松橋事件で国賠提訴 再審無罪の宮田さん弁護団「違法な証拠隠し」 熊本地裁

2020/09/17 12:04 

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 熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で1985年に男性が刺殺された「松橋事件」で、再審無罪が確定した熊本市の宮田浩喜(こうき)さん(87)が17日、検察官の証拠隠しなど違法な捜査で長期間の身柄拘束を受けたとして、国と県に約8500万円の国家賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。

 松橋事件は、85年1月8日に松橋町の民家で男性(当時59歳)の刺殺遺体が見つかった事件。その3日前に男性宅を訪れていた宮田さんが殺人容疑で逮捕、起訴され、1審途中から無罪を訴えたが、90年に懲役13年が確定し、服役。99年に仮出所した。

 宮田さんが当初有罪になった唯一の証拠は、逮捕後の取り調べで「(凶器とされた)小刀にシャツ片を巻き付け、使った後に燃やした」と供述した「自白」だった。しかし、起訴後に県警が宮田さん宅近くでシャツ片を発見。検察官はシャツ片や鑑定書などを公判に提出しなかった。

 訴状で、宮田さんの弁護団は「シャツ片や鑑定書は、裁判結果に影響を及ぼす可能性が明白で、検察官は法廷に提出する義務を負っていたのに、違法な証拠隠しをした」と指摘。宮田さんに自白を迫った取り調べも「ほぼ連日、長時間にわたって執拗(しつよう)に行われており、違法」と主張している。

 宮田さんは2012年に再審請求し、熊本地裁、福岡高裁、最高裁がそれぞれ再審開始を認め、19年3月に熊本地裁が無罪を言い渡し、確定した。無罪確定後、宮田さんには刑事補償法に基づき身体拘束に対する補償や裁判費用の補償がされている。【清水晃平】

毎日新聞

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