野田クリスタル、根底にあるのはインディーズ愛「小屋感がすごく好き」 新作『野田ゲー』でも実…
『スーパー野田ゲー MAKER』取材会に出席したマヂカルラブリー・野田クリスタル(C)ORICON NewS inc.
【写真】おもしろ!”野田ゲー”に熱中していた野田クリスタル
『スーパー野田ゲーPARTY』(2021年4月発売)、『スーパー野田ゲーWORLD』(22年7月発売)と同様に、資金も素材もクラウドファンディングで調達したユーザー共創型ゲームとなる。今回の『野田ゲー』について、野田は「2つに分かれてまして。まずはゲームを勝手に作ってくれるんです。野田AIの質問に答えていくと、何かしらのゲームを自動で作ってくれます。それが1つの要素です。で、もう1つが、その作ったゲームをアップロードできて、誰かが作ったゲームを遊べます。この2つです」とアピール。また、アップロードされたゲームは改造でき、二次創作として活用できる。
製作期間は約1年で、毎週行われたという製作チームとも濃密なやり取りだった。「『PARTY』、『WORLD』の時は、打ち合わせの内容がポップ。『こんなゲーム作ろう』というような。『MAKER』の打ち合わせは、ガチンコでゲーム開発クリエイターだった。ルミネtheよしもとで打ち合わせしてる時に外で『何の打ち合わせしてるんですか?』って状態になった(笑)。専門用語しか飛び交ってない。芸人の打ち合わせじゃなかった。途中で芸人であることを忘れていたし、相手も忘れていたと思う」と苦笑いだった。
過去の2作と違い作る要素をいれた理由を問われると野田は「もういい加減にお前たちがリール作ればいいじゃないか、と。逆ギレです。いつまで俺がゲーム作ってるんだ、お前らも作れ、ということで、ちょっとこのメーカー要素入れてみたんです」と笑う。別の狙いも。「この世の中には変態がいるんです。YouTubeとか、僕が見ていたニコニコ動画とかで、でもとんでもなく何か1つのものに集中して、わけわからんものを作る人がいるじゃないですか。世には、メディアに出てない何かにカロリーを捧げる人間がいる。それは、たぶんゲーム作りもそうだと思っていて。すごい時間を掛けたり、すごい変なアイデアのゲーム作る変態がいるような気がするんです。僕が『野田ゲー』を出してるけども、たまたま僕がプログラミングできただけで『R-1』優勝まで行けた。『野田ゲー』より、もっと面白いゲーム作る人がきっといて、それが僕は見たいんですよ。ゲーム作りは1人で作業しても絶対に途中で諦める。でも、この『野田ゲーMAKER』は一旦まずゲームが完成してからがスタートになる。完成して自分で編集していく。そこから世の中の誰かが、さらに面白いゲームに仕上げて、それをアップロードして、世の中のわけわからんヤツが作ったとんでもないゲームを遊びまくる、という流れです」と明かした。
「ゲームを作るという作業が楽になり、このゲームクリエイターがとにかく増えてほしいっていうのが僕の一番の願いですね」と思いも。根底にあるのは、名作として知られる『RPGツクール』。自身でオリジナルのRPGを作れるゲームだった。「もともと初めてゲームを作ったのが小学生の時の『RPGツクール』。本当に感動しました。『うんこ』という言葉でゲーム作ったら、主人公が『うんこ』と言ったんですよ。言っちゃいけない言葉を言って気絶するかと思った。何やってもいいじゃんって。じゃあすごくないかと。そこになんだか可能性を感じて、すごい熱中した覚えがある」と振り返った。ただ、一方で感じたことも。「ゲーム作りは、やっぱり大変だなと思った。例えば1ヶ月かけて作ったゲームも5分で終わるんです。それぐらい個人で作るゲーム作りって大変なんです。そういう思い出があったから、最初にゲームができていた方がいいかなって思ったんです」とした。今回は、アクション、RPGといったジャンルから、音ゲー、クイズゲーなど多岐にわたる。「アイデア次第では野球ゲームが作れたりもする。その人次第です。エクセルでアニメーションを作るような発想ですよね。クリエーターが増えれば、発見が増えて、いろいろ広がる」とイメージを伝えた。
「ゲーム作りは本当楽しいんですよ。コツコツやるのも楽しいし、無心になれて心のケアにもなる。あと自分が作ったゲームを人にやってもらうのって超楽しいんですよね。自分が想定しなかった動きをしたり、そんな攻略あるって思ったり。コーナーライブを作った時にみたい。『そうボケるんだ』みたいな」と呼びかけ。ただ、いきなり大ヒットを見込むのではなく、長期間で見ているそう。「最初はゲーム本数が少ないんです。なぜかと言ったら、そもそもゲームが作られてないから。だから動画系のプラットフォームと同じで、このゲームが流行るには、まずクリエイターが増えないといけない」と力を込める。ヒットのためには持てる力を注ぎ込むそう。「(ヒットするまでに)時間が掛かるので、こうやっていろんなところの媒体で僕が細かく説明して、なんとか伝わるかなって。命懸けです。これが本当に命綱。僕のSNSごときじゃ広まらないんですよ!全然、趣旨も理解してもらえない。何度もアピールして、じわじわ伝わっていくかな。どうやったら伝わるかを、ずっと会議してます。このゲームを伝えるの、めちゃくちゃ難しいんですよ」と苦笑いしながらも力説していた。
配信者がリアルタイムでリスナーから希望されたゲームを作って遊んだり、企業が企業名を付けたゲームを作って大会を運営したりするなど、一部の使い方を例示。「本当にいろんなことができる。こっちも把握しきれてない遊び方があると思うんですよ」と期待する。「どこの部分にみんなが魅力感じるんだろう、と俺もわかんないですよ」と本音を語りつつ「どう伝えればいいかわかんない。何がメインなんだろう。何か面白いことやってるのは間違いないです。試みとして面白いことをやってるのは間違いないんですけど、このゲームって一体なんなんだ。絶対的な自信を持って送り出すんですけども…。これをどう面白いと思うかは、皆さん次第なんで。『YouTubeが面白い』と言っているようなもの」と困惑しながら語っていた。
また、最終的な野田の理想の世界は、という質問が。野田は「僕の出身って本当に小規模なんです。小劇場で始まったし、ゲーム作りも1人で作って誰かにやってもらったり。だから、小さいものにすごく興味がある。今ジムもやってるんですけども、ジムも本当に目の前のお客さんと一緒にやる。小屋感がすごく好きで。でも今のゲーム業界では、もう無理なんです。全部がビッグタイトルで、1本のゲーム作るのに100億とか掛かる時代。その分、1本出るにたくさんの人が関わる。みんな、このゲーム作ってるってわかってるのかなって思うんです。だから僕はもっとその個人開発、インディーズです」とする。
そして「結局、インディーズになっちゃいます。芸人もインディーズが好きで、インディーズがなくならなければなんだっていいんです。よしもとにいて何言ってんだって感じですけど(笑)。小さい人たちで小さくやる、それを一生残るようにサポートしたいんです」と笑う。「やっぱり楽しいじゃないですか。予測もつかないし。ものづくりって少人数で作れば作るほど自由になるんですよ。だから個人の開発が広げていく」と熱い思いを語った。「お笑いも、吉本興業だけじゃ発展しなかった。いろんな事務所があって、いろんなネタを作るヤツらが生まれてから大きくなった。よしもとがあっても、もちろんいいんですけどね!」とアピールしていた。
インディーズ志向は過去に何度もあったそう。インターネットに初めて触れた時にテレビをバカにしたことが皮切りとなった。「次はやっぱり芸人になった時で、インディーズライブに出てた時に、テレビで見たことないネタ、モダンタイムスとか見た時に『一生、テレビで流れるわけないものがあるぞ。でも、めちゃくちゃ面白いぞ』と。足が震えたんですよ」と思い返す。「デカいものに対して『お前、これ知らないだろ』という精神がある。地元のヤンキーはヤバかったって言いたい病です」と笑った。そして「なんで、よしもとに入ったんだろ」と笑いつつ「でも、よしもとに入ってなかったらやれなかったこと。不思議なことですよね」としみじみと口にしていた。
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