深海の高級魚ノドグロ 近大が世界初の完全養殖成功 味は「絶品」
「白身のトロ」とも呼ばれる深海の高級魚ノドグロ(アカムツ)について、近畿大水産研究所(本部・和歌山県白浜町)は5日、世界で初めて完全養殖に成功したと発表した。記者会見した家戸敬太郎・同研究所長は「安定した生産技術を確立し、5年後に食卓に並ぶことを目指したい」と話した。
2015年に富山県射水市の実験場で飼育研究に着手し、16年10月に人工ふ化に成功した。当初、稚魚に育つのは0・1%程度だったが、水槽中の酸素濃度を工夫するなど飼育技術の改良を重ね、20%程度にまで向上させた。24年の能登半島地震では停電などで被害を受けたが、辛うじて全滅は免れて研究を続けた。
25年10月には、卵の段階から飼育下で育った成魚の雌6匹から約36万粒を採卵。人工授精させて人工ふ化に成功し、生活史の1サイクルをすべて飼育下で行う完全養殖が達成できた。2月5日時点で6000匹以上の稚魚が全長4~5センチに成長しているという。
ノドグロの成魚は水深100~200メートルの海底付近に生息しており、生態の多くは謎に包まれている。捕獲した天然魚を飼育する「蓄養」も、日本近海では夏場の海面温度が高く難しかった。今回の研究では水深100メートルから取った20度ほどの海水を使用した。
今後は飼育施設や飼育方法、病気への対策など基本的な養殖技術の開発と、品種改良に取り組む。29年ごろをめどに養殖業者への販売を目指すという。
合わせて、「近大マグロ」のようにブランド化も狙う。2月中にも東京や大阪のレストランで、世界初の養殖ノドグロとして提供を予定している。家戸所長は「天然と同じく脂がのっている。あぶって食べたら絶品」と売り込む。【荒木涼子】
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