本屋大賞作家・逢坂冬馬さん、最新作の手本は「青山メソッド」 作風異なる人気作家との対談で創…

作家・逢坂冬馬さんと青山美智子さん。(C)oricon ME inc.

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■青山作品が『ブレイクショットの軌跡』執筆への原動力に
今年3月に刊行された『ブレイクショットの軌跡』は、逢坂さんが初めて現代日本を舞台にした連作長篇だ。蝶の羽ばたきが巡り巡って海の向こうまで影響を与えるバタフライエフェクトのように、異なる物語が連鎖していく。逢坂さんはイベント冒頭、同作は青山美智子さんの巧みな連作集の数々を手本にしたものと明かした。
2017年に『木曜日にはココアを』(宝島社)で小説家デビューした青山美智子さんは、『赤と青とエスキース』『人魚が逃げた』(ともにPHP研究所)などで5年連続本屋大賞にノミネートされるほか、『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)が、米・『TIME』誌で「2023年の必読書100冊」に唯一の日本人作家として選出され、海外でも人気が高い。雑誌『an・an』の連載に描き下ろしを加えた新刊『チョコレート・ピース』(マガジンハウス)も話題だ。
「青山作品のメソッドは、様々な視点を持った人物がいて、1人からは見えない側面をほかの誰かが観ていたり、その1人の視点はほかの誰かには見えていないというもの。この青山さんのメソッドをマネしても、僕と青山さんでは扱うテーマが全く異なるので、似ても似つかないものが書き上がる自信があったので、堂々とマネをさせていただきました(笑)」と、会場の笑いを誘った逢坂さん。続けて、「2作目の『歌われなかった海賊へ』を出版後、精神的にボロボロになっていたときに『リカバリー・カバヒコ』を読み、カバヒコが私の心を潤してくれて、次に行こうという気持ちになれた」と、青山作品が『ブレイクショットの軌跡』執筆への原動力にもなったことを打ち明けた。
一方青山さんは、まさしくこれが『ブレイクショットの軌跡』ではないかと思ったという逢坂さんと自身の幼少期の愛読マンガ『アラベスク』(山岸凉子作)をめぐる実体験を熱く語ったほか、“青山メソッド”とされた自身の小説を「感覚としては駅伝」と説明。「ランナー1人ひとりに見える景色とコースは違っているけど、同じチームのメンバーなんです。私はコーチで、そこでこだわるのは走者の順番。スターターは誰か、アンカーはどのキャラクターにするか、すごく考える」と知られざる執筆エピソードを披露した。
■「ここで時世から逃げては一生後悔すると思った」本屋大賞の受賞スピーチ
また、青山さんは逢坂さんとの印象深い出来事として、『同志少女よ、敵を撃て』で「2022年本屋大賞」を受賞した際のスピーチをあげ、「反戦のために立ち上がった人たちのことをロシアと捉えたい、小さな声に耳を傾けたい。この小説は、武器を取って祖国のために戦えと言っているのではないということを、強く訴えていらした」と振り返った。
『同志少女よ、敵を撃て』はロシアと戦争をテーマにした作品で、発刊した直後にロシアとウクライナの戦争が起き、そうしたなかでの大賞受賞だった。
逢坂さんは「およそ大賞受賞者がするようなスピーチではなかった」としながらも、「惨憺たる光景が連日報道されるなかで、本屋大賞を受賞するという異例の展開。各所への感謝の気持ちを述べるべき場所だったかもしれないが、ここで時世から逃げては一生後悔すると思った」と当時の想いを口にした。
なお、この日のトークイベントは『物語で“希望”を描くということ』をテーマに開催され、逢坂さんは、「青山さんの作品は誰も死なず、このまま不幸で終わらないだろうと思って、読んでいてすごく勇気づけられる。実はそういう作品を書くことは1番難しい」とし、「僕はそれを目指して、言わばアンサーソングのような気持ちで『ブレイクショットの軌跡』を書いた」と明かした。
戦争や貧困、差別などの社会問題に目を向ける逢坂作品と、あたたかい日常の世界が特徴の青山作品。全く異なる作風とモチーフでありながら、その根底には作家として通じる思いがあることを実感する対談となった。
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