30周年の「ミンティア」、売れなかった味は? 期待背負った“あの味”が大苦戦 350種の開…
1996年の発売以来、30年間で350種類以上のフレーバーを展開する「ミンティア」。(C)oricon ME inc.

【写真】ミンティア、大苦戦した”あの味”&変わりダネ商品とは…?
■“お菓子すぎる”が誤算 ミンティアに求められた価値
通常の約5倍サイズの「大粒タイプ」や、果実感あふれるフルーツタイプ、さらには、「のど飴」成分配合タイプに、コロナ禍の「マスク生活」合わせた商品展開など、ミンティアは時代ごとのニーズに応じた話題作を次々と投入してきた。
今年5月も新商品が一時品薄状態になるなど、その歩みはヒット作ぞろいの印象を与える。ところが、アサヒグループ食品マーケティング本部の真鍋礼子さんによると、その歴史の裏では、想定外の苦戦を強いられた商品もあったという。
それが、2023年に投入した『ミントショコレット』だ。同商品は、ミントタブレットをチョコレートでコーティングしたミンティアブランド初となる“チョコがけ”。意欲作だった。
ミントとチョコは、アイスクリームの世界でもマニア的な人気を誇る組み合わせだ。開発陣もそこに着目し、勝算を持って臨んだ。
「ミンティアならではの爽やかなリフレッシュ感が楽しめるようミントとチョコのバランスを工夫し、両方の味が一度に楽しめるよう噛んで食べやすい食感に仕上げた商品です」(真鍋さん/以下同)
しかし、待っていたのは予想外の反響だった。
「“チョコミン党”の方々からは評価をいただけましたが、ミンティアにミントの爽快感を期待されているお客様からは『お菓子感が強すぎる』『甘すぎる』といった声が寄せられました。嗜好品としてその価値を拡張し過ぎてしまうと、ブランドとしては受け入れられないのだと学んだ事例です」(真鍋さん/以下同)
■ 攻めの姿勢を生んだ「100億円減収」の危機
この“攻めすぎた変わり種”が生まれた背景には、コロナ禍という未曾有の危機があった。外出や対面の機会が減少し、手軽な口臭ケアができるエチケットアイテムとして愛用されていたミンティアは、利用シーンが急速に縮小。感染拡大が始まった2019年に比べ、「緊急事態宣言」が発令された2021年には、100億円近い減収に追い込まれてしまったのだ。
そんな苦難の時代に、ファンを繋ぎ止めようと、リフレッシュシーンの拡大を目指して挑戦したのが、おやつ感覚で楽しんでもらえるようなこれまでにない商品だった。
『ミントショコレット』と同じ発想からは、若年層のレトロブームを捉えた「プリン」や「クリームソーダ」、2粒同時に食べると味が変わる「いちご&ヨーグルト」「チョコ&バナナ」などの遊び心溢れる商品も生まれた。これらも話題を呼んだものの、ミントショコレット同様、賛否論が巻き起こった。
一般的なお菓子は空腹を満たしたり、甘さを楽しんだりするものだが、ミンティアはリフレッシュ感を得たり、エチケットとして手軽に食せるのが特徴。それだけにお菓子感を強くし拡張し過ぎてしまうと受け入れられないというのは納得できるところだが、一方で、真鍋さんは「拡張していくことは、新しい価値観を生み出すためにも大事だと思っている」と断言する。
■ 「他人のため」から「自分のため」へ、大ヒットの真理
その試行錯誤の末に、新たな「価値の拡張」を実現した成功例が、今年4月に発売された「+FOCUS(プラスフォーカス)クリアラムネ」だ。
同商品は、脳のエネルギー源とされるぶどう糖を92%配合したラムネ風味のミンティア。従来の「眠気覚まし」や「気分転換」に加え、「集中したい場面をサポートする」という機能性を前面に反響を呼んだ。
実は同ブランドでは、1996年の誕生(首都圏限定の「ペパーミント」「カシス&ミント」からスタート)直後から、「味そのものの訴求よりも、その商品を食べた時に感じられる情緒的な価値観を大切にしている」という。
それは2014年に登場した通常の5倍の大粒タイプ「ミンティア ブリーズ」シリーズにもよく表れている。「リフレッシュブルー」や「レモンライムドレス」といった情緒的なネーミングは、味の解説よりも、口に入れた瞬間のイメージや体験を想起させることを重視した戦略だ。
「『+FOCUS』もそうですが、今は他者のために息を整えるエチケットだけでなく、すっきりしたい、気分を切り替えたいという自分が快適であることを重視するお客様が増えています。現代人の心身を整える“ストレスリセットのための錠菓”であることを大切に開発し、そのニーズを捉えられたものが確かなヒットに繋がっています」
■ 誰もが勘違い?ケースの「溝」の真相
30年間、私たちの日常に寄り添い続けてきたミンティアだが、実はそのケースには知られざるトリビアも隠されている。
昨年、公式TikTokで「ケースの口にある溝は何のためにあるのか」と問いかけた投稿が反響を呼んだ。1粒がぴたりと収まるサイズだけに、多くの人が取り出しやすさを考えた設計だと思っていたのではないだろうか。
しかし、公式HPが明かした理由は意外なものだった。あの絶妙なサイズは、1粒ずつ取り出しやすくするためではなく、湿気の侵入を防ぐための防湿設計から生まれたもの。ミントタブレットは湿気を吸うと膨張し、取り出し口で詰まってしまうことがある。そのリスクを抑えるため開口部をできるだけ小さくした結果、1粒がぴたりと収まる形になったという。
最後に真鍋さんに個人的に驚いたフレーバーを聞いてみると、2020年発売の「ほうじ茶ラテ」とのこと。「ミントとほうじ茶を合わせようってあまり考えませんよね(笑)」。時代に寄り添い、心身のコンティションを支える「日常のセルフケア」として、これからも多彩なフレーバーを生み出してくれることを期待したい。
(取材・文/河上いつ子)
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