手塚治虫原作『W3』アニメ制作秘話「外されて怒った手塚が、残った若手に『やるぞ!』って」 …

2025/05/14 14:07 

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『手塚世界と私 ~W3ワンダースリーの出演者が語る~』に出席した(左から)成河、彩吹真央、井上瑞稀、ウォーリー木下氏 撮影:岡千里

 手塚治虫さんの漫画を原作とした舞台『W3 ワンダースリー』が6月から東京と兵庫で上演される。これに先がけ『手塚世界と私 ~W3ワンダースリーの出演者が語る~』が12日、都内で行われ、手塚プロダクションの湯本裕幸氏が出席。原作をアニメ化したときの秘話を明かした。

【写真】手塚治虫作品のキャラクターたちを背に笑顔でポーズをとる井上瑞稀ら

 本会は、手塚プロダクションの協力のもと、舞台『W3 ワンダースリー』上演へ向けてより作品への見識を高めるべく、手塚治虫の聖地、手塚プロダクション事務所ロビーの『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』のキャラクターが展示されている中で開催。ほかに、KEY TO LITの井上瑞稀、俳優の彩吹真央、成河、演出・上演台本のウォーリー木下氏が参加した。

 背後のモニターには当時のアニメ映像が流れる中でトーク。アニメ誕生の経緯について、湯本氏は「(原作漫画の)あとがきには、当時手塚が社長をやっていた虫プロの若手アニメーターが、その前にやっていた『ジャングル大帝』とかのアニメ作品に関われないので新しい作品をやろうってなったと書いていますけど、噂によると、手塚さんはその前にやってる『ジャングル大帝』のアニメーションで外されたらしいんですよ。社長なんだけど、遅いから、関わると」と暴露した。

 「一説ですからね。真実はわからないですけど」と強調しつつも、「いまも存命のスタッフの方に聞いたんですけど、どうも外されて手塚さんが悔しかったらしいと」と話す。続けて「『鉄腕アトム』っていう日本で最初の30分のテレビアニメシリーズがあって、遅いんですよね。漫画と兼ねているから。進行が遅れちゃうんで、『ジャングル大帝』では外されたらしいんです」とし、「それで怒って、じゃあって言って、残った若手のスタッフたちに『やるぞ!』って作ったみたいな話もあります」と明かした。

 本作の原作『W3』は、1965年~1966年まで『週刊少年サンデー』に連載されたSF漫画で、誕生してから今年で60周年を迎える名作。原作者である手塚さんは「ただ一つ。これだけは断じて殺されても翻せない主義がある。それは戦争はご免だということだ。だから反戦テーマだけは描き続けたい。」と語ったといわれている。

 そしてこの『W3』も、戦争、温暖化、食糧危機、地震やエネルギー不足など、人類が直面している自然と共存する上での多くの課題を抱えた地球の宇宙から観た姿を描き、宇宙からやってきたボッコ、ノッコ、プッコや、手塚漫画に欠くことのできないランプなど多彩な登場人物で構成され、反戦テーマをベースに描かれている。

 舞台では、日本の田舎にある小川村に住む少年・星真一役を井上、星兄弟の母でF6号役を彩吹、秘密諜報機関フェニックスの一員である真一の兄・光一の潜入先で待ち受けるエーグニ警備隊のランプ役を成河が演じる。

 本公演は、6月7日~29日に東京・THEATER MILANO-Za、7月4日~6日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて上演される。
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