運航会社社長「荒れる前に戻る、と」 知床沈没訴訟で本人尋問

2026/06/09 20:05 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 北海道・知床半島沖で2022年4月、乗客乗員全26人が死亡・行方不明となった観光船の沈没事故で、遺族らが運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(62)に損害賠償を求めた訴訟の本人尋問が9日、札幌地裁(小野瀬昭裁判長)であった。

 原告側は天候悪化や連絡手段だった無線の故障などが重なったにもかかわらず、従業員に適切な対応を指示していなかったと強調。事故直後に会社の運航管理者について問われた際に自身ではなく「船長」と誤って回答していたことと合わせ、事故の責任に無自覚だったことを指摘した。

 裁判官から安全管理の教育を社内でしていたか問われた桂田社長は「やっていた」としたが「(安全管理教育が)できていないから(事前に決めた場所を通過する際の)定点連絡がなかったのでは」と返され、答えに窮する場面もあった。

 被告側の弁護士は当時の強風、波浪注意報に関し、発表を受け即座に欠航すべきだったかを問い、桂田社長は否定。「当日は午前なら運航可能で、船長も『荒れる前に戻る』と。私と同じ考えで、午後は欠航する認識だった」と主張した。

 桂田社長は刑事裁判で業務上過失致死罪に問われ、17日に釧路地裁で判決が言い渡される。【谷口拓未】

毎日新聞

社会

社会一覧>

注目の情報