妻夫木聡×佐藤浩市、競馬ドラマで描く“情熱と継承” 日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』で挑…

2025/10/12 06:00 

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日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の場面カット (C)TBSスパークル/TBS

 俳優・妻夫木聡が主演を務める、TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(毎週日曜 後9:00)。大手税理士法人に勤める税理士・栗須栄治(妻夫木)は、馬主である山王耕造(佐藤浩市)と出会ったことで人生を大きく動かしていく。これまでに何度も共演経験があり、プライベートでも親交の深い妻夫木と佐藤がどんな栗須と耕造を演じるのか。撮影の様子や見どころを語ってもらった。

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■原作から伝わる熱量、そして役への思い

――原作や台本を読んでどんな感想を持ちましたか?

妻夫木:原作の早見さんとはもともと親交があったので、日曜劇場という枠で一緒に戦えることが本当にうれしかったです。身が引き締まる思いでした。初めて原作を読んだ時はその圧倒的な熱量に驚きましたし、脚本を読んだ時も、原作の持つ魅力が最大限に生かされている仕上がりになっていて感動しました。臨場感や高揚感、さまざまな想いが詰め込まれた情熱的な脚本で、本当にうれしかったです。

佐藤:競馬そのものを取り上げるドラマは珍しいですよね。競馬をやらない人でも、その時代の名馬の名前は知っていると思うんです。例えばトウカイテイオーやディープインパクトなど、強い馬にはそれだけのインパクトがあった。そうやって競馬に興味を持った人もいるでしょうし、別のきっかけで興味を持った人もいると思います。このドラマも同じで、「競馬に詳しくなくても知っている」というような存在感を持つ作品にしていかなきゃいけないなと率直に思いました。

――栗須栄治、山王耕造を演じるにあたって、意識していることはありますか?

妻夫木:僕が演じる栗須は、挫折から始まり、耕造との出会いを通して競馬界に触れ、だんだんと情熱を取り戻していく人物。絶望の淵でも内に秘めた情熱は誰よりも強い。弱さも強さもさらけ出しながら、自分の思いに正直に突き進む、魅力的な人物だと思います。
演じるにあたっては原作も脚本も何度も読み込みましたが、キャラクターを作り込むというよりは、ありのままに寄り添いながら栗須と一緒に成長していけたらいいなと考えています。

佐藤:僕は耕造を勝手に“昭和感”を漂わせる人物だと捉えています。現代に放り込まれた昭和の人間を、周囲がどう受け止めるのか。その反応を見るのが楽しみです。具体的にどう表現しているかは、ぜひ作品で確かめてください。

僕は競馬歴が長いので、馬主の知り合いも多いんですが、まず「馬主(うまぬし)」と読むことをこのドラマで初めて知る方も多いと思います。どんな人なのか、どれくらい持ち出しがあるのか、賞金はどれくらい入るのか――そういう部分も耕造を通して知っていただけるのではないでしょうか。

■妻夫木聡と佐藤浩市、長年の関係性から生まれる信頼

――これまでに共演経験がありますが、本作で共演されていかがですか?

妻夫木:ご本人を目の前にして言うのは恥ずかしいですが、浩市さんがいてくださることが何より心強いです。耕造役に浩市さんが決まった時は本当にホッとしました。耕造は浩市さん以外考えられないと、どこかで思っていたんです。
珍しく早い段階で終盤までの台本が手元にありますが、順番通りに撮るわけではなくバラバラに撮影は進んでいきます。20年に渡る関係性が描かれているわけですから、そうした撮影状況の中でも、浩市さんと僕との間にある歴史が今回の撮影を大きく支えてくれていると日々痛感しています。

佐藤:30年近い付き合いの中で積み重ねたものが、良くも悪くもにじみ出てしまいますよね。でもそれが栗須と耕造の関係にいいかたちで重なってくれると思いますし、その空気感が漂うのかもしれません。

――クランクインして2か月ほど経ちましたが、撮影の様子を教えてください。

妻夫木:皆さん本当に家族のように過ごしながら撮影しています。僕自身、1日1日が過ぎるたびに「このシーンはもう二度とやらないんだな」と寂しさを感じるくらいで、それほど毎日が愛おしく、充実した日々を送れているのかなと思います。
どの現場でも監督の名前を冠して“〇〇組”と呼ぶのですが、今回は塚原さんが監督なので“塚原組”です。この塚原組は衣装合わせの時からすごく温かい空気があって、その包容力がどんどん広がっていき、今は本当に家族のように一緒に過ごしながら撮影できていると感じます。佐藤さんはどうですか?

佐藤:うちの座長は本当に優等生だね。私は正直きついです。役者同士だけではなく、馬という、損得では動かない存在を相手にしているので。そこに何かを求めることの難しさはありますが、その良さを引き出そうとみんなで頑張っている。これは普通の撮影に比べるときついですよ。子どもと動物にはかなわないですね。

■異例の雨続き…それでも「逆に作品にプラスになる」

――撮影現場でのエピソードや印象に残っている出来事はありますか?

妻夫木:北海道は快晴のイメージがあり、これまであまり雨に降られたことがなかったんです。結構土砂降りの日が続き、なんとかかいくぐって撮影していました。その中で、自称晴れ男、晴れ女がたくさんいて、毎日のように「誰が犯人か」という犯人探しが繰り広げられていました。僕は塚原監督が怪しいと思っているんですが、浩市さんは僕を犯人に仕立て上げようとしていて(笑)。

佐藤:座長が来ると天気が崩れるんだよ。

妻夫木:いやいや、そんなことはないと思いますよ(笑)。

佐藤:冗談抜きで、僕も北海道で10本近く撮影してきましたが、こんなに天候が崩れるのは珍しい。日高の人に聞いても「こんなに降ることはない」とおっしゃるくらい。その中で撮影している。これが逆に作品にプラスに働いてくれればと思います。

妻夫木: 撮影できることが当たり前じゃないってことですよね。

――馬との撮影についてはいかがですか?

妻夫木:僕らの都合で撮影を進めなくてはいけない中でも、馬たちが本当に頑張ってくれています。ある日の撮影で命と命が触れ合う瞬間を見て、思わず涙が出ました。馬も人も関係なく、触れ合った瞬間に無条件に幸せを感じ、「この瞬間のためにこのドラマをやっているんだ」と思ったんです。触れるだけで癒やされますし、かわいいです。

佐藤:僕は乗り役でもあるので、馬との関係性は特別です。馬は、またがった瞬間に「この人は乗れるかどうか」を見抜くといわれています。乗れないと判断されると全く言うことを聞いてくれませんが、「乗れる」と分かると驚くほど従順になる。不思議なものですよね。

馬は草食動物なので視野は広いけれど浅く、意外に足元が弱くてつまずくことも。そんな時、手綱をそっと引いてあげると、「助けてもらった」と感じたのか、その後ぐっと従順になってくれるんです。

それから、僕は馬に話しかける時、普段より少し声を高めにしています。低音を苦手とする動物も多いので、「大丈夫だよ」と優しく高めの声で伝えると、反応が変わるんです。そうしたやり取りを積み重ねるうちに関わり合いが深くなっていく。皆さんにもこのドラマを通して、馬のかわいらしさや、生き物としてのすごさを感じてもらえたらうれしいです。

――最後にこの作品の魅力、見どころを教えてください。

妻夫木:このドラマに関わるまで“継承”という言葉をあまり意識していなかったのですが、台本を読む中で、この物語は馬と人の継承を描いていると感じました。その裏にはさまざまな人の想いが託されていて、「何を思い、何を受け継いできたのか」「そして僕たちは何を託していくのか」。答えがないことなのかもしれませんが、視聴者の皆さんと一緒に答えを探していけたらと思います。

佐藤:おっしゃる通りです。継承というと古臭く聞こえるかもしれませんが、実際には構築していくもので、ただ受け継ぐだけではない。このドラマを通して、そういうことを感じてもらえたらと思います。
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