煙もにおいもない「第三のたばこ」は定着するか? JTが好調『プルーム』に続けて挑む新たな市…
注目のオーラルたばこ『ノルディックスピリット』(コーラフィズ・ミディアム)

【写真】試してみたい! 発売予定のフレーバー各種
◆加熱式たばこに8,000億円の投資、喫煙環境が限定された日本の「次なる成長の種」
JTは現在、2028年までの3年間で総額8,000億円規模を投じる成長戦略を推進中である。この巨額投資の主軸は加熱式たばこ『プルーム』のブランド育成とシェア拡大にあるが、その一方で「次なる成長の種」として位置づけられているのが、この「モダンオーラル」カテゴリーだ 。
同社は、日本で2020年にトラディショナルオーラルである『ゼロスタイル・スヌース』を発売。タバコ葉本来の茶色いパウチのトラディショナルに対し、今回の「モダンオーラル」は白いパウチで唾液が汚れず、よりクリアなフレーバーを楽しめるのが特徴だ。
だが、こうしたオーラルたばこの国内シェアはわずかで、現時点では極めて限定的な市場に過ぎない。しかし世界に目を向ければ、煙やにおいを出さない「モダンオーラル」は急速な成長を遂げているという。改正健康増進法の施行以降、喫煙環境が劇的に変化した日本でも、場所を選ばない新スタイルの潜在ニーズは大きいと見ている。
今回の新ブランド『ノルディックスピリット』の投入は、単なる新製品の発売ではない。現状では加熱式たばこの増税対象外、という税制上の優位性も背景に、JTが新たな喫煙文化を定着させられるかどうかの試金石ともいえる。
■『プルーム』で国内シェア2位に躍進、次なる一手とは?
――JTでは「2028年までの3年間で8,000億円を投じる」という計画があると聞きました。その投資の中に『ノルディックスピリット』も入っているのですか?
「はい、含まれています。ただ、投資のメインはあくまで『プルーム』の育成とグローバル展開。今回のモダンオーラルへの挑戦は、その巨額投資の一部を、次なる成長の種まきや新しい選択肢の提供に充てているという位置づけになります」
――『プルーム』最優先の中、なぜこのタイミングで、あえて未知のカテゴリーである「モダンオーラル」に注力し始めたのでしょうか。
「昨年『プルーム・オーラ』を発売し、国内シェア2位という一定の成果を出せたことで、次のフェーズに入ったと判断したからです。最優先事項が『プルーム』の育成であるという方針に変わりはありませんが、並行して新しいカテゴリーを育成する段階に来たと考えています」
――なるほど。2020年には『ゼロスタイル・スヌース』(以下、『スヌース』)という「トラディショナルオーラル」を発売していますが、今回「モダンオーラル」を選んだ理由は?
「グローバルで見ても、シェアはトラディショナルからモダンへと移行しています。モダンオーラルはより清潔感があり、クリアなフレーバーを楽しめるのが特徴。特に日本人は衛生面を非常に気にされますよね。トラディショナルは唾液が茶色くなることがあり、歯への影響なども気にされるお客様がいらっしゃる。その点、白くて清潔なモダンオーラルの方が日本市場にはフィットすると考えています」
――海外、例えばUK(英国)は短期間で市場が成長したそうですね。
「UKはもともとオーラルの文化がなかった市場ですが、ここ5年ほどで急成長しました。その背景には、初期段階から複数社が参入して切磋琢磨し、市場全体を盛り上げてきたことがあります。日本でも、私たちが参入することでカテゴリー自体の認知を高めれば、最大で600万人規模まで成長するポテンシャルがあると考えています」
――ただ、以前の『スヌース』も正直、あまり盛り上がっていなかった印象があります。現在の市場をどう見ていますか?
「おっしゃる通り、日本国内における『スヌース』自体のシェアは0.004%程度と、非常に小さいのが実態です。ただ、モダンオーラルというカテゴリーで見れば、現在日本には他社製品を含めて約40万人ほどのユーザーがいると推計しています。これまでは競合他社が1社で市場を牽引してきた経緯があり、我々を含む他社が参入していなかったことが、市場が大きく広がらなかった一因だと考えています」
――具体的にどのようなシーンでの利用を想定していますか?
「加熱式や紙巻たばこを完全に代替するものではなく、それらが『吸えない場面』を埋める追加的な選択肢です。喫煙者の約半数が『喫煙のために作業が中断し、集中が途切れる』ことに不満を感じています。例えば、飛行機やホテルなどの長時間禁煙の環境、あるいはデスクワークを続けながらリフレッシュしたい時など、作業の手を止めずに使える『ハンズフリー』の利便性を評価いただいています」
――「煙が出ない」一方で、健康への影響を懸念する声もあります。その点はどうお考えですか?
「正直に言えば、モダンオーラルというカテゴリー自体が誕生してまだ5年程度と歴史が浅いため、長期間の使用による健康影響については、現時点で厳密な確認ができているわけではありません。しかし、成分的な分析は当然実施しており、製品に含まれる成分そのものが健康に害を及ぼさないことは確認済みです。安心して手に取っていただける品質を担保しています」
――最近ではニコチンを含まないVAPEなども人気ですが、フレーバーのみの製品という選択肢は検討しなかったのでしょうか。
「可能性はゼロではありませんが、満足感の面でニコチンは重要です。過去の加熱式たばこの導入期を振り返っても、ニコチン量が不十分だと『吸った感』が得られず、利用が定着しないという課題がありました。リラックスや活性化といった『たばこ本来の効能』を求めるお客様にとっては、ニコチンは欠かせない要素だと考えています」
――『ノルディックスピリット』は特にフレーバーに力を入れている印象を受けますが、戦略的な意図はありますか?
「私たちはこのカテゴリーにおいて、フレーバーエキスパートを目指したいと考えています。よりフレーバーの純度を高め、ピュアに楽しんでいただけるよう、モダンオーラルかつ『モイスト(湿潤)』タイプを選択しました。競合製品の中には製造コストの面からパキスタン等で作られているものもありますが、私たちは本場のクオリティとフレーバーの再現性にこだわっています」
――ブランド名の『ノルディックスピリット』にはどのような想いが?
「オーラル製品の本場であるスウェーデンを中心とした、ノルディック地方で培われたノウハウやクオリティをコアに据え、お客様に楽しんでいただきたいという思いから命名しました。素材や製法にこだわり、雑味のないクリアな味わいを実現しています」
――最後に、今後の展望を教えてください。
「まずはこのカテゴリーを正しく認知していただくことが最優先です。全国発売後は、総計100万人規模の無料サンプリングを実施する予定。駅や空港など、喫煙不便を感じやすい場所での体験機会を増やし、中長期的にこの新しいスタイルを日本に定着させていきたいですね」
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