つんく♂、声帯摘出公表から丸10年 近大入学式で祝辞「大学生の間にやっておけばよかったこと…

2025/04/07 15:33 

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近畿大学「令和7年度入学式」に登場したつんく♂

 近畿大学の令和7年度入学式が5日、大阪・東大阪キャンパスで開かれ、式の総合プロデュースを務めた、音楽プロデューサーで同大学OBのつんく♂(56/商経学部卒)が祝辞に立った。

【写真】近畿大学入学式にサプライズ登場したせいや、MOMOCHANI

 つんく♂は、2015(平成27)年度の近大入学式で、喉頭がんのため声帯を全摘出したことを公表。あれから10年が経った。

 音楽の道へと進んだ自身の経験を踏まえ「大事なのは、才能にしがみつくのではなく、今の自分の個性に何を足していくのか。その発想の転換だけで、高偏差値の大学生に負けない、ネクスト近畿大学生が誕生していくと思います」とエールを送った。

 式典には、サプライズゲストとして、大学OBのお笑い芸人・霜降り明星のせいや(32/文芸学部卒)、3月に卒業したばかりの吉本興業所属のMOMOCHANI(22/文芸学部卒)が登場した。せいやは「新入生の今年パワーすごいですね」と会場に響く歓声に驚き。「せいやー!」と大声で呼ぶ声に対して「俺、金借りたん?」「“金返せ―!”みたいなヤジ飛んでますけど」とその迫力に圧倒されていた。

 式典の最後には、本学OBの落語家・月亭文都が音頭を取り、約8000人の新入生が大学生活の充実を願い、一斉に大阪締めを行った。

 つんく♂がデザインした今年度入学式のロゴは、今年創立100周年を迎えたことを記念し、「Yeah!100周年!」という吹き出しとともに、次の100年へ向けてという意味を込め「NEXT KINDAI Generation」の文字を使用している。

■つんく♂祝辞全文
令和7年度、近畿大学にご入学された皆さま、本日は誠におめでとうございます。そして今年は近畿大学としても学園創立100周年という記念すべき年のご入学ということで、ご親族、関係者の皆さまもお喜びのことと存じます。

私つんく♂も、この近畿大学に1987年に入学しました。大学生時代はアマチュアバンド活動とアルバイトをしながら、せっせと授業も受け、なんとか4年で大学を卒業することができました。
その後、バンド・シャ乱Qとしてプロデビューし、モーニング娘。やアイドルなどのプロデュースを中心に音楽活動を続けてきて現在に至ります。今日はあの頃を振り返りつつ、大学時代に気が付いたことと、大学生の間にやっておけばよかったなと思ったことをお話ししたいと思います。

近畿大学って知名度もあって人気だし、入学式も派手派手らしいし、入れたらいいねって思ってた人、他に行きたい大学もあったけど、他は全部落ちたし、とりあえず近大入ってみるかって感じで今日を迎えている人もいるかとは思います。大学の偏差値ランキングで、この先の未来が決まったような気がしてる人がいたら、実はそれが1番危険な発想なんです。

僕は病気をし、歌声を失いましたが、今も音楽活動を続けています。僕は特に、英才教育を受けてきたわけでもないし、絶対音感もありません。近畿大学在学生だった頃、俺の勉強はそこそこやけど、ミュージシャンとしてなら日本一になれるんちゃうか。きっと隠れた才能があるはずや。頑張ったろって思っていました。根拠もないのに、よくこういう考えになれたなって思いますが、それが近大生のいいところでしょ。

でも実際には、目が出ませんでした。俺の才能を見抜く人が大阪にはいないんじゃないかと、自分の不出来さを他人や環境のせいにしていました。普通ならその辺で、へこたれるか、諦めるか、「趣味だし、まあいっか」って割り切るのかもしれませんが、あの時の僕はこう思いました。「自分には実は才能がないのかもしれない。でも音楽を続けたい。どうすればいい」。この部分は随分、悩みました。
ただ、ここで大事なことは、才能がないのかもしれないということを自分で受け入れたことだと思っています。自分には音楽的才能だけでは足りないと自己判断し、僕たちは人気をつけることに集中しました。要するに宣伝活動です。

今ならSNSで拡散ってことなんでしょうが、そんなのが、なかった時代なので、チラシを作ってひたすら配る。そんな口コミ活動を2年くらい続けました。結果、ジリジリと知名度が上がり、大学を卒業する頃には、アマチュアバンドの中では名が通るバンドになっていたと自負しています。
皆さんにどんな才能があるのか、どれくらい平凡なのか、それぞれに特徴があるかとは思いますが、大事なのは才能にしがみつくのではなく、今の自分の個性に何を足していくか。その発想の転換だけで、高偏差値の大学生にも負けないネクスト近畿大学生が誕生していくと思っています。

そして、大学生の間にやっておけば良かったこと。それは海外の旅です。旅行ではなく、研究や探索というような気持ちでいろんな海外を見ておけばよかったなと思います。近大には交換留学制度もあるし、言語の学習もそうですが、自分の個性を伸ばすヒント探しのためにも、大学生の間にたくさんの国や都市を巡ることをおすすめします。

最後に、本日の入学式をプロデュースするにあたって、数ヶ月も前から一緒に準備してきてくれた在学生の皆さん、貴重な時間をシェアしてくれたことに心より感謝いたします。1回きりの本番ですが、こうやって素敵な式典を一緒に作り上げることができて、卒業生としても本当に誇りを感じます。ありがとうございました。皆さまにとって良き大学生活となりますように。

2025年4月5日、1991年卒業生、近畿大学入学式総合プロデューサー つんく♂
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