を寄せた「ハヤカワ文庫の80冊」フェア(C)oricon ME inc.

【画像】綾瀬はるか、宇多田ヒカル…著名人の”推し本”&”推しコメント”
■読書体験が反映された真の“推しコメント”を集めた大型フェア
「ハヤカワ文庫の80冊」フェアは、早川書房を代表する80作の文庫に80名の著名人が“帯推薦”を寄せた企画だ。綾瀬はるか、宇多田ヒカル、高橋留美子のほか、青山剛昌や庵野秀明、小島秀夫、新海誠、宮崎駿などの映像・漫画関係者、冲方丁、西加奈子の作家陣、そして大泉洋、太田光、佐久間宣行、岡田斗司夫、東浩紀といった多方面で活躍する著名人が名を連ねる。
企画の狙いについて、同社営業部の鈴木愛加さんは、80周年だからこそ普段とは違う大規模なフェアを開催したいと考えたという。「70周年は復刊企画でしたが、この10年で“帯推薦”の力が格段に強まった実感があります。熱量のある推薦文は読者の心をつかみ、売上に確かな効果をもたらします。そこで今回は80名の著名人にご協力いただき名作を紹介することにしました」。
編集部では ハヤカワ文庫推しの著名人を探し出すため、地道にリサーチを重ねた。「宇多田ヒカルさんの愛読書のひとつが『アルジャーノンに花束を』であること、宮崎駿監督は『飛行士たちの話』から「紅の豚』の着想を得たこと、高橋留美子さんが連載休載中にアガサ・クリスティーを全作品読破していたこと…そうした逸話を丁寧に掘り起こしました」(SFマガジン編集部・金本菜々水さん)
ハヤカワ文庫推しの著名人の熱意は思わぬエピソードを生んだ。青山剛昌氏は『シャーロック・ホームズの冒険〔新版〕』を推薦するにあたり、自ら申し出て帯に“ホームズ風自画像”の直筆イラストを添えた。同じように、今井哲也氏も『裏世界ピクニック』を推薦する際に、自らイラストを描いた。「『シャーロック・ホームズの冒険』は“名探偵コナン”ファンにとっても垂涎の帯になりました。青山先生も今井先生も単なる一読者としてではなく、クリエイターとしての敬意と愛情を表現したかったのだと思います」(書籍編集部副部長・清水直樹さん)
また、爆笑問題の太田光は、自身の事務所名「タイタン」の由来となった『タイタンの妖女』を、「今までに出会った中で最高の物語」と熱く語り、綾瀬はるかは、実写化に関わった『わたしを離さないで』を「私にとって宝物」と力強く推薦した。
つまり、今回のフェアは、推薦者自身の思いや読書体験が反映された“推しコメント”が“帯推薦”となることで書籍の持つ魅力を引き立て、多くの反響につながった。
■フェアきっかけで「#私の本棚の早川書房ベスト約8冊」の動きも
フェアはSNSとの相性が良く、投稿の拡散でも注目を集めた。「岡田斗司夫さんや東浩紀さん、佐久間宣行さん、けんごさんなど、SNSで発信力のある推薦者のおかげもあり、熱が一気に拡散しました」(書籍編集部副部長・清水直樹さん)
特に象徴的なのは、「#私の本棚の早川書房ベスト約8冊」という自主的なハッシュタグ運動だ。公式とは無関係に、一般読者が自宅の本棚を撮影して投稿し合うことで、ハヤカワ文庫愛が可視化されるムーブメントとなった。
書店での販売動向にも影響が現れた。丸善丸の内本店の玉井佐和さんは、「高橋留美子さんや青山剛昌さんが帯に登場することは滅多にない。宮崎駿さんの推薦帯が巻かれた『飛行士たちの話〔新訳版〕』は特によく売れ、平積みにしない銘柄も動いたのが印象的」と述べる。
また、玉井さんは「以前から“この人の帯は売れる”という実感はあったが、現在はSNSでの一般読者のコメントの方が影響力を持つ場合もある。正直な言葉が共感を呼び、人を動かしている」と指摘する。
購入動機は「誰が推すか」だけでなく、「どれだけ本音か」が重要になりつつある。過去には、小説紹介クリエイター・けんごがTikTok・YouTubeで紹介した『アルジャーノンに花束を〔新版〕』が累計1000万回再生を突破し、売れ行きに直結した。『未必のマクベス』も同様にSNSの火種から大ヒットした事例だ。
SNSの普及により、人々は「本音」を自由に語れるようになった。その中で「好きだからこそ語る言葉」が重視されるようになっていると言えるだろう。
■「好きな人が語る言葉には、人を動かす力がある」
同社の金本菜々水さんはフェアを通じて「読者から学ぶことも多かった」と振り返る。「たとえばフィリップ・K・ディックの古いカバーを“これが一番好き”と大切に読む方もいれば、新装版で手に取って面白さを知った若い読者もいる。帯推薦も同じで、古くからのファンも新しい層も共感できる言葉を探る必要があるのだと痛感しました」
つまり、同じ作品でも世代によって入り口が異なり、その“多層的な読書体験”を前提に企画を設計しなければならないということだ。
その裏づけを、現場の書店員も感じている。玉井さんは「注目されるコメントには、今の空気感を掬い取り、なおかつ正直な気持ちがこめられています。それが、目にした人達の共感を呼び、人の心を惹きつけるのだと思います。」と証言する。
また、鈴木愛加さんは課題として「40代以上が中心のハヤカワ文庫などの読者層をどう若い世代に広げるか」と指摘。TikTokで80作品を紹介したものの「若者が好む映像演出の知見が不足していた」と率直に語る。一方で、宇垣美里氏が推薦した『わたしたちが光の速さで進めないなら』のように若い女性層に支持を得た作品もあり、これらは海外文学やSF・ミステリーファンの若返りの兆しを見せている。実際、「小説家になろう」発のミステリー系ライトノベル『誰が勇者を殺したか』(角川スニーカー文庫)が、『このライトノベルがすごい!2025』で新作部門第1位、文庫部門第2位をそれぞれ獲得するなど、若者にもミステリーの面白さが見直されつつある。
最後に書籍編集部副部長の清水直樹さんは、「好きな人が語る言葉には、人を動かす力がある。著名人の推薦も一般のSNS投稿も、その点では変わらない。その“生の声”が帯推薦文化を再び息づかせたのではないか」と語り、言葉の力を強調した。
(取材・文/衣輪晋一)
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