Suchmosが帰ってきた 5年8ヶ月ぶりのステージで放った“らしさ”と成熟【ライブレポー…

Suchmos、単独公演『Suchmos The Blow Your Mind 2025』を大盛況で終了

【ライブ写真多数】待望の復活を果たしたSuchmosの サポートベーシストの山本連のソロショットも
■新たなメンバーで「STAY TUNE」
ライブは薄暗い照明の中、静かに始まった。キーボードのTAIHEIが奏でる切なげなエレクトリックピアノの音色に導かれ、1曲目の「Pacific」がゆっくりと幕を開ける。歓声というより、押し寄せたのは感動のため息のような空気だった。徐々に音を重ねていくイントロに、Suchmosが戻ってきたことを実感する。そしてYONCEの歌い出しとともに客席から自然と歓声がこぼれ、復活を待ちわびたファンの想いが音に重なっていった。
2曲目の新曲「Eye to Eye」では、YONCEがエモーショナルな動きと「横浜カモン!」というシャウトをみせると手拍子が広がり、彼らの復活を祝福するような一体感が生まれた。続く「DUMBO」では、ギターのTAIKINGがエモーショナルにファンに向かってギターをかき鳴らすと、照明が全開に。大歓声が起き、その熱量を保ったままバンドは代表曲「STAY TUNE」へと突入した。
「STAY TUNE」では、お馴染みのギターフレーズが炸裂するイントロから会場のテンションが跳ね上がる。そしてドラムのOKとベースの山本連がタイトなリズムを刻み、YONCEはステージを縦横無尽に動き回る。新たなメンバーでの「STAY TUNE」は、音のまとまりと大人の余裕をまとい、新たなSuchmosを象徴するような洗練されたグルーヴを響かせた。続く「808」ではレーザー演出が加わり、山本とTAIHEIのソロ、DJのKaiki Oharaによるスクラッチが次々に展開され、Suchmosらしいスリリングな生演奏の応酬に客席は揺れた。
今回のライブで存在感を放っていたのが、2021年に逝去したHSUさんに代わりサポートとして参加した山本だ。数々の世界的ミュージシャンを輩出するバークリー音楽大学出身で、さまざまなバンドやセッションでグルーヴィーなプレイを見せる彼は、HSUさんが支えてきたSuchmosのグルーヴを引き継ぎながら、シンプルかつ深いノリで楽曲を引っ張っていく。ラフなTシャツを着てクールに演奏する姿も、Suchmosの世界観と実にフィットしていた。
■新たなSuchmosを打ち出した新曲
「ただいま!帰ってきました!」というYONCEのMCに続いて「PINKVIBES」「Burn」「Alright」が披露される。生々しい演奏のなかで、TAIKINGのコーラスも鮮やかに響き、藤井 風のサポートも務める彼の楽しそうなプレイやコーラスもこのバンドに欠かせないことを改めて印象づけた。
YONCEが「どんどんやっていきます!」と告げて「MINT」へ。明るく爽やかなグルーヴに観客のシンガロングが重なり、YONCEの歌声も会場全体に響きわたる。そんな彼が“帰ってきたよ 横浜に”とフェイクで歌えば、大きな歓声が返ってきた。
そして、バンドの新たな幕開けを伝えた先行配信曲「Whole of Flower」と、同じく新曲の「Marry」が披露された。「Whole of Flower」は随所で遊び心を感じさせる演奏を見せながら温かな世界観で会場を包み、「Marry」ではYONCEがアコースティックギターを弾きながら歌唱。命を分け合って生きていきたいという想いが込められたフォーキーな結婚ソングで、新たな表現を打ち出した。
■HSUさんへの想い「失ったものは帰ってこない。だからずっと覚えていたい」
「OVERSTAND」では、YONCEのボーカルが熟練の域に達していることを改めて感じさせた。歌唱・演奏からは余裕がうかがえ、大人のバンドとしての説得力が凝縮されていたステージだった。曲が終わりYONCEが「みんなこういうのが好きなんですか?俺たちはこういうのが大好きなんですよ。今日は名前だけでも覚えて帰って。対バンも募集してます!」と語ると、場内は大きな拍手と笑いに包まれた。
そして、メンバーの掛け声とともに始まった新曲「To You」は、ブラス音がうねるファンクロックナンバー。同じく新曲でクラビネットが炸裂する「Latin」は、終わったかと思わせて再び始まる構成で、フロアの熱気をさらに上げた。曲中、YONCEが「きのう22時に寝て、きょう6時に起きちゃって、1時間早く横アリ来たらさすがにこの場所に飽きてます」と笑いながら話すと、メンバーが一斉に爆笑。まるで友達との会話のようなラフさに、会場も和やかな空気に包まれた。
MCで力が抜け、メンバー全体がさらに楽しそうな表情を見せる中、「GAGA」ではYONCEがステージを離れて客席側まで歩み寄り、一体感を演出。続く「VOLT-AGE」では、ダークで重厚なサウンドが響き渡り、張り詰めた空気の中で楽曲の世界観を再現した。幻想的な余韻が漂い、本編が締めくくられたかと思いきや、ラストは「YMM」。ここでも山本のベースソロがフィーチャーされ、Suchmosの復活における彼の重要性が際立った。
アンコール前、YONCEは「出番前までヘラヘラしてて、ステージに立って愚かさに気づきました。こんなに大事な人たちを何年も待たせてしまった」と語り出し、2021年に亡くなったHSUさんへの想いを静かに口にした。「失ったものは帰ってこない。だからずっと覚えていたい」と話したあと、「目を瞑って深呼吸しよう」と優しく呼びかけるYONCEの声が、会場に沁みわたる。追悼の沈黙が共有されたのち、「クソ馬鹿な友達に捧げます」と前置きして「Stand By Mirror」へ。山本のベースがスクリーンに大きく映し出される演出が胸を打った。
ラストを飾った「Life Easy」では、YONCEが「自分のために生きよう 楽しい うれしい 悲しいけど 新しい場所で生きていきたい」とシャウトし、その言葉が力強く響く。エモーショナルに終演へ向かいながらも、最後は“トン”という軽いバスドラムの音とともにラフに幕を下ろした。最後まで、少し斜に構えたSuchmosらしいライブだった。
YONCE、TAIKING、TAIHEI、Kaiki Ohara、OK、そして山本連。6人のSuchmosが鳴らした音は、あの頃のままにクールで、熱く、そしてさらに深くなっていた。「朗報があります。全国ツアーとアジアツアーをやります」と告げたYONCEの言葉どおり、Suchmosは新たなスタートを切ろうとしている。7月には新作EP『Sunburst』のリリースも控える。Suchmosの新章が、ここから始まる。
■セットリスト(2026.06.21)
M01. Pacific
M02. Eye to Eye
M03. DUMBO
M04. STAY TUNE
M05. 808
M06. PINKVIBES
M07. Burn
M08. Alright
M09. MINT
M10. Whole of Flower
M11. Marry
M12. OVERSTAND
M13. To You
M14. Latin
M15. GAGA
M16. VOLT-AGE
M17. YMM
<アンコール>
En1. Stand By Mirror
En2. Life Easy
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