長尾謙杜の棒術1カットアクションを実現したVFX技術 映画『室町無頼』メイキング映像

2025/02/01 12:10 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

映画『室町無頼』場面写真(C)2016 垣根涼介/新潮社(C)2025『室町無頼』製作委員会

 俳優の大泉洋が主演、なにわ男子の長尾謙杜、堤真一らが共演する映画『室町無頼』(公開中)より、誰も見たことのない室町時代を描いた、大迫力の一揆やアクションシーンの舞台裏がわかる、貴重なVFXメイキング特別映像が公開された。

【動画】映画『室町無頼』VFXメイキング映像

 室町時代の作りこまれた世界観や、一揆の迫力がVFX技術を通してどのように作られたのか、そして長尾謙杜演じる棒術の達人・才蔵の圧巻の1カットアクションがボリュメトリックビデオによってどのように生まれたのかがわかる映像となっている。

 一揆の迫力は本物の松明を使用したり、実際に人を集めてなるべくリアルで撮影しつつも、VFXでその迫力を増すように補完。現場の迫力を増しつつ、違和感のない映像を作りあげた。

 1カットアクションは、まずグリーンバックでの芝居をデジタルデータでキャプチャし、撮影方法を検証。美術チームが必要な足場を制作したり、逆に不要な部分を削ったりなどして調整。アクションチームはシミュレーションを元に殺陣を作り上げ、キャストは毎日のように練習…、カメラテストを経てに本番に臨んだ。VFX技術をもとにまさに現場が一丸となって作り上げたシーンだ。

 VFXスーパーバイザーの野口光一は「VFXに丸投げではなく、各チームと相談ができる現場で設計していったことで、世界観がうまくいった」と語っている。また、300人ものエキストラが集う二条大通りの戦いのシーンは当初、時間や天候の制約がないスタジオの中での撮影が計画されていたが、ハリウッドとは異なり高さがあまりない日本のスタジオでは、照明が近くなることで自然光を表現することが不可能ということで、オープンセットで実施することになったという。ちょうど太秦の映画村の建て替えのため、更地になる予定の場所があったことで実現した、奇跡のタイミングでもあった。

 また本作の重要な要素である『用心棒』(1961年)や『マッドマックス』(1979年)のような荒廃した世界観については、大泉が「ジェットファンの音でせりふが聞こえない」というエピソードを各所で披露している通り、背景で常に煙があがっていたり、木が揺れていたりするため、CG合成には特段の苦労があった。

 しかし野口は、入江悠監督の思い描く世界観を作り上げるため、「前面にどうだ!というエフェクトもあるが、本作ではバックグラウンドのVFX」を心掛けていたという。また本作のVFXは、神央薬品、NHKアート、白組、VOXELなど、多くのVFX制作会社が携わっている。まさに、東映京都撮影所の職人たちの伝統と、VFX技術が融合したことで完成した、新しいアクション時代劇なのだ。

 本作は、『極楽征夷大将軍』で第169回直木賞(2023年)を受賞した垣根涼介の同名小説(新潮文庫)が原作。時は室町、“応仁の乱”前夜の京(みやこ)――。大飢饉と疫病の連鎖、路上に重なる無数の死骸。そんな混沌の世の中に風の如く現れ、巨大な権力に戦いを挑んだ者たちがいた…。日本史上、初めて武士階級として一揆を起こし、歴史にただ一度だけその名を留める男、蓮田兵衛(はすだ・ひょうえ)。彼の元に結集した「アウトロー=無頼」たちの知られざる闘いをドラマチックに描く。

 己の腕と才覚だけで混沌の世を泳ぎ、密かに倒幕と世直しの野望を抱く無頼漢で剣の達人の主人公・蓮田兵衛を大泉。兵衛に拾われ、身も心も成長する才蔵役に長尾。その才蔵に棒術を教え込む老師役に柄本明。民を虐げ、贅沢にふける有力大名・名和好臣役に北村一輝。高級遊女にして、男たちの間を漂う絶世の美女・芳王子(ほおうじ)役に松本若菜。そして、300人もの荒くれ者を抱え、幕府から京の治安維持と取り締まりを任される悪党一味の首領で、兵衛とは悪友であり、宿敵ともなっていく骨皮道賢(ほねかわどうけん)役を堤が演じている。


ORICON NEWS

エンタメ

注目の情報