有村架純・坂口健太郎、釜山国際映画祭で「愛とは?」に答える Netflixシリーズ『さよな…
「第29回釜山国際映画祭」でワールドプレミアを迎えたNetflixシリーズ『さよならのつづき』坂口健太郎、有村架純、黒崎博監督(Getty Images)
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釜山国際映画祭は、1996年に創設され、世界中の映画人から愛されるアジア最大規模の由緒ある映画祭。『さよならのつづき』は、2021年に新設された配信ドラマ向けのオンスクリーン部門に日本作品として初めて正式招待され、11月14日の配信開始に先駆けて、第1話と第2話が上映された。
会場には満席となる約800人の観客が来場。観客と一緒に本編を鑑賞していた有村、坂口、黒崎監督は、観客の拍手に送られながらステージに上がった。まず有村より、韓国語で「こんにちは有村架純です。お会いできてうれしいです。この作品をたくさんたくさん愛してください」とあいさつ。坂口も韓国語で「こんにちは、坂口健太郎です。みなさんドラマいかがでしたでしょうか!?ありがとうございます」と続き、2人からの思わぬ韓国語のサプライズに観客から歓声があがった。
Q&Aタイムでは、司会から黒崎監督に「脚本を書かれた岡田惠和さんと、この作品を作り上げるにあたって悩まれたと記事で読みましたが、制作過程を改めて教えてください」と聞かれ、監督は「最初の発端は本作のNetflix岡野真紀子プロデューサーの個人的な体験から着想を得てスタートしました。そして、この物語が単にリアルな話ではなく、少しだけファンタジックな要素(臓器移植によって記憶が転移するというエピソード)も含んでいるため、たくさんのリサーチや調査を経てこの作品を作り上げてきました。そして、この物語はラブストーリーではありますが、人を愛することってなんだろうという非常にシンプルな問いに対して、キャストスタッフ全員でその答えを探す旅をするために、たくさんの綿密なリサーチを重ねていきました」と答えた。
愛する人を亡くしながらも、はつらつとした姿を見せるなど、複雑な感情を持っているようにも見える主人公・さえ子というキャラクターを演じた有村は「監督やスタッフとみんなで話し合って作り上げていったのですが、日本人は元々喜怒哀楽を表に出すというよりも、どちらかと言うと控え目で繊細な表現をすることが多いと思いますが、日本人的ではない、うれしい、楽しい、悲しい、怒り、のような素直な感情を思いっきり気持ちよく表現できるような女性像を目指しました。さえ子というキャラクターの強さや無邪気さを表現できたらいいなと思い挑戦しました」と、試行錯誤したことを明かした。
さえ子の恋人・雄介の心臓を提供された和正を演じた坂口は「本当に難しかったです。自分の体があって、そこにある種2人の意識があって、撮影中も今は一体どちらの自分なのか説明ができないほどでした。そんな経験は誰もしてきていないからこそ、監督とスタッフと話し合いながら少しつづ積み上げていきました。そしてそこには正解がないと思っていたので、ひとつのシーンを何度も紆余曲折を経ながら地道に積み上げるように撮影していきました。今でも正解はわからないですが、みんなで、雄介が入った成瀬の人物像を作り上げていきました」と答えた。
さらに、本作のストーリーにおいても重要な鍵となるピアノのシーンにおいても質問が。実際に演奏するシーンにおいて坂口は「いやもう大変でしたね(笑)。でも、今までピアノを弾いたことがなかった成瀬が突然ピアノの演奏ができてしまうあのシーンはある種ファンタジーだと思うし、そこには確かに成瀬も雄介も実在していて。いろいろな角度から何度も撮影したので、撮影自体もそれに向けた練習も、時間をかけて臨みました」と振り返り、MCが「もしここにピアノがあったらぜひここで弾いてほしかった!」と残念がる場面も。
鑑賞直後の観客から、「私は心臓がよりドキドキと大きく動く時が愛だと思っています。先ほど監督からもこのドラマを通して一緒に愛を探す旅に出て欲しいというお話もありましたが、皆さんにとって愛とは何でしょうか?」と問われると、監督は「自分で出した問いに自分で答えるのは難しいですね(笑)。自分がこの作品を撮りながら思っていたのは、『愛とは恐れ』です。人を愛するということはとても幸せなことです。でも本当に誰かを好きになってしまった時に、その愛が、自分自身を、また、相手や他の誰かを傷つけるのではないか、そういった、いろいろなかたちの愛がこのドラマにたくさん込められています。そのどれもが深くて強い。その心情をこの2人が繊細に感じながら演じてくれました」と熱く答えた。
有村は「私が思う愛とは、涙。その理由は、想うからこそ、友達でも家族でも恋人でも、うれし涙や悲しい涙を一緒に流したり、自分の心が1ミリでも2ミリでも動くものに対しては、すべてに愛が生まれている証なのかなと思います。素敵な景色を見て何故かわからないけど涙が出たり、そういったものに出会った瞬間にさえ、愛が生まれるのかな、と思います」と語った。
坂口は「愛かぁ。僕は愛とは?って問われたときに自己犠牲と答えていて。恋人同士でも家族でも友人でも、自分のことを犠牲にしてまでも相手のために何かしたくなった瞬間に、初めて愛になるんじゃないかなと思います。だからこそ、自分の中の愛の許容量を増やしておかなきゃいけないなと思いますね」と答えた。
最後のあいさつで有村は「この歴史ある映画祭でこの作品を残せたことをすごくうれしく思います。大切な人が亡くなった時に、魂は生き続けていく、と思うことで自分の悲しみを受け入れようとすると思うけど、やっぱりそんな美しいことばかりを思えるわけではないと思うんですよね。どうしたってそこにいてほしい、触れたい、声が聞きたい、と思うことはきっとたくさんあって、だからこそ、今みなさんが思う大切な方たちを今一度改めて想うことができたら私としてとても幸せなことだなと思います。どうか後悔のないように大切な人との時間を過ごしてほしいです。そして、この物語と同じように、悲しいことがあっても人生は続いていくので、その悲しみを乗り越えた先にきっとある希望をくれるような作品になっている、そういうメッセージが伝わればうれしいなと思います。ありがとうございました」とまっすぐに語った。
坂口は「やっぱり愛情というものはすごく普遍的でもあり、国や人種やいろんなものを超越してそこに存在しているものだと思います。人間は必ずしも正しい選択はできないし、そこでどうしても間違いを犯してしまう時もあるし、それでも僕達は生きていくんですよね。悲しいことがあっても僕らは一歩足を前に踏み出さないといけなくて。成瀬やさえ子は演じた役ではあるけれど、今見てもらった映像の中で彼らは確かに存在していて、呼吸していて、彼らのその生き様やストーリーを皆さんの心の中に残してほしいと思います。あとすごく個人的なんですけど、2回目に観たほうがぐっときたんですよね。いいドラマだなと思っちゃって(笑)。その時の自分の環境だったりタイミングで見え方が少しずつ変わっていく作品だとも思うので、彼らの生きていた証を心に留めてもらえたらうれしいなと思います。今日はありがとうございました」と締めくくった。
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