徳島の人里にツキノワグマ出没 空き家の敷地で柿食べた跡、ふんも

2025/12/02 16:03 

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 徳島県などは1日、同県那賀町の人里に11月22~26日の間、雌のツキノワグマの成獣1頭が出没していたことが判明したと発表した。空き家の敷地にある柿の実を食べた跡などがあり、町がケーブルテレビ放送などで住民に注意を呼びかけている。

 県鳥獣対策・里山振興課によると、徳島、高知両県にまたがる剣山山系でツキノワグマの生息調査に取り組んでいるNPO法人「四国自然史科学研究センター」(高知県須崎市)からGPS(全地球測位システム)首輪を付けたツキノワグマが那賀町小畠(おばたけ)地区集落に出没したデータを得たと連絡があった。

 県と町などが1日に現地を調べたところ、空き家にある柿の木3本で樹皮を爪で引っかいたような跡を確認したほか、ツキノワグマのものとみられるふんも残されており、出没したと断定した。

 GPSデータによると、出没したのは、10月中旬に調査のため捕獲して首輪を装着した雌の成獣(体長122センチ、体重53キロ、推定5歳)。目撃情報はないが、今回はいずれも深夜から早朝にかけて現れ、あたりが明るくなると人里を離れており、人間を警戒している可能性もあるという。

 ツキノワグマ出没を受け、県などは付近に落ちていた柿の実について、ツキノワグマを誘引する恐れがあるとして回収したほか、ツキノワグマが登れないよう、柿の木にトタン板を巻き付け、その所有者特定も急いでいる。剣山山系を所管する県内6市町や高知県、地元猟友会などとも情報共有を進めている。

 四国でのツキノワグマは剣山山系に生息するとされ、センターなどは今年6月時点で少なくとも26頭いるとしているが、絶滅にひんしている地域個体群と位置付けている。

 町木沢支所によると、地区では4世帯6人が居住しているが、空き家も複数ある。住民には、餌となり得る果実を早く収穫することなどを促しているといい、徳島県鳥獣対策・里山振興課の担当者は「山歩きする場合は、朝夕の暗い時間帯を避けて複数人で行動し、熊鈴やラジオを身に付けて人間の存在を知らせるように努めるとともに、お弁当の残飯や生ゴミを放置しないようにしてほしい」と注意を呼びかけている。【植松晃一】

毎日新聞

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