子どもの体力や運動能力、前回東京五輪後からどうなった 体格は大きくなったが…

2020/10/18 18:08 

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 1964年の東京オリンピックの直後と比べて日本の子どもたちの体は大きくなったものの、それに見合う体力が身についていない――。スポーツ庁が18日に公表した「2019年度体力・運動能力調査」で、こんな事実が明らかになった。専門家は「将来的な健康寿命を考えると体格にふさわしい体力を育むことが望ましい」と指摘している。

 この調査は前回の東京五輪の開催を契機に、国民の体力や運動能力を把握する目的で64年度から始まった。来年に延期となった2度目の東京五輪を前に、スポーツ庁は10代の男女について、60年代と19年度の結果を比較し、体格や体力、運動習慣などの変化を調べた。

 身長、体重を64年度と19年度で比較すると、いずれも10代の男女の全年齢で19年度が上回っていた。体がほぼ完成している19歳では、男子は身長が約5センチ高く、体重は5キロ以上重かった。女子は身長が約4センチ伸び、体重は1キロ以上増えた。栄養状態の改善の結果とみられる。

 一方、握力、50メートル走、持久走(男子1500メートル、女子1000メートル)、ボール投げの4種目について、64~68年度の平均値と19年度を比べたところ、筋力の代表的指標とされる握力は、男女とも10代前半は拮抗(きっこう)するものの、14歳以降は19年度が下回った。ボール投げはすべての年齢で60年代に及ばず、10、11歳の男子は7メートル以上記録が低かった。持久走はほぼ同水準で、19年度の方が良かったのは50メートル走だけだった。

 調査に協力した順天堂大の内藤久士教授(運動生理学)は「日本の子どもは85年ごろまでは大型化に合わせて体力も伸びていたが、その後は体力だけが低下した。特に運動が苦手な子が大きく落ち込んで二極化したのが特徴で、こうした下位層の底上げが急務」と話す。

 一方、日本体育大の伊藤雅充教授(コーチング学)は「今の子どもたちは早い段階で一つの競技を専門的に練習する傾向があり、その競技の技術は大きく向上しているが、それ以外の運動経験が少ない」と指摘。ボール投げの記録が昔より低いのも「投げる技術が身についていないことが大きな要因と考えられる」と話す。その上で「小さい頃にいろいろな運動をすることはその後の発達や総合的な運動能力の形成に大切で、そうした機会を大人は用意しないといけない」と訴える。

【大久保昂、金志尚】

毎日新聞

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