上手に説明・作文をする人の“特徴” 自分で自分にインタビューして「情報を整理」

2025/05/11 08:00 

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『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』より

 口頭で上手に説明、あるいはそれを文章にすることに苦手意識を持っている人は少なくないだろう。でも、人から質問されたことにスッと答えられるなら、説明や作文は意外と難しくないかもしれない。

【画像】誰でも再現できる!『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』書影

 偏差値35から二浪で東大に合格。現在は教育事業を手掛け、TBS日曜劇場「御上先生」「ドラゴン桜」の監修も担当した西岡壱誠さんは、説明や作文が上手な人は自分で自分に質問ができる人だと解説する。

 西岡さんが一生ものの「頭の良さ」を身につける方法に迫った著書『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して届ける。

■3つの問いで、たちどころに伝わる「自己紹介」の作り方

たとえばみなさんは、「今から自己紹介をしてください」と言われたら、できますか? おそらく多くの人が、難しいと言うのではないでしょうか?

 でも、たとえば「次の3つの問いに順番に答えてください」と言われたら、できるのではないでしょうか。

「1 あなたを動物にたとえると何ですか?」
「2 その動物の特徴は何ですか?」
「3 なぜ、あなたは自分がその動物だと言えるのですか?」

 そしてこの問いを組み合わせると、しっかりと自己紹介になります。

「私を動物にたとえると、ゾウです。ゾウは大きくてがっしりとしている割に、繊細な生き物だと言われています。なぜゾウなのかと言えば、ご覧の通り私も身体が大きいのですが、心は繊細だからです」

 どうでしょう? いい感じですよね? これと同じように、文章も説明も、いきなり「文章を書いてください、これについて説明してください」ではうまくいきません。でも、質問に対して答えを考えていく形式なら、誰でも文章を作ることができます。

「こういうことに対して、あなたの考えを聞かせてください」と言われたときに、パッと答えられる人は少ないでしょう。「ええ? 何を言えばいいんだ?」と悩んでしまうと思います。でも、「インタビューをさせてください! これって何でなんですか?」といくつかの質問をされたら、「それは、こういうことですよ」と一つひとつ答えを考えることはできると思います。インタビューで質問されたら答えられるのに、説明しろ・文章を書けと言われたら、難しくなってしまう。これは多くの人に共通することです。

▼自分で自分にインタビューすれば、上手に説明できる

説明・作文とインタビューの違いは、「質問があるかないか」です。問いに答えることはできるけれど、問いがない状態だとパッと答えるのが難しいのです。

上手に説明・作文をする人というのは、まず真っ先に言いたいことを考えて、それに対して自分で質問をしていく人です。自分で自分にインタビューをして、情報を整理していきます。そして、その際には、「上流から下流へ」が原則です。

みなさんは川で遊んだことがあるでしょうか? 僕は川が結構好きで、よく遊びに行くのですが、川ってなかなか面白いんですよね。毎日行っていると、日々姿が変わるのがわかります。同じ川であっても、水が濁っている日もありますし、逆に水が澄み渡っている日もあります。石や岩が多い日もあれば、魚が多い日もあります。

でも、なぜそんなに川の姿が変わるかというのは、僕らが見ている部分だけでは説明できません。なぜなら、僕らが見ている川は、あくまでも「下流」だからです。川には、上流と下流があります。上流で雨が降っていたり天気が荒れていれば、下流も水量が増え、ときには氾濫してしまうこともあります。逆に、上流の天気が良ければ、下流の川も澄み渡ります。もし我々がその川を理解しようとしたら、下流だけでなく、上流も見なければならないのです。

結論として語られていることには、すべて、そうなるまでの背景が存在しています。そう話すに至った原因や、抽象化して言いたいことが隠されています。「下流」で物事を考えるのではなく、「上流」を探す思考が必要なのです。

自分の言いたいことを明確にして、それに対してたくさんの質問を加えていくことで、うまく説明できるようになっていくのです。

「言いたいことは1つしかないけど、それでそんなに話を広げていけるものなの?」と思うかもしれませんが、大丈夫です。

川の上流と下流を比べたとき、上流は1つしかなくても、下流になっていけばいくほど複数に分かれていきます。日本海に注ぐ石狩川も、太平洋に注ぐ十勝川も、オホーツク海に注ぐ常呂川(ところがわ)も、源流は1つしかありません。それと同じで、たった1つのメッセージであったとしても、具体化したり抽象化したりしている中で、複数に分解できるのです。

たとえば、「子どもは褒めて伸ばすべきだ」と伝えたいとします。このメッセージに対して、たくさん問いを考えていきます。

・なぜ、「子どもは褒めて伸ばすべきだ」と言えるのか?
・「褒めて伸ばす」とは具体的にどういうことか?
・「褒める」というのは、どういうことか? どういう定義ができるのか?

などなど、たくさん考えられますね。そしてこれに対して答えを考えていけば、自然とうまく説明した文章を作ることができるようになるわけです。

■西岡壱誠(にしおか・いっせい)
カルペ・ディエム代表。1996年生まれ。偏差値35の学年ビリから、2浪で自分の勉強法を一から見直し、どうすれば成績が上がるのかを徹底的に考え抜いた結果、東大に合格。著書『東大読書』シリーズ(東洋経済新報社)は累計40万部のベストセラーに。漫画『ドラゴン桜2』の編集やドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』『御上先生』の脚本監修を担当。MBS『100%!アピールちゃん』『月曜の蛙、大海を知る。』にてタレントの小倉優子さんの受験をサポート。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、多くの受験生や教育者から支持を集めている。
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