坂元裕二氏、死生観を明かす「自分が死んだら生ゴミの日に出してくれればいい」 死の利用につい…

2025/04/13 21:23 

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映画『片思い世界』公開記念ティーチインに参加した坂元裕二氏 (C)ORICON NewS inc.

 脚本家の坂元裕二氏(57)が13日、都内で行われた映画『片思い世界』の公開記念ティーチインイベントに参加した。

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 冒頭のあいさつで坂元氏は「最近よく使うけどわかってない言葉の第1位がティーチイン。だから、あまりわかってないんです」と話して笑わせた。この日のイベントで、古い一軒家で一緒に暮らす美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)という主人公3人が実は死んでいた、という情報が解禁となった。

 幼少期から、これまで描かれてきた死後の世界について「天国や地獄という概念があまり自分の中でピンと来なかったんです」と話した。一方で近しい人が亡くなる怖さに絶えきれず布団の中で泣いていたそう。そんな中で完成した本作。どんな受け手に見てほしいか考えたのか、という質問が。「ずっと、そのことについて悩んでいた。僕もいつも仕事をしながら『これは何のために誰のために書いてるんだろう』と思うことがあって。最初の頃は、今いる人たちに向けて書こうと思っていた。それがだんだんこれから生まれてくる人たち、未来の人たちに向けて書こうということも増えてきて。で、最近もう1つ思うようになったのが、すでにいなくなった人のためにも私たちは何か作ることで自分自身を癒すことにもなるし、弔いでもあるし。そうやって過去と未来と現在を自分たちで認識して生きた方がライフハックだと思ってるんです。不思議じゃなくて。ちゃんと過去の人のこと、未来の人のこと、今の人のこと、その3つの人たちのことを考えながら生きた方が生きやすいんじゃないかなって。そんなことを思うんですよ」としみじみと語った。

 そして司会から「誰かに書かされる感覚は?」と質問されると、坂元氏は「締め切り以外は何もない」と苦笑いで答える。続けて「僕自身は、すごくリアルなUFOも見たことないし、幽霊も見たことがないし、不思議なことに出会ったこともないし。自分が死んだら生ゴミの日に出してくれれば、それでいいぐらいに思っている。そんなに敬虔なものを感じる人間ではない。だからこそ、何か良き人であろうとか、ちゃんとした人間でありましょうとか、そういったことに死というものを利用されるのが嫌だなと思うんです」ときっぱり。

 「それをどこかライフハックとして、描けたらなって」と本作への思いを語った。また、パンフレットでは「自分の脚本家人生はこれを書くためにあったのかもしれないぐらいの作品だった。棺桶に入れてもいいぐらいの作品」と話していた。これについては「単純にとても気に入っていて。もうこれだけ残っていれば。テレビ業出身の人間だから、何かを残したいと思っていない。放送時間の月曜日の9時に放送が終わったら、別にみんな忘れればそれでいいと思ってやってきた。けど、これはちょっと残ってもいいかなって自分では思ってます」と話していた。

 本作は、映画『花束みたいな恋をした』以降、ドラマだけでなく『怪物』(第76回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞)、『クレイジークルーズ』(Netflix)、最新作『ファーストキス 1ST KISS』など、映画でも精力的に活動する脚本家・坂元裕二氏が新たに書き下ろした物語。

 現代の東京の片隅、古い一軒家で一緒に暮らす美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)。仕事に行ったり学校に行ったりバイトに行ったり。家族でも同級生でもないけれど、お互いを思い合いながら他愛のないおしゃべりをして過ごす、楽しく気ままな3人だけの日々。もう12年、強い絆で結ばれているそんな彼女たちの、誰にも言えない“片思い”とは。
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