津田健次郎、身近に感じた地下鉄サリン事件 発生から30年が経過して感じたこと「一体何だった…

21日放送『1995~地下鉄サリン事件30年 救命現場の声~』に出演する津田健次郎 (C)フジテレビ

【場面カット】白衣にネクタイ…当時の時代感を感じさせる医師・津田健次郎
地下鉄サリン事件とは、日本の首都・東京で発生した化学テロ事件。地下鉄丸ノ内線、日比谷線、千代田線の車内で神経ガス・サリンが散布され、死者14人、重軽傷者は約6000人におよび、化学兵器が一般市民に使われた初の事件として世界に衝撃を与えた。
同作で津田はドラマ初主演。患者の救急救命対応に当たった実在の医師がモデルの剣木達彦(つるぎ・たつひこ)を演じる。凄絶なパニックのさなかの“命のリレー”を、30年間にわたる独自取材に基づきドラマ化し、救命救急ドラマとして描く。
――医師を演じるためにどんな準備をしましたか?
現場に入るまでに時間がなくて、まずは資料映像に目を通しました。特に僕は医療の担当なので、先生が患者さんをストレッチャーで運ぶシーンをたくさん見ました。「どんな動きをしているのかな、何を話しているのかな」というところを中心に。資料映像でいろんなバージョンの映像を中心に汲み上げましたね。あとは医療監修の先生に質問しまくってましたね。
――事件の印象について教えてください。
当時、丸ノ内線の沿線に住んでいたんですよ。朝、ニュースを見ないで稽古場に行こうとしたら、駅が閉鎖されていた。よく見ると空にヘリコプターが飛んでいて、すごいことが起きていると思いました。慌てて家に帰ってテレビを見たらすごいことになっていたので、その日のことはよく覚えていますね。
当時住んでいた場所に商店街があって、その中にオウム真理教の支部があったみたいなんですね。そしたらあの事件が起きて、こんな身近に事件が起こるんだなと。本当によく覚えています。
――役を演じてみたことで改めて気付いたことはありますか?
事件のことは文章でも読んでいたけど、医療の話はそんなに情報として出ていなかったなと思っています。今回(医師の)剣木という役をやらせていただいて「こんな状況だったんだな」ということが多くて、知らなかったことが多かったですね。
――オファーされた時の心境を教えてください。
この事件は僕が23歳の時のことで、印象に残っている事件の一つ。いまだにどこか影が自分の中に残っているといいますか、「あの事件って一体なんだったのか」と。日本を象徴するようなものを感じる事件の一つだったんですよね。その事件をベースにしたドラマに参加させてもらえることは、役者としてもありがたい。自分の中に、いまだに深く残っていますね。
――架空のキャラクターを演じることとの違いはありますか?
同じ部分のほうが多いんですけど、心構えとして急がないように丁寧に丁寧にと。フィクションだからOKではなく、実際の事件をベースにしているので、医療的な部分は丁寧にやっていけたらなと思っていました。
――事件から30年が経って、改めて演じてみて事件から学ぶことはありましたか?
剣木という医者がひたすら患者さんを助けることに注力したことを忠実に演じました。30年が経って地下鉄サリン事件にタッチさせていただく機会になったので、また考えました。「これは一体何だったんだろうって」。社会の抱えている根源的な問題は何だろう、それは果たして解消されたのか?いやおそらく解消されていないだろうなという空気を感じます。
あの時代が持っていた空虚感が、より根深くなっているのではないかという気もします。それは僕もこの時代を生きてきたので、自身が持っている空虚感だったりもするので。改めてドキュメンタリーをベースとしたドラマとして世の中に呼びかけていくことは、意義としては大きいなと。特に30年経っていて、(事件を直接知らない)若い方もすごく多いので。
――現場で30年の時間軸をどう感じましたか?
脚本で思ったのは「婦長」って言うんですよ。まだあの当時は看護婦長だったよなって。そこにすごく時代を感じたのですが、それは脚本を作る時にあえてチョイスしたんだなって。衣装合わせでは、今だったら救急の先生もTシャツを着てってことも多いんでしょうけど、当時の映像を見るとシャツとネクタイをしてらっしゃる方が。これはもしかしたら時代的なものかもしれないですよね。
――視聴者にメッセージをお願いします。
地下鉄サリン事件から30年という節目にドラマ出演させてもらうことは、(事件を)振り返る意味でもありがたいと思っています。報道の観点とドラマの観点がミックスされて、より見やすく皆さんにお届けできるのかなと。またフィクションではない報道としての役割も持ったドラマなので、あの事件の後ろで命を懸けて働いた人がいて、すごく頑張ったことを知ってほしいし、事件というものが一体なんだったのかということを改めて一緒に考えていければなと思います。
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