手塚治虫“劇場用長編アニメ”始動を発表 生誕100年へ息子・手塚眞が総監督として着手【新潟…
「第4回新潟国際アニメーション映画祭」(NIAFF)で手塚治虫原作の新作長編アニメーションについて語った手塚眞氏 (C)ORICON NewS inc.

【画像】コンペティション部門の上映作品ビジュアル
この発言は、新潟市で開催中の「第4回新潟国際アニメーション映画祭(NIAFF)」で21日に行われたトークセッションで明かされたもの。タイトルなどは明かさなかったものの、日本アニメの原点を築いた手塚治虫原作の新作長編アニメーションというビッグプロジェクトの始動に、会場は大きな期待に包まれた。
手塚氏は冒頭で、自ら監督を務めた実写映画『白痴』(1999年)の撮影以来、新潟に縁があることに触れ、「新潟国際アニメーション映画祭で手塚治虫の特集をやっていただくのは今回が初めてです。こういう機会に父の作品を見ていただけるのは、とてもありがたいことだと思っています」とあいさつした。
この日のトークは、「手塚治虫 実験アニメーションシリーズ傑作選」の上映にあわせて行われたもの。『ある街角の物語』(1962年)をはじめ、『ジャンピング』(1984年)、『おんぼろフィルム』(1985年)、『村正』(1987年)、『森の伝説』(1987年、2014年)など、手塚治虫が自由な発想で制作した実験精神あふれる短編作品群が紹介された。
手塚氏は、これらの短編について「商業目的ではなく、父がポケットマネーで作っていた作品」と説明。テレビシリーズ『鉄腕アトム』などのヒットの裏で、手塚治虫が実験的なアニメーション制作を続けていた背景を明かした。
さらに、自身の幼少期の思い出として、「父は家に映写機を持ち込んで、家族の前で短編アニメを上映してくれました。テレビの『鉄腕アトム』も見ていましたが、正直、家で見せてくれる実験アニメの方が面白いと感じていました」と振り返った。
また、実験アニメでありながら強いエンターテインメント性を持つ点について、「手塚治虫は本質的に人を楽しませることを忘れない作家でした。笑わせながら、世の中の本質やテーマを描く。その精神はすべての作品に通じています」と語った。
この日上映された『森の伝説』は、チャイコフスキーの「交響曲第4番」に着想を得て制作された作品で、第1楽章と第4楽章は手塚治虫自身が監督したもの。その後、未完となっていた第2楽章を手塚眞氏が完成させた。作品は自然破壊への警鐘をテーマに、エミール・コールに代表される初期アニメーションの素朴な表現から、ディズニー的な豊かな表現へと変化していく様子を描き、アニメーションの歴史そのものを内包する意欲作として知られる。
手塚眞氏は制作について、「父は第1楽章と第4楽章を先に完成させ、第2楽章と第3楽章は後回しにしたまま亡くなりました。第2楽章についてはメモ的なシナリオや演出の指示が残されていたため、それをもとに制作しました。ただ、具体的な作画は残されていなかったため、『往年のディズニー映画のように』という父の意図を踏まえながら、新しい技術も取り入れて表現しました」と説明。キャラクターデザインは杉野昭夫氏が担当し、「杉野さんのタッチとディズニー、そして手塚治虫の哲学を融合させた表現を目指しました」と語った。
さらに未完成の第3楽章についても、「砂アニメーションや人形アニメーションなど、さまざまな実験的手法を用いる構想がありました。複数の作家に声をかけており、いずれ完成させたいと考えています」と今後の展望を明かした。
これに続く形で、手塚氏は「小さな発表ですが、生誕100年に向けて長編の手塚治アニメを作り始めています。劇場用です。私が総監督として手掛け始めています」と切り出した。「100年に間に合うかどうか分かりません。間に合わなかったら短いの2本、ということになるかもしれませんが」と冗談を交えて笑いを誘いつつ、「しばらくはアニメ監督としても仕事をしていくことになります。次回ここに来る時は、『アニメの監督の手塚です』と胸を張って言えるかもしれません」と語り、大きな拍手を浴びた。
同映画祭では、来年開催予定の第5回でもレトロスペクティブ部門において手塚治虫特集を継続する予定。世界的なアニメーション人気の高まりの中、日本アニメの源流としての手塚治虫の存在は、改めて注目を集めている。
これに対し手塚氏は、生誕100年という節目について「手塚治虫が何を考え、何をしてきたのかを世界に示す重要なタイミングになる」と述べ、映画祭とのさらなる連携にも意欲を見せた。
トークの最後には、今年4月にNIAFFの関連企画として佐渡のガシマシネマで手塚治虫と手塚眞の短編作品を上映する特集や、アニメプロデューサーの丸山正雄氏との対談イベントの開催も紹介され、会場の関心を集めた。
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