「エアコンのカビ」アレルギー?咳や鼻水、慢性化や悪化のリスクも…暑さ落ち着いた今こそ注意

2025/09/29 09:10 

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咳や鼻水、原因はここに?

 この夏、猛暑でフル稼働したエアコン。暑さが和らぎ出番は減ってきたものの、放置しておくと意外な健康被害を引き起こすことも…? 原因は、エアコン内部のカビによるアレルギー。呼吸器のみならず、目や肌、自律神経にまで影響を及ぼし、症状の悪化や慢性化を招くこともあるという。とくに子どもや高齢者、アレルギー体質の人は注意したいカビへの対策をクリニックフォア総合内科の古田みのり先生に聞いた。

【画像】大変だ…エアコンの中は今こんな感じ(恐怖)

■秋こそ要注意、鼻や喉だけではない肌トラブルや全身症状も

──エアコンのカビが原因のアレルギー症状があると聞いたのですが。

 「エアコンの使用頻度が減る秋頃、エアコン内部は、カビが繁殖しやすい温度(20~30度)や湿度になります。そこから放出されるカビの胞子を吸い込むと、健康リスクが生じる可能性があります」

──どんな健康リスクがあるんですか?

 「まず鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、喉の違和感、声枯れ。長引くと気管支炎や喘息を悪化させることがあります。目に出る症状では、かゆみや充血、涙目などで、アレルギー性結膜炎が悪化することもあります。湿疹やアトピー性皮膚炎の悪化、かゆみ・乾燥など肌のトラブルも起きやすく、全身症状として、だるさや頭痛、カビ臭による不快感から自律神経の乱れが出る人もいます」

――どんな人が症状が出やすいですか?

 「例えばお子さんは、気道が細くて症状が出やすいので注意した方がいいでしょう。次に、体力や免疫力が低下しがちな高齢者の方々。アレルギー体質の方も注意すべきです。喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の方、慢性副鼻腔炎やアトピーの方は特に症状が出やすく悪化しやすいため注意が必要です」

――カビによる体調不良の原因としては、カビの“毒素”というより“胞子”=アレルギー源が主体なのでしょうか?

 「はい。胞子そのものがアレルゲンとなり免疫反応を誘発し、アレルギー症状を引き起こします。エアコンを使用した際に鼻水や喉の違和感、顔面のかゆみなどが悪化、これらが繰り返し起きます。もともとカビアレルギーの方や喘息の方が秋に症状が強くなる場合には、カビの影響を疑っていただければと思います。今年はまだ暑さが続いているので、9月~10月よりも後に発症する可能性もあると思います」

――エアコンのカビが原因だと気付かず放置していると、どのような影響がありますか?

 「鼻水・鼻づまりが続くと慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎に移行したり、長引く咳や頭痛、喘息などの症状が悪化し慢性化してしまうことがあります。風邪や新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、花粉症(秋花粉)、喘息、気管支炎などと症状が似ているため、カビによるアレルギー症状だと気付かずに慢性化してしまう方も少なくありません。エアコン使用時に症状が悪化する場合は、カビアレルギーを疑って早めにエアコンの清掃や、医療機関への相談をおすすめします」

――対策としては、やはりエアコンの掃除が効果的でしょうか?

 「そうですね。フィルター掃除をこまめに行うほか、内部ユニットはプロの方にお願いするのもいいでしょう。夏にフル稼働したエアコン内部に湿気と汚れがたまり、カビが繁殖しやすい時期となりますので、夏の酷使直後(初秋)に内部+フィルター洗浄し、暖房が本格稼働する前(晩秋)にも点検することをおすすめします。エアコン使用時に症状が悪化・反復するなら、シーズン途中でも即清掃を行うのが良いでしょう」

――カビというと、エアコン以外も気になりますが…。

 「浴室、押し入れ、台所、畳、ラグなどは湿気やほこりが溜まりやすいので、換気+除湿+水拭きを心がけてください。空気清浄機を利用するのもいいと思います。またカビだけでなく、秋口は秋花粉やダニの死骸・フン、ペットの抜け毛などもアレルギー源となるので注意してください」

――カビアレルギーが疑われる際の、受診の目安を教えてください。

 「エアコン使用時に症状が出る・悪化する、同じ不調を繰り返す、3週間以上の咳・鼻症状、ゼーゼーとした息苦しさ・高熱が出る…といった場合は、医療機関への受診を考えてください。お子さんや高齢者、喘息持ちの方は、早めの受診が望ましいです」

――どのような治療を行うのでしょう。

 「アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬という飲み薬や、アレルギーを抑える点鼻薬、点眼薬が中心です。また、咳の症状が強い場合は、薬と吸入薬という咳を抑えるための口から吸うタイプのお薬を使うこともあります。オンライン診療でも診察の上でお薬の処方ができますので、悩んだ際はまずお気軽に医師へご相談ください」


【監修】
古田みのり
群馬大学医学部を卒業後、臨床研修を経て群馬大学医学部附属病院脳神経内科に入局。神経変性疾患を中心とした診療・研究に従事。その後、プライマリケアに興味を持ち、現在はクリニックフォアで主に総合内科、皮膚科のプライマリケアを行っている。

(文:衣輪晋一)
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