山田孝之「道がないなら歩けばいい」 オリジナル映画キャストオーディション「THE OPEN…
「THE OPEN CALL」プロジェクトを始動した山田孝之、伊藤主税 (C)ORICON NewS inc.

【全身ショット】長髪×髭が印象的な山田孝之
本プロジェクトはオリジナル映画の主要キャストを選ぶオーディションだが、そこにとどまらない。参加者が選考過程で実際に演じ、対話し、迷い、つかみ取っていく“過程”そのものを番組として配信しながら、そこで立ち上がってくる個性や感情を脚本に取り込み、最終的に国内外展開を見据えた長編オリジナル映画へとつなげていく。
山田はオーディションの審査員という枠を超え、参加者と芝居をしながら演技を探求し、映画制作において企画・脚本・プロデュース・出演を担う“メインパートナー”として伴走する。今回の企画に至った経緯と狙いについて、企画プロデュースに名を連ねる山田と伊藤主税に話を聞いた。
■「俳優とは何か」を“共有”したい
――大々的な記者発表の場を設けたことに、並々ならぬ思いを感じました。
【山田】まずは知ってもらわないと応募も増えないですからね。もちろん応募が増えれば審査する側は大変になりますけど、それでも多くの人にチャンスがあったほうがいい。
――インスタグラムへの投稿の真意は?
【山田】僕自身ずっと考えてきたことが「俳優って何なんだろう」「芝居って何なんだろう」ということ。役作りの過程も含めて、それが見えると映画の見方が変わると思うんです。視点が増える。この番組を通して、映画の裏側や脚本作りまで見せることで、より深く作品を楽しめるようになったらいいなと思っています。今回のオーディションを通して、年齢に関係なく挑戦できることの大切さも伝えたいですね。俳優は年齢制限がない。50代、60代の方でも応募できます。
■“全部見せる”ことの覚悟 危うさの先にあるもの
――オーディションの裏側を明け透けにするというのは、確かに「少し危ない領域に踏み込むこと」になりそうですね。
【山田】僕らのリスクじゃないんですよね。芝居っていうものを本当に探求していくので、明確に言葉として何がいいか悪いかっていうことも言っていく。役者にとって企業秘密みたいなこともオープンにしていくから、中には言わないでほしいと思う人もいるかもしれない。でも、もっとみんなでシェアして底力を上げてこうよっていう気持ちが強い。
――海外では演技教育が制度として整っている国も多いですが、日本は現場で学ぶ側面が強く、俳優個人の方法論に委ねられている部分もありますよね。今回のようにプロセスを公開する試みは、日本版の“学びの場”を作ろうとしているようにも感じました。
【山田】最初のきっかけは、阿部進之介なんです。今、海外で撮影していてここにいないのですが、彼はオーディションで『SHOGUN 将軍』の役を勝ち取って、ハリウッドの製作環境の中で、僕らがしたことない経験をしている。そういうチャンスが日本にももっとあっていい。スターはスターでいいけど、新しい人がどんどん出てきてほしい。そのためには土台が必要なんです。日本の映画産業の規模を少しでも広げて、海外にも届くコンテンツを増やす。いきなり大きいことはできないから、まずは“寺子屋”的に始めている感覚です。
オーディション過程をなぜ番組にするかというと、これが教材になると思っていて。役作りってこうやるんだとか、こうやったら伝わりやすいんだって。興味がある人は参加できるし、ただ見る人たちも興味湧くかもしれない。俳優になろうと思う人も増えるかもしれない。
【伊藤】役と向き合うプロセスを知ることで、俳優の価値がわかる。画面に映る芝居はどう生み出されているのか。そのためにどう人と向き合ってきたのか。オーディション番組を通して提示できることがあると信じています。
■“まず自分がやる”という姿勢 深夜ドラマもNetflixも短編映画プロジェクトも一貫
――山田さん、阿部さん、伊藤さんらが“だれでも映画が撮れる時代”を掲げて始めた、プロ/アマや年齢を問わず才能を公募する短編プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」とも通じるものがありますね。
【伊藤】つながってますね。
【山田】「MIRRORLIAR FILMS」は、“挑戦すること”“やってみること”の大事さを伝えるために始めたものです。でも、継続すること自体が目的になってしまうと意味がない。どう発展させていくかが重要だと考えていました。予算を上げて表現の幅を広げようと思った時に、自分たちだけでは限界が来る。だから賛同してくれる仲間を増やしていかなきゃいけない、となった時に伊藤さんが動いてくれました。
【伊藤】企業版ふるさと納税という制度があって企業が地方公共団体の地方創生事業に寄付を行うと、法人税から税額控除を受けられる仕組みがあります。その寄付金を原資として映画制作を行い、完成後の作品収益については、地域側と映画会社が連携しながら還元・活用していくスキームを構築しました。それを3年かけてみんなで続けてきて、手応えが出てきました。
【山田】いよいよ「長編を作りましょう」となったのは2年前です。「MIRRORLIAR FILMS」は、そのためにやってきたことでもありました。
――山田さんはこれまでも『闇金ウシジマくん』、『勇者ヨシヒコ』シリーズなど深夜枠作品や、Netflix日本初期のオリジナル作品『全裸監督』など、まだ市場が整っていない領域に積極的に踏み込んでいった印象があります。
【山田】怖くないんですよ、あまり。道がないなら先に歩いてみる。トゲがあれば「気をつけて」と言えるし、景色が良ければ伝えられる。それで道ができればいい。自分の評価が上がるとか、儲かるとか、そういうことよりも、誰かの勇気や起爆剤になることのほうが面白い。失敗も含めて共有すれば、後続の失敗確率は下がる。それでいいと思っているんです。
深夜ドラマも、すごく増えましたよね。Netflixも、『全裸監督』をやる前は日本でサービスが始まったばかりで、ヒット作と言えるものがなかった。でも今、日本発のオリジナル作品がたくさん作られるようになった。それです。失敗しようが何だろうがいい。起爆剤になって、誰かの勇気になって、みんなが動き出したら、それが目的です。
――デビュー当時から出演作を拝見してきましたが、山田さんに抱いていたイメージがどんどん変わっていきました。
【伊藤】僕が山田さんと出会ったのは10年くらい前でしたが、最初はしゃべりにくかったです(笑)。でも、一本の映画を作り上げるという目標を共有してからは、ずっと尊敬していますし、こんな人ほかいないと思うことばかりです。
【山田】年齢もありますよね。40歳を超えて、もちろん自分の芝居を職人的に磨き続けるのもいい。でもそれだけで人生が終わるのは、僕としてはあまり面白くない。たかだか二十数年の経験ですけど、僕ですら伝えられることが一つくらいはあると思うんです。それで、数人でも誰かの人生がパッと花開いたら、その方がうれしい。だから、そういうことをやってみようかな、という感じですね。
■夢は“映画が生まれ続ける仕組み”をつくること
――オリジナル映画の目標は?
【伊藤】興行収入10億円です。
【山田】脚本もキャストもまだないのに10億(笑)。でも何もないってことは、可能性ゼロでもあり、100%でもある。
【伊藤】Leminoで配信される番組が映画の宣伝になりますよね。1年かけた宣伝ができるのは、映画としては恵まれたことです。さらに1年ずっと仲間でコミュニケーションを取りながら研ぎ澄まして映画作りに入れる。企業版ふるさと納税を活用したオリジナル映画のモデルケースとして成功例を作ることも重要だと考えています。地域と企業版ふるさと納税の取り組みが10地域で確立したら、いろんな人たちがそのスキームを使って映画を撮れるようになると考えています。
――オーディションは、3月19日午後5時まで募集中。応募条件は15歳以上。経験・実績・実力などの演技経験は不問、性別・国籍も問わないということで、応募者にメッセージをお願いします。
【山田】応募する人たちに一番持ってもらいたい覚悟は、最終選考まで残ってオリジナル映画のメインキャストに決まった時の覚悟。落ちることを考えるんじゃなくて、その覚悟を持って来てほしいです。ご応募お待ちしています。
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