【インタビュー】黒夢、キャリア最大規模のトヨタアリーナ東京3Days 「無理でしょ」の先に…

2026/08/31 17:05 

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黒夢(撮影:アライテツヤ)(C)ORICON NewS inc.

 2025年2月に約10年ぶりに復活した黒夢が、7月17日、18日、19日に東京・TOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)でキャリア最大規模となる3Days公演『THE PERFECT DAYS』を開催。それぞれ異なる内容で構成された3日間は、2人にとっても未知の挑戦だった。同公演に挑むまでの率直な思いと、ライブを終えた今だから語れる思いについて聞いた。

【写真】撮り下ろしショット!寄り添う黒夢の清春&人時

■「いや、無理でしょ」から始まった、黒夢史上初のアリーナ3Days

――まずは改めて、『THE PERFECT DAYS』を振り返ってください。どんな3日間にしたいと思っていましたか。

【清春】50代後半になって、黒夢史上初のアリーナ3日間だったんですけど、最初にスタッフやツアー制作会社から「3日間やりましょう」って言われたときは、ずっと拒否していて。「いや、無理でしょ」って。体力的にもそうだし、やったこともない。「2日間でいいんじゃないか」、なんなら9月6日にある東京ガーデンシアターだけでもいいと思っていたくらい。それで、決まってからの約1年は全部がこのライブに向かっていましたね。アルバムのリリースもそうだし、ミュージックビデオやプロモーションも含めて、久しぶりに黒夢としてちゃんと動いたなという感じで。ライブは3日間それぞれ違う内容にはなりましたけど、僕ら自身はそんなに差を付けようとは思っていなかったんです。昔から同じメニューでやり切ることはなかったので、その延長だったという感じですね。

【人時】清春さんがプロモーションをやっている間、僕ら楽器隊はバックトラックを作り込んでいました。「まだ先だな」と思っていたものが、本当にあっという間に来た感覚で。終わってみると「あっという間だった」と思いますけど、演奏している最中は本当にそれどころじゃなかったです。集中していましたし、充実した時間だったと思います。

――今回のライブの2日目がWOWOWで放送・配信されますが、会場となったTOYOTA ARENA TOKYOでの演奏はいかがでしたか。

【清春】客席の配置に慣れるのが難しかったですね。左右対称じゃないんですよ。自分から見ると、右側は前の方しか座れないような感じで、反対側は上までお客さんが入っている。だから、「こっちは盛り上がってないのかな」と思っても実は上にいたりして、その距離感がつかみづらかったです。でも、3日目には慣れました。歌に関しては、昨年ガーデンシアターでやったときよりも、今回は声がよく抜けていた感じがしましたね。音に関してはいい印象でした。ただ、やっぱり疲れました(笑)。3日目のアンコールは本当に朦朧(もうろう)としていましたから。今でも思いますよ。「2日間でよかったんじゃないかな」って(笑)。

【人時】僕は基本的にイヤモニでやっているので、もちろん会場ごとの違いはありますけど、ステージ環境が大きく変わることはないんです。気にし始めるとキリがないので、「こういうものだ」と受け止めています。

――黒夢の初期などは、まだイヤモニではなかったですよね。

【人時】もちろんそうですね。当時は転がし(フロアモニター)でした。今はイヤモニがあるのでレコーディングの延長のような感覚で演奏できますし、細かいニュアンスも耳に入ってきます。技術も進歩しているので、昔より音の分離もずっと良くなっていて。もちろん、細かく聴こえすぎて演奏中に気になってしまうこともあるので、一概にどちらがいいとは言えないんですけどね。でも今の黒夢として考えたときには、一番いい環境が今の形なんだと思っています。

■リテイクを経て変化した楽曲、進化する2人の音と演奏

【清春】僕は2日目の後半くらいから、イヤモニを外してました。世代的にも、やっぱりイヤモニが苦手なんですよ。だから「途中でイヤモニを外すから、転がしも調整しておいて」ってお願いして。昔は武道館でも転がしでやっていましたからね。その感覚が体に染み付いているんでしょうね。

――今回のライブでは、リテイクアルバム『Drug TReatment 2026』『CORKSCREW 2026』を経た楽曲も披露されました。同作ではキーが変わった曲もありましたが、ライブで演奏してみていかがでしたか?

【清春】ライブはまたキーが違うんですよ。昨年までやっていたツアーのキーで演奏しています。ライブはアルバムとはまたキーが違うから、音程が取れなくなる瞬間もあって、ややこしいんですよ。今回ライブで演奏してみて、改めてミュージックビデオを作った「NEEDLESS」なんかは立体的になったというか、前より人気曲になったのかな、という感じがありましたね。

――今回のライブでは、人時さんのベースソロも印象的でした。

【人時】毎回やらせてもらっているんですけど、これまでは何も決めずに始めることが多かったんですよ。インプロビゼーションみたいな感じで、その場で作っていくことが多かったんですけど、今回はもう少し、お客さんを巻き込めるものにしたいなと思いました。ただ、全部決めてしまうと全部覚えなきゃいけなくなるので(笑)、遊びの部分は残しながら、なんとなくテーマだけ決めて構築していった感じですね。

【清春】ベースソロ、すごかったよね。ステージの下で着替えていたんですけど、「めちゃくちゃ湧いてるな!」って。お客さんの歓声もすごい聞こえてきて。

【人時】本当は毎日ソロの内容を変えようと思っていたんですけど、初日があまりにも評判が良かったので、「これはこのままでもいいかな」と思って。

――ベースのサウンドも印象的でした。今の楽器や音作りで意識していることを教えてください。

【人時】意識しているのは、トータルのサウンドの"接着剤"になることですね。ドラムとベース、ベースとギター、ギターと歌。その間をつなぐ"接着剤"になれればいいなと思っています。今使っているベースは、自分のプロトタイプです。昔にギブソンのEB-2Dを弾いていたことがあって、その感触がすごく好きだったんですけど、古い楽器なので状態のいいものがなかなかない。だったら自分で作ろうと。5弦のセミホロウボディって探してもほとんどないんですよ。だから「人と違うことをやるのも面白いかな」という気持ちもありました。実際に出来上がって弾いてみたら、「ベースって本来こういうものなんじゃないか」と思うくらい、自分にはしっくりきています。

――清春さんは、歌い方や発声という部分で、昔と比べて変わったと感じることはありますか。

【清春】今のほうが「この曲はどういう声の当て方で歌えばいいのか」がわかるので、ロスが少ないです。昔は、自分に合わない歌い方で歌って疲れちゃうこともありましたけど、今は無駄がなくなりました。今回のリテイクアルバムでは、当時のCDには入っていなかったコーラスを入れた曲もあって、最初はライブでもそれを再現しようと思っていたんですけど、途中で「これは全部やるとしんどいな」って思ってやめました。

■「昔は本当にお互い見なかった」今だから築けた清春と人時の関係

――人時さんは、今回の3Daysを通して清春さんを見ていて感じたことはありましたか。

【人時】ステージでは、しんどそうな顔をしているときも当然あります。イヤモニをしているので、呼吸なんかも聞こえますし。「きつそうだな」と思う瞬間はありますけど、どこかでちゃんとスイッチが入るんですよね。昔は仲が悪かったから本当にお互い見なかったんですよ。僕も見なかったし、清春さんも見なかった。でも今は、自然と見るようになりました。横で見ていると、「4つ上の人がここまで頑張っているんだから、自分はそれ以上やらなきゃ」と思うんですよ。考えるというより、励みになりますね。「すごいな」と思いながら演奏しています。

――ライブの3日目は人時さんの誕生日でしたし、一緒に誕生日を過ごすことにもなりましたね。

【清春】去年もライブがあったので一緒でしたけど、そんな日が来るなんてね(笑)。

――最近では清春さんがバラエティー番組にもたびたび出演されていますが、人時さんはどんな気持ちで見ているのでしょうか?

【人時】「すげえ出てるな」という印象ですね(笑)。

【清春】黒夢のためですけどね!

【人時】頭が下がりますよ。出ればちゃんと、その場に合ったことをやっているなと思いますし、ちゃんと扱ってもらえているじゃないですか。それはすごいことだと思います。

【清春】普通に一緒に出てもらってもいいんですけどね…。

――ぜひそれも見てみたいです(笑)。今回のライブでは、サポートメンバーとの関係性も印象的でした。

【清春】スタッフもサポートメンバーも、ほとんどが途中から加わってくれた人たちなので、その新しいチームで作っているという感じがあります。本当にみんな一流なんですよ。特にドラムのSATOKOちゃんの存在はすごく大きいですね。僕ら2人だけじゃなく、バンド全体を引っ張ってくれている感じがあって。音も素晴らしいし、ムードメーカーでもある。ああいう人にはなかなか出会えないと思います。

【人時】彼女が10代の頃から「すごいドラマーがいる」という話は聞いていましたし、実際に見てもすごかった。でも、一緒にやってみたら、それ以上でしたね。全部が高いレベルなんですよ。どんな現場でも対応できますし、ああいう人は本当にそうそういないと思います。

【清春】SATOKOちゃんがいると、ムードが全然違うんですよ。もちろん上手い人はたくさんいるけど、それだけじゃなくて、やっぱりムードを作れる人はすごい。あれは、なかなかできる人はいないんじゃないですかね。

■「まだやれて良かった」50代になった2人が思う、これからの黒夢

――仲違いをして、その関係性を取り戻せない人たちも多いと思います。黒夢は何が違ったのでしょうか?

【清春】僕らは2人しかいない。だから、決裂したらもう会わないか、またやるか、そのどちらかしかないんです。もし4人組だったら、誰かが間に入って、逆にこじれたりするじゃないですか。でも2人だから、2人の関係がうまくいっていれば、スタッフも含めてみんなハッピーなんですよ。そういう気持ちになれたっていうことなのかな。いろんなことを経て50代になって、「まだやれて良かったね」という気持ちがありますし、「あとどれくらい2人ともベストな状態でやれるんだろう」と思っています。今ではお互いのライブにも行くようになりました。

――今回のライブタイトルは『THE PERFECT DAYS』でした。この"PERFECT"という言葉は、ライブを終えた今、どんな意味になっていますか。

【清春】「この3日間で活動が終わってもいい」「何があってもいい」と思えるくらい、全部出し切るライブにしたいというイメージだったんです。だから、僕らにとっての"PERFECT"は、全部出し切ることなんですよ。それで終わったときに、晴れ晴れした気持ちになれるかどうか。そういう意味だったんです。ライブは「完璧」という意味でのパーフェクトでは全然なかったですし(笑)、体もずっと痛かったですけど、出し切ることはできたなとは思っています。

――人時さんは、この3日間を終えてどんなことを感じましたか。

【人時】ライブ前は、「本当にこのセットリストをやり切れるのかな」という不安はありました。でも終わってみたら、「なんとかなったな」と思えた。もちろん、「またアリーナで3Daysやろう」と言われたら、「それは勘弁してください」って言います(笑)。でも、「できるかな」と思いながら、「なんとかやり切る」。たぶん、それを繰り返していくのが黒夢なんだと思います。

■プロフィール
清春(Vo)と人時(Ba)の2人からなるロックバンド。 1991年結成、94年2月にシングル「for dear」でメジャーデビュー。95年5月リリースのアルバム『feminism』以降、すべてのアルバムがランキング上位を記録した。その後、99年1月の活動中止を経て、2000年1月に解散。10年に再始動し、14年には20周年アニバーサリーツアーを開催。昨年に東京・東京ガーデンシアターにて約10年ぶりに復活し、今年、初のセルフカバーアルバム『Drug TReatment 2026』と『CORKSCREW 2026』2作を発表した。

■『黒夢「THE PERFECT DAYS TO DIE-ザ パーフェクト デイズ トゥ ダイ-」』
9月23日(水・祝)午後8:00
WOWOWプライムで放送/WOWOWオンデマンドで同時配信
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