ルフィ、チョッパーが新幹線に? 移動手段も“推し活”の場に…混雑緩和への配慮も「ONE P…

「ONE PIECE新幹線」第1~3編成(画像提供:JR西日本)

【写真】洗面所には手配書風のデザインも…移動しながら推し活を楽しめるワンピース新幹線、第1~第3編成全貌
■ストーリーと鉄道の旅には親和性がある、『ONE PIECE』が選ばれた理由
新大阪―博多駅間で現在、運行中の「ONE PIECE新幹線」。その企画が持ち上がったのは今から2~3年前のことだった。
「弊社では、これまでも車や飛行機だけでなく、新幹線で旅行するのもいいものだということを幅広い世代の方々にお伝えしたいという思いから、若年層やファミリー層を中心に、新幹線をより身近に感じ、乗ってみたいと思っていただけるようプラレールやエヴァンゲリオン、ハローキティとのコラボを実現してきました。今回もそんな思いのもと、新しいコラボ新幹線を走らせたいと考えたのが始まりでした」(JR西日本 マーケティング本部 早川菜々日氏)
コラボする相手にはいくつかのキャラクターが候補にあがったが、『ONE PIECE』を選んだのは、世界中にファンを持つ人気キャラクターであることもさることながら、以下の3つが大きなポイントになったという。
「1つ目は、冒険の旅がテーマという『ONE PIECE』のストーリー性と鉄道の旅には親和性があると考えたこと。そして2つ目は作品によく出てくる『地域と人を結びつける』『繋がりを進化させる』というストーリーが弊社の目指しているビジョンと同じであるということ。3つ目は、新幹線が運行する西日本エリアの魅力ある観光名所や特産品を『ONE PIECE』に出てくる“お宝”と結び付けて、停車駅で“魅力=宝物”を手に入れるというお楽しみを提供できるということでした」
これらのポイントから満場一致で『ONE PIECE』プロジェクトはスタート。制作を手掛ける東映アニメーションも「新幹線のような物理的に大きいものとのコラボレーションは初めてということで非常に楽しみと、快く受け入れてくださった」と早川氏は微笑む。
シリーズ第1弾となる第1編成目の「せとうちブルー号」の運行をスタートしたのは、大阪・関西万博開幕の前日の4月12日。マーケティング部の江上忠義氏は、「意図したわけではありませんでしたが、せっかく走らせるのであればなんとか万博に間に合わせられないかと車両の改造部門や他部署・グループ会社のみなさまにご尽力いただき、絶妙なタイミングでスタートを切ることができました」と振り返る。
運行スタート直後から、SNSには「見かけた」「乗れた」という喜びの声が多数。その後、5月28日に第2編成目の「トニートニー・チョッパー号」が、7月2日には第3編成目の「モンキー・D・ルフィ号」が登場している。
■「装飾は車両と車両の間のデッキに」混雑緩和のための配慮も…各編成のこだわり
現在3種類のONE PIECE新幹線が走行中で話題を呼んでいるが、それぞれのこだわりはどんなところにあるのだろう。
「第1編成目の『せとうちブルー号』は、『ONE PIECE』の『偉大なる航路(グランドライン)へ』に倣って、『偉大なる線路(グランドレイル)』の“せとうちの旅”をテーマに、新幹線を車窓から見える美しい海をイメージした青色に染めました。その沿岸の路線の『偉大なる線路(グランドレイル)』を麦わらの一味と共に冒険の旅に出るということで、『ONE PIECE』のキャラクターたちを集結させたことが一番のポイントです」(前出/早川氏)
新たなコラボ新幹線を走らせるということで、「第1編成目はとにかくインパクトあるデザインにして注目を集めたいと考えた」と江上氏。「東映アニメーションさんも『一度にこんなにたくさんのキャラクターを描き下ろして載せるということはこれまでなかった』とおっしゃっていた」という話からもその思いの熱さはわかることだろう。
続く第2編成目と第3編成目は、第1編成がたくさんのキャラクターを登場させたので、ひとりのキャラクターに焦点を当てようと考えたという。
「外装はもちろん内装にもテーマに合わせて細やかな演出やこだわりの演出を実現したいと考えていたので、綿密な打ち合わせを重ねました」(江上氏)
こうして2編成目は、マスコット的なキャラクターとして幅広い層に愛されている人気キャラクター・チョッパーが選出された。2編成目の『トニートニー・チョッパー号』はチョッパーのイメージカラーのピンクとブルーを車体や内装にあしらった親しみやすく可愛らしいデザインが特徴となっている。
「3編成目の『モンキー・D・ルフィ号』は、ルフィの象徴である“麦わら帽子”を車体カラーに取り入れました。注目ポイントは、これまでの作品のストーリーを想起させる32種類のポーズや表情のルフィがオリジナルで描き下ろされていることです。32種類のルフィが出てくるのは史上初で、ここまでたくさんのルフィを描いていただけるとは正直思っていませんでしたので、東映アニメーションさんの本新幹線へのこだわりを強く感じ、非常に嬉しかったです」(江上氏)
どの編成も車内はドアの装飾から座席のヘッドカバーまでONE PIECEの世界観に浸れる様々な工夫とデザインが施されている。さらに、洗面台には手配書のデザインが施され、鏡の前に立つと、自分が巨額の懸賞金がかけられた大物海賊になった気分を味わえるなど、楽しい工夫の数々が凝らされている。
ただ、新幹線内にあちこちに写真を撮りたくなる場所があると、車内が混雑してしまうのではないかと心配になるが、「写真が撮りたくなるような装飾は、客室よりも車両と車両の間のデッキなど、立ち止まっても迷惑にならないようなところに施している」(江上氏)とのこと。そのほかにも、車内アナウンスで譲り合いの協力をお願いするなどの配慮もなされている。車内アナウンスもオリジナルになっており、一部駅ではルフィ、チョッパーの特別放送も実施されている。
■多様なファン層に刺さる工夫、「旅前・移動中・旅後すべてでコラボを楽しんでもらいたい」
しかし、誕生までには苦労もあった。一番は「ファンをがっかりさせず、期待に応えるとともに、ライトなファンのお客様にも楽しんでいただけるよう調整することだった」と江上氏。
「私も個人的に『ONE PIECE』が大好きなのですが、マニアックなネタばかりになってコアなファンにしかわからない演出になってしまってはコラボ新幹線のコンセプトから外れてしまいます。コアなファンの皆さまに楽しんでいただきながらも、ライトなファンの方々にも楽しんでもらうためにはどういう表現がいいか。制作サイドとは複数回にわたって細かく調整をしましたが、弊社も制作サイドもこだわりが強い分、想像していたより話し合いは難航し、スケジュール的に間に合うかどうか不安になるほどでした」(江上氏)
「コアなファンにクスッとしてもらえるこだわりもいくつか採用した」ということで、少しだけ種明かしをしてもらった。
「第2編成のチョッパー号の洗面所にデザインされている指名手配書の下に書かれている懸賞金の額はすべて同じではありません。あと、第1編成のルフィ号には敵味方関係なくいろいろなキャラクターが描かれていますが、コアなファンにしかわからないようなキャラクターもいますので、探して楽しんでいただければと思います」(江上氏)
ONE PIECE新幹線が採用されている“こだま”は、平日の通勤利用や少し近めの出張などでの利用者が多く、“のぞみ”や“みずほ”に比べ、安近短なのが特徴。アニメの聖地巡礼など、目的地が推し活となる推し旅が話題になっているが、今回のコラボでは、新幹線という移動手段そのものが推し活の場となっている。
「今後、新幹線での移動時間だけでなく、旅前から新幹線に乗っている間の旅中、そして旅後を通してONEPIECEの世界観をお楽しみいただける企画を進めている最中です。麦わらの一味と一緒に冒険の旅に出かけ、旅の途中で仲間に出会い、おいしいお宝を見つけたり、宴をしたりと、新幹線の旅とONE PIECEの世界観をリンクさせるような企画を山陽新幹線沿線で統一的に展開する予定ですので、楽しみにしていただけたらと思います」(早川氏)
(文/河上いつ子)
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