衝撃の近未来社会を描く映画『安楽死特区』主要キャストのコメント、特報&相関図も公開

2025/10/18 12:26 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

映画『安楽死特区』(2026年1月23日公開)(C)「安楽死特区」製作委員会

 在宅医として2500人以上の看取りを経験してきた医師・作家、長尾和宏の同名小説を原作とする映画『安楽死特区』(2026年1月23日公開)。公開に先立ち、特報映像、場面写真、相関図、キャスト陣のコメントが公開された。原作のテーマをどのように映像化したか注目が集まる。

【動画】映画『安楽死特区』特報

 本作は、近未来の日本を舞台に、国家主導で導入された安楽死制度のもとで「生と死」「尊厳」「愛」を問い直す重厚な社会派ドラマ。監督は『痛くない死に方』(2020年)、『夜明けまでバス停で』(22年)、『「桐島です」』(25年)などを手がけてきた高橋伴明。脚本は『野獣死すべし』(1980年)、『一度も撃ってません』(2020年)などで知られる丸山昇一が執筆した。

 物語の中心となるのは、回復の見込みがない難病を患い余命半年と宣告されたラッパー・酒匂章太郎(毎熊克哉)と、彼を支えるジャーナリストの藤岡歩(大西礼芳)。安楽死に反対するふたりは、制度の実態を内部告発するため「安楽死特区」への入居を決意する。だがその中で、安楽死を選ぶ人々の苦悩や医師たちの葛藤と向き合うことで、二人の思いも次第に揺らいでいく。

 ダブル主演の毎熊と大西のほか、末期がんに苦しむ夫とその妻を平田満と筒井真理子、認知症と診断され、安楽死を望む元漫才師を余貴美子、特命医を加藤雅也・板谷由夏・奥田瑛二らが演じる。また、余が演じる漫才師とコンビを組む妹役で友近、加藤演じる尾形の元妻役で鈴木砂羽が出演。そして、毎熊とラップ共演する形で、シンガーソングライターのgb(ジービー)も登場する。

■酒匂章太郎役:毎熊克哉のコメント

 章太郎という役を引き受けるのは正直とても怖かったです。フィクションの映画ではあるものの、実際に回復の見込みがない難病を抱えている方、闘病を支えているご家族の方々は世界中にたくさんいるから、生半可にはやれない。

 役を考える前に、日本では認められていない"安楽死"という選択について深く考える必要がありました。だけど、自分がどの立場に立つかによって考えは180度変わってしまい、もう死なせてくれ…まだ生きててくれ…なかなか答えは出せない…。

 だからこの映画が必要なんだと思い、作品と役から逃げないことにしました。

 丸山さんが書かれた脚本には心臓の鼓動のようなビートがあって、 そこに生(しょう)のリズムを刻み込むようなイメージで章太郎を演じました。

 年齢問わず誰にとっても無関係ではない可能性がある題材です。ぜひ、劇場でご覧ください。

■藤岡歩役:大西礼芳のコメント

 藤岡歩を演じるにあたって、脚本が投げかける「安楽死」というテーマに、私自身も強い問いかけを受けました。
 歩は、安楽死特区の矛盾を明らかにしようとするジャーナリストとしての使命と、難病の恋人・章太郎を何としても生かしたいという個人的な想いとのあいだで揺れ続けます。
 彼が弱っていくほどに、私はむしろ不思議な強さを得ていく――そんな感覚を覚えました。
 演じるうえでの支えとなったのは、事前に触れた「チベット死者の書」の教えです。絶望の中でもわずかな希望を見つけるための道しるべのように感じられ、章太郎役の毎熊さんの静かで優しいまなざしにも、その光が常に宿っていたように思います。
 この物語が、世代を超えて多くの方々に届くことを願っています。

■尾形紘役:加藤雅也のコメント

 どんな患者も生きてもらって帰す。それをポリシーとして生きてきたカリスマ心臓外科医の尾形は、ある時自分は患者の臓器の事は知っていても患者の人となりを知らなかったことを知り、心臓外科医を辞めます。そして、安楽死特区の医者となり「安楽死を選ぶ様々な理由を知る」「命を救うことだけが本当に医者として正しいことなのか?」「患者と家族、患者と患者を取り巻く人々の関係において何が正しいのか?」答えのない答えを求めて葛藤し続けます。

 大西さんとのシーンで印象に残っているのは、「何が何でも生きてほしい」という彼女(歩)の思いを受け止めながらも毎熊さん演じる章太郎の気持ちを伝えるシーンです。絶対に理解されないとわかっていても伝えなければならない。非常に難しいシーンでした。

 毎熊さんとのシーンで印象に残っているのは、病室で二人で語り合うシーンです。章太郎の言う「この病気を長くやってると、暗い絶望と明るい絶望がある」というせりふが印象に残っています。

 お二人のお芝居を通していろいろと考えるきっかけができました。

 鈴木砂羽さんとのシーンは、緒方が医師として人の命を救うために自分の家族を顧みなかった結果、自分の奥さんの心を殺していたことに気づくシーンで、考えさせられました。

 安楽死、それは賛成であるか反対であるかは、簡単に言えることではないです。人それぞれ、その人の生きる環境が違うからです。この映画を見て賛成であるか反対であるかということではなく、人生の幕引きについて考えるきっかけになればいいのではないかと思います。

■三浦ユカ役:板谷由夏のコメント

 演じた三浦の安楽死について個人の考えは揺れ動いている気がしながら演じていました。三浦なりの迷いがあったように思います。毎熊さんと大西さんお二人の心を感じるお芝居を見せていただき、三浦の迷いもリアルになった気が致します。

 自分だったら、自分の大切な人だったら、どうしますか?どう考えますか?問題提起され、自分と会話をさせられる気がします。今だからこその作品だと思いますので、ぜひ劇場でご覧ください。

■鳥居幸平役:奥田瑛二のコメント

 出演したこの作品について感想、思いを尋ねられた時、果たして応えられるだろうか?しまい込んだものを無理やり引っ張り出して語ることができるだろうか?まして…死について…安楽死がテーマならなおさらなことである。たとえ役にモデルとなった人物がいたとしても…考えに考え役を作り、撮影の日々が進むにつれ、スクランブル交差点で迷子になった幼子のように立ち竦んでしまった。それが、題名『安楽死特区』である。撮影が終了し、公開が迫った今でもそれは変わらない。歳のせいか?自分の問題か…今だに答えが出ないままである。


ORICON NEWS

エンタメ

注目の情報