大沢たかお×上戸彩×津田健次郎、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』共演シーン少なくても感じた“つ…

2025/09/27 08:30 

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『沈黙の艦隊 北極海大海戦』(公開中)に出演する(左から)上戸彩、大沢たかお、津田健次郎 (C)ORICON NewS inc.

 映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が公開中だ。主演の大沢たかお、共演の上戸彩、津田健次郎が集まり、撮影秘話や役柄への思いを語り合った。〈やまと〉パート、メディアパート、政治パートをそれぞれ担う3人の言葉からは、作品への確かなつながりと熱が感じられた。

【動画】映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』SCREENXスペシャル予告

 『沈黙の艦隊』は、「やまとパート」「政治パート」「メディアパート」「アメリカパート」が複雑に絡み合い、作品全体のスケール感とリアリティを支えている。

 やまとパートでは、艦長・海江田四郎(大沢)率いる〈やまと〉内部の緊張感あふれるドラマと北極海での激しい魚雷戦などが展開。政治パートでは、〈やまと〉支持を表明する総理大臣・竹上登志雄(笹野高史)の進退をかけた衆院解散・総選挙が行われる。そして、メディアパートは、テレビ局を辞めてフリージャーナリストとなった市谷裕美(上戸)が一般市民の目線を担い、観客にとって物語を“自分ごと”として受け止められる視点を提供する。

――続編の制作決定をどのように受け止めましたか?

【大沢】僕は俳優を何十年もやってきましたが、どんな作品にも携わるスタッフ・キャストは愛情と魂を注いで作品をつくるものだと思っています。だからこそ評価されて“次のトライ”ができるのは、ただただうれしい。うれしかったけれど、同時に「続編でどうするか」ですよね。生ぬるいことを続けていても何も得られないですし、前作越えを狙っていかないと。その思いはスタッフもキャストも共有していて、皆がその覚悟で現場に集まってくれました。

 上戸さんも、母として、人間として、戦うジャーナリストとしての眼差しが、シーズン1の時よりも研ぎ澄まされていました。

 さらに、大滝という作品を左右するほど大切な役を津田さんが背負って加わってくれて。現場で見ていても新しい風を起こしてくれていたのが伝わりましたし、完成した映画を見てさらに感謝が深まりました。

――上戸さんと津田さんは空港ですれ違う場面以外、共演はほとんどありませんでしたが、お互いの芝居をどう受け止めましたか?

【上戸】津田さん演じる大滝は、いい意味で『沈黙の艦隊』の空気を揺さぶる存在。かわぐちかいじ先生も“大滝は特にこだわったキャラクター”と熱くお話されていて、「大滝は大事な決断をするときに目が笑っている」とおっしゃっていましたが、津田さんのお芝居を見て納得しました。政治パートは緊迫感があり、その中での津田さんの“いい乱し方”が、とても魅力的でした。

――政治パートの現場はどうだったんですか?

【津田】現場は和気あいあいとしながらも張りつめた空気がありました。エンタメ作品でありながら、今の時代に強い問いを投げかける作品でもあるからでしょう。萎縮してしまうようなピリつきではなく、練り上げられた“粘度の高い”緊張感で、むしろ心地よかったです。

 個人的には本作は海江田艦長率いる〈やまと〉の“ロードムービー”だと思っています。そして、大沢さんがプロデューサーとして最初から舵を取っていることが、海江田と重なって見える。企画の立ち上げから今日に至るまで、大沢さんはじめ制作チームや監督がどんな苦労を経てこの規模に到達したのか――その歩みをいつかじっくり伺いたいと思っています。

――巨大な倉庫にセットを組んだ潜水艦内の撮影は、密閉空間で相当な暑さだったと伺いました。シリアスな場面が続く中で、〈やまと〉クルーの皆さんはどのように集中力を保っていましたか?

【大沢】実は“息抜き”らしい息抜きはほとんどなくて、みんなはわりと沈黙していたんですよね。まさに“沈黙の艦隊”でした(笑)。〈やまと〉もいい意味で、張りつめた緊張が心地よく続いていました。監督も細かくは言わず、乗組員は皆、自分の持っているものを100%出し切ることに集中していて、戦いに来ている集団という感じ。だからとても静かなんです。僕はよく“青い炎”と表現しますが、赤よりも強いのが青い炎。青い静かな熱がずっと燃えている感じでした。メディアパートや政治パートに負けないくらい、僕らは燃えているんだ――全員がそう感じているような現場でした。

【上戸】その“青い炎”は、皆さんに言葉で共有したのですか?

【大沢】シーズン1のときに“青い炎”の話をしました。熱い展開だからと声を張り上げるのではなく、海のように深く強い熱――それが〈やまと〉チームには大事だと思いました。一方でメディアパートや政治パートは、叫び、走り回って戦ってくれる。僕らは潜水艦の中という同じ場所に立ち続けますが、その静けさの中でこそ、より激しく戦っている――そんな意識で臨んでいました。

――市谷は最前線に乗り込んでいきますね。

【上戸】そうですね、ヘリコプターに乗る場面は、スタジオで撮影をしたんです。撮影中は、同行するフリーカメラマン役の渡邊圭祐さんと、米テレビ局の報道ディレクターのボブ(演:トーリアン・トーマス)と3人で同じイメージを共有してお芝居できているのか不安でした。出来上がったものを見たときに、3人が同じ景色を見ていると感じられて、すごくうれしい気持ちになりました。

【大沢】すごくよかったですよ。普通の人が最前線を直視すれば、体は恐怖に反応して手が震える。それでも目の前で起きていることから目をそらせない。そのリアルを、彼女は表情一つで示してくれました。

【上戸】うれしい!シーズン1のとき、〈やまと〉パートや政治パートとの“温度差”を感じて落ち込み、すぐに大沢さんへ“反省文”を送ったんです。

【大沢】シーズン1も本当に素晴らしかったと思います。市谷は原作にないキャラクターですが、実写版では政治家でも海自隊員でもない“普通の人”の視点で感情移入してもらうために欠かせない存在で、そこに大きな価値がある。初上映の直後に上戸さんから率直なメッセージをもらいましたが、今回の続編ではその気づきが確実に生かされていると感じました。今作の彼女はさらに頼もしく、説得力がありました。『沈黙の艦隊』はファンタジーでありエンターテインメントでありながら、多くの人が日本や子どもたちの未来を案じている現実にも触れる作品です。そうした“普通の人”の目線を、彼女が丁寧に体現してくれたことが、作品を押し上げる力になったと思っています。

――各パートはほとんど交わることがありませんが、最終的なつながりに大きな余韻が残りました。

【大沢】撮影ではほとんど一緒にならないので、完成した映画を観て僕も感じました。きっと誰かが見ているはずだという思いが、海江田の中にあると思うんですよね。〈やまと〉が何を目指しているのかが世界に届いてこそ、彼の行動は正しく意味づけられる。その“誰か”が上戸さん演じる市谷であり、メディアの向こう側にいる視聴者だと思います。そして、自分の考えを受け取り、その先を発想してくれる誰かがきっといる――ということも海江田は信じて動いている。その“誰か”が津田さん演じる大滝だと感じました。直接は交わらなくても、深いところでみんな同じように未来を見て、より良い道を探している。その思いが各パートを貫いて、どの現場もベストを尽くしてくれた。本当に素晴らしいチームでした。
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