「法廷に全員黒スーツ」はチャレンジだった 『イグナイト』スタイリスト・大友洸介が語る衣装の…

2025/05/02 13:00 

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金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』の場面カット(C)TBS

 俳優の間宮祥太朗が主演を務める、TBS系金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』(毎週金曜 後10:00)。スタイリッシュでダークな世界観が話題の本作。衣装を手がけるのは、若くして数々の映画やドラマでスタイリングを担ってきたスタイリストの大友洸介さんだ。キャラクターに寄り添いながら、リアリティとファッション性を両立させた衣装づくりの舞台裏について語ってもらった。

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■スタイリッシュな法廷チーム、黒のスーツに込めたメッセージ

――本作の衣装全体で意識したコンセプトは?

スタイリッシュにしたい、というのが一番でした。特に印象的なのが、法廷に向かう際に全員が黒いスーツを着ている点。ちょっとチャレンジングな提案だったんですが、衣装合わせをしてみたら想像以上にカッコよくて。いわゆる“ダークヒーロー”感があって、今作の雰囲気にぴったりでした。

――従来の弁護士が登場するドラマとはちょっと違う雰囲気ですよね。

一般的には、弁護士といえば白シャツにネクタイというイメージが強いですが、今回はその「常識」から少しはみ出して、画としての統一感と強さを意識しました。普通なら色味や柄でキャラ分けするところですが、今回はそこをぐっと抑えて。唯一、間宮祥太朗さんが演じる主人公の宇崎凌だけは赤をテーマカラーにしてネクタイに反映しています。

――宇崎の衣装については他にどんなこだわりがありますか。

宇崎は裕福な設定ではないため、あまり服を頻繁に変えないんです。また、もともと格闘技をやっていたこともあり、ワイルドで男臭さがあって、必要最低限のもので生きているという印象でした。その方向性で衣装を集めていたら、たまたま間宮さんが普段から着ているブランドと重なったんです。ご本人からも「普段から着ている服だからしっくりくる」と言ってもらえました。

■バイク女子・伊野尾の衣装はリアルを追求

――上白石萌歌さん演じる伊野尾麻里の衣装で意識した点は?

本作において、カラーを出すのは伊野尾の見せ場だと思っています。明るい色を取り入れて、事務所のムードメーカーらしい印象に仕上げました。

もう1つ、伊野尾はバイク女子ですが、まず“バイク乗り=ライダースジャケット”という固定観念を打破したかった。僕自身バイクに乗るので分かるんですが、ライダースジャケットって実はあまり実用的じゃない。風は通さないけどそこまで温かくないし、ゴワつくし、動きづらい。ライダースジャケット以外のアイテムでも、バイクファッションを楽しめるというところもチェックしてもらえるとうれしいです。

――上白石さんからも「衣装がおしゃれ!」と好評だったとか。

上白石さんはどちらかといえば優しい雰囲気の洋服が好きみたいなんですけど、原監督から“バイク乗りとしてのリアルさがほしい”という要望がありました。なのでバイクに乗るときにも邪魔にならないように、普段からショルダーバッグを使用していたり、スカートやショートパンツをはじめ、あまりにワイドすぎるボトムスは避けたりと細かく調整しています。

――その他、キャラクターごとのスタイリングの工夫は?

仲村トオルさんが演じる、ピース法律事務所の代表・轟謙二郎は仕事人間なので、服には無頓着な設定です。ネクタイ3本、ループタイ1本を使い回し、シャツも着の身着のままで「アイロンしてない」と娘から注意されるようなリアルさを持たせています。ただ、原監督の提案でサスペンダーを取り入れていて、ヴィンテージ感あふれる事務所の雰囲気ともマッチしています。

一方、三山凌輝さんが演じる高井戸斗真は今どきの若者というイメージで、他の男性陣がベーシックな分、遊び心をいれています。さらにDJのシーンではド派手にしてギャップを出しています。具体的にはDJということで音楽やアートに敏感という点を衣装にも反映させ、ストリートファッションやロック、ヒップホップスタイルなどを着こなしてもらっています。

ちなみに、轟はいつも手ぶらです。このご時世にもかかわらず”下っ端がカバン持ち”をするっていう感覚といえばいいでしょうか(笑)。

高井戸もカバンは法廷に行く時しか持ってないですし、手ぶらが多い。宇崎もリュックですしね。だからこそアクティブに動けるんです。

■動きやすさと耐久性――アクションに対応する衣装づくり

――アクティブといえば、アクションシーンも多い本作ですが、他にも工夫は?

TPOに合わせたスタイリングを意識しつつなのですが、たとえば第1話でいうと宇崎が山上工業に行くと決まっている日はセットアップにしています。そのセットアップも、アクションシーンを見越して、スニーカースタイルにしていました。

――普段から動きやすさを重視しているんですね。

宇崎のスーツは、ストレッチが利いていて動きやすい仕様になっています。セットアップのスタイリングで、見た目もカジュアルを抑えつつ、アクションにも対応できるようにしています。

これはケガの功名ですが…第1話の工場のアクションシーンは、当初アウターは着用せずにアクションをする予定でした。なので1着しかなかったBarbourのコートが泥だらけになってしまって焦りました(笑)。オイルジャケットは洗えないですし、色落ちしてしまって心配だったんですが、結果的に“ダメージっぽさが加わって宇崎らしい”と間宮さんも言ってくれて。そんなトラブルも“味”に変えてくれました。

■キャラに寄り添う衣装で、及川光博と“スタイリング会議”も!?

――キャストからのリクエストや、やり取りで印象的だったことは?

桐石拓磨を演じる及川光博さんですね。桐石はカメレオン的なキャラクターで、潜入シーンも多いので、毎回“どこに潜入しているか”でスタイルを変えています。5話では、遊び人役のゲストに合わせて派手な柄物のスーツにしようと、及川さんと相談しながら決めました。

1話では、なんとなく僕らがイメージする、テレビやメディアに出てくるような弁護士だったり、信頼できそうな弁護士に見えるようにしましたが、普段の桐石と、潜入時の桐石ではちょっとずつ違うので、そこにも注目していただけると面白いかもしれません。

小見出し5:衣装が描くキャラクターの変化と成長

――物語が進む中で、登場人物たちの衣装にも変化が出てくるのでしょうか。

たとえば宇崎は、新人らしく最初はリクルートスーツっぽいスーツを着ていますが、話が進むにつれて素材を少しマットで上質なものに変えて、自信がついて落ち着きが出てきたように見せていくつもりです。轟も、大手事務所から独立したという設定があるので、その変化も反映させようと考えています。

――最後に、視聴者に向けてメッセージをお願いします。

ポスターのスタイリングも含めて、予算度外視でこだわり抜きました(笑)。ぜひ作品全体の世界観の一部として、衣装にも注目してもらえたらうれしいです。服装からキャラクターの気持ちの変化も見えてくると思いますので、そうした視点でも楽しんでいただけたら。

また、宇崎の衣装は、多くの方に「このスタイリングいいな!」と思ってもらえるファッションだと思います。高価な服も混じってはいますが、比較的手に取りやすい価格帯のものをセレクトしているので参考にしてもらえるかもしれないですね。
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