西島秀俊主演『ディア・ストレンジャー』冒頭の10分を公開 上映館数20→60に拡大

2025/09/26 09:00 

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『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』(公開中)(C)Roji Films, TOEI COMPANY, LTD

 俳優の西島秀俊、台湾出身の俳優グイ・ルンメイが共演する映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の上映館数が当初の20館より約60館に拡大されることが決定。また合わせて、本編映像の冒頭10分が解禁された。

【動画】『ディア・ストレンジャー』冒頭の本編映像をたっぷり10分

 ニューヨークで暮らすとあるアジア人夫婦。ある日、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦が抱える秘密が浮き彫りとなり、崩壊していく家族を描いたヒューマンサスペンス。

 映像の冒頭では、西島演じる賢治とグイ・ルンメイ扮するその妻・ジェーン、4歳になる1人息子・カイの、平凡だがどこにでもいる仲睦まじい家族の姿が見て取れる。出身国が異なる夫婦は、共に母国語ではない英語で会話をし、夫の賢治は大学で、「人々の言語を乱して互いに分かり合えなくなるようにした」という旧約聖書に登場する「バベルの塔」を引き合いに、専門とする「廃墟」の意味合いについての教鞭をとっている。

 一方のジェーンは、息子のカイと共に、両親が経営をする雑貨店の店頭に立つのだが、現在NYで頻発している強盗の被害にあってしまう。警察と賢治が店に到着し、幸いケガ人が誰も出なかったことを確認した後、賢治とジェーンは防犯のために銃を保持するべきか話し合う。自家用車で帰路につく3人。油の滑りが悪いのか、車はキリキリと不快な音を出しながら、夜道を駆け抜けていく。家に着いた3人は、すっかり寝入ってしまったカイを気遣い、育児を分担する夫婦の姿が見て取れる。カイを寝室に連れていくことを賢治に任せたジェーンは1人自室にこもり、人形劇の練習に没頭する姿が映しされる…。

 多文化、多言語、分かり合うこと、廃墟、銃、音響、人形を使った身体表現など、本編が始まってからわずか10分間に出てくるこれらのモチーフは後々、物語が進むにつれ重要な要素として機能していく。

 監督は、社会問題を鋭くえぐり、予測不可能な展開で観客を魅了する映画監督・真利子哲也。6年ぶりの最新作となった本作では多国籍のスタッフが集結し、2024年11月~12月末までオールニューヨークロケを敢行。ブルックリンを中心に、チャイナタウンやハーレム等、リアルなニューヨークの日常を映している。

 本作は、9月12日より公開となり、ミニシアターランキング(興行通信社調べ)では公開初週、『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』に次ぐ第2位にランクイン。寡作で知られる真利子哲也監督の6年ぶりの新作であることに加え、西島、グイ・ルンメイといった日本と台湾、それぞれの国を代表する俳優2人が夫婦役で出演していることも相まって、映画ファンから大きな期待が寄せられていたことを表す結果となった。

 SNSでは映画を観た観客から「息子誘拐で噴出する秘密と心の深淵…不穏な映像と音楽、情動揺さぶる傑作!」「これまでの作品とは全く違う、静謐で実験的なテイストに驚かされる。全編NYロケの美しい映像に、物語の空白を埋めるように張り巡らされた心理描写と多層的なメタファー。観客に解釈を委ねるスタイルが、何度も観たくなる中毒性につながっている」などといった感想が上がり、予想できない物語展開だけでなく、作品がはらむ高い批評性が好評を得ている。


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