ぴあ、初開催の“エンタメ業界特化”就活イベント4000人来場の盛況 チケット仕入営業担当者…

2025/09/19 18:03 

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平日の初回開催で4000人が来場した『~ぴあpresents~ エンタメ業界研究フェス』(横浜・ぴあアリーナMM)

 ぴあがエンタメ業界に特化した就活イベント『~ぴあpresents~ エンタメ業界研究フェス』を、9月8日に横浜・ぴあアリーナMMで初開催した。テレビ局、映画、音楽、芸能、ライブ、映像制作、出版、広告、舞台、運営・技術会社までエンタメ企業44社が出展。平日の初開催にもかかわらず、同社の想定の2倍にあたる約4000人の学生が来場し、にぎわいをみせた。エンタメ企業を横断したこれまでにない大規模な就活イベントを取材した。

【写真】エンタメ業界を志す学生たちに特別講演を行う佐久間宣行P

 本イベントは、エンタメ業界に興味のある学生(2026年3月以降に大学・大学院・短大・専門・高専などを卒業・修了予定の学生)を対象にした合同企業説明会。多様なエンタメ企業とのかかわりが深い同社らしく、出展企業は放送局や音楽レーベル、芸能事務所のみならず、普段はなかなか知る機会の少ない制作会社、音響・照明、映像技術、舞台美術、広告・運営など、幅広いジャンルの企業と学生たちが出会える機会を創出した。


■『~ぴあpresents~ エンタメ業界研究フェス』出展企業一覧

ぴあ/ソニー・ミュージックエンタテインメント/ワタナベエンターテインメント/ホリプロ/東宝/松竹/東京ドーム/テレビ朝日/ポニーキャニオン/サンリオエンターテイメント/テレビ東京/集英社/ビクターエンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス/テレビ朝日映像/エイベックス/KADOKAWA/オリエンタルランド/共立/シアターワークショップ/インターナショナルクリエイティブ/CHホールディングス/シミズオクト/共同テレビジョン/ロッキング・オン・グループ/映像センター/東京テアトル/コングレ/JCOM/テイパーズ/エクシング/バップ/フロンティアインターナショナル/ソラジマ/読売新聞社/A-1 Pictures/Clover Works/劇団四季/エッグマン/LDH JAPAN/ベネリック/タウンニュース社/毎日新聞社/トムス・エンタテインメント


 ぴあアリーナMMのアリーナに設けられた34社の企業ブースは学生たちであふれ返り、東宝、サンリオ、ホリプロ、集英社、ソニー・ミュージックグループ、ポニーキャニオン、テレビ朝日、松竹、東京ドーム、テレビ東京の10社が行った個別セミナーもぎっしり席が埋め尽くされた。各企業が自社の強みをアピールする声にも力が入り、学生たちは真剣な眼差しで企業担当者のリアルな話に耳を傾けながら熱心にメモを取る姿も。このイベントへの参加を必修とした学校もあったという。

 特別講演エリアでは、元テレビ東京プロデューサーで現在はフリーのテレビプロデューサー・佐久間宣行氏や、スタートアップファクトリー代表の鈴木おさむ氏、音楽ジャーナリスト・鹿野淳氏、モーニング娘。OGの譜久村聖、石田亜佑美らのトークショーも行われ、いずれも盛況だった。

■兼務がきっかけで6年越しに叶えた「ぴあ×採用」

 今回初開催となったエンタメ業界に特化した就活イベントは、ぴあのライブエンタテイメント部 兼 コンテンツ開発部の熊田(くまた)ゆり子さんが企画した。2019年に中途入社し7年目の熊田さんの主務は、ライブエンタテイメント部でのチケット仕入営業。主にテレビ局やラジオ局などのメディアを担当しているが、2024年にコンテンツ開発部に兼務となったことが今回の企画のはじまりだった。

 「コンテンツ開発部のミッションが平日のぴあアリーナMMを稼働させる自主企画を考えるという部署で、そこで提案したのが“エンタメ×採用”いう企画でした」(熊田さん)

 企画した理由の一つは、エンタメ企業の人手不足が顕著になっていること。「昨今、新会場のオープンやイベント数は増加傾向にありますが、舞台裏を支える技術スタッフから、現場で活躍する表現者、企画運営を担うプロデューサーに至るまで、あらゆる分野で人材の確保・育成が喫緊の課題となっています。エンタメは人の手によって創られる産業です。だからこそ、未来を担う人材を見つけ、育てていく場が今こそ必要だと感じ、本イベントを企画しました」と説明する。

 また、もう一つの理由が、熊田さんはぴあ入社前に人材系の会社に勤務していたこと。ぴあの最終面接前のエントリーシートにも「採用×ぴあ」のイベントを作りたいと書いていたといい、「偶然にも6年越しにやりたいと思っていたことがやれる機会をたまたま兼務先で実現できました」と明かす。

 しかし、熊田さんはこれまでに就活イベント実施の経験はなく、ぴあもさまざまなエンタメ企業との取引があるとはいえ初めて取り組む分野とあり、「右も左もわからないまま手探り」状態からのスタートだった。まずは、前職のつてやリクルート系の企業を訪問し、ヒアリングしながら企画の骨子を固めていった。

 企業への出展交渉は、普段ライブイベントでやりとりしている企業に人事担当者を紹介してもらい、1社1社足を運んで企画を説明し、アドバイスや意見を取り入れながら具現化していった。社内のさまざまな事業部の担当者も取引先に相談に行って出展社を募り、ぴあアリーナMMの事業部は会場を手配。人事部も全面的に協力し、こうした全社規模の取り組みによって、多様なジャンルのエンタメ企業44社が出展することになった。

■来場者は想定2倍の約4000人 夏フェスのような恒例化を目指す

 当初の目標は、事前予約3000人、実来場者2000人。しかし、実際には約6000人のエントリーがあり、実来場者は想定の倍となる約4000人にのぼった。

 来場した学生からは「エンタメ業界という就活していても、なかなかこんなにフォーカスしてくれるイベントがないのでとても勉強になった」「知りたかったジャンル、自分はあまり知らなかったジャンル、さまざまなことを知ることができてすごく有意義な時間でした」「普段知らなかった会社様の魅力を知ることができて、自分に合った会社が新たに見つかったことがうれしい」といった声が寄せられたという。

 また、参加企業の担当者も「想像以上の集客でエンタメ志向のある学生に会うことができました」「興味関心を寄せてくださる学生さんがこんなにおられる、ということを認識いたしました」と、熱意ある学生たちとの出会いを喜んでいたという。

 「エンタメ業界の魅力や仕事のリアルをより多くの学生に知っていただくと同時に、業界全体で人材育成に取り組むきっかけになれば」と期待してイベントを立ち上げた熊田さんは「双方にとって有意義なイベントとなり、エンタメ業界の将来につながっていたらうれしいです」と手応えをにじませる。

 出展企業からは早くも「次回も出展したい」との声もあがっているという。熊田さんは「まだまだブラッシュアップできるところがありますので、次回はさらに皆様にとってより有意義なイベントとなるように主催者一同努めてまいります。そしてエンタメ業界を目指す学生にとって、このイベントが第一歩となることを目指します」と目標を掲げ、「夏フェスのように定期的に開催できれば」と夢が広がっている。
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