ワンカップ大関60周年 発売当初は苦情も…打開策は「旅のお供」
日本酒「ワンカップ大関」は10月、1964年の発売から60周年を迎えた。東海道新幹線の開通と同じ時期という縁で、12月にコラボイベントを開く。ただ順調運行の新幹線とは違い、「ワンカップ大関」の60年は山あり谷ありだったようだ。
「ワンカップ大関」は、酒造会社の大関(兵庫県西宮市)が64年10月に発売。一升瓶が主流だった業界で、とっくりと杯を必要としないカップ酒という新しいカテゴリーに挑戦した。だが、発売当初は小売店から「日本酒に見えない」という苦情が相次ぎ、売り上げは苦しんだという。
試行錯誤の末、大関はカップ酒の「どこでも手軽に飲める」という特徴を最大限に生かすPR作戦を展開。広告で旅行中の電車内、登山やスキーなどアウトドアでの楽しみ方を提案した。66年には上野、新宿駅の売店で販売が始まり、徐々に消費者に広がった。
大関の担当者は「国民にもレジャーの余裕が出てきたときに、駅の売店に並んだ効果は大きく、『旅のお供』として人気になった」と話す。ピークは93年で、約1億3000万本を販売した。
だが近年は若者のアルコール離れもあり、売り上げは激減。愛飲者の多くが60歳以上という課題もあり、担当者は「60周年を機に、若い人たちにも飲んでみてほしい」と呼びかける。
12月15日のイベントはJR東海と協力。新幹線「のぞみ」の1車両を貸し切りにして、「ワンカップ号」として東京―新大阪間を運行する。車内では特別仕様の「ワンカップ大関」が振る舞われ、トークイベントや漫才が開かれる。定員60人で無料。申し込みなどの詳細は、大関ホームページ(https://www.ozeki.co.jp/)。【小坂剛志】
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