ハンセン病家族補償へ 首相談話「心からおわび」 訴訟終結

2019/07/12 20:14 

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 ハンセン病元患者家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決(6月28日)を巡り、国は12日、控訴の見送りに合わせ元患者と家族への反省とおわびを盛り込んだ安倍晋三首相談話と政府声明を発表した。これを受けて原告側も控訴しないことを表明し、訴訟は終結した。談話で言明した原告以外も含む家族への補償制度構築が、今後の課題になる。

 首相談話は控訴見送りを「極めて異例」とした上で「かつての政策の下、家族が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として改めて深く反省し、心からおわび申し上げる」と謝罪。訴訟への参加・不参加を問わない新たな補償制度の検討を早急に始め、人権啓発にも取り組むとした。

 首相が家族と直接面会する考えも示したが、時期について菅義偉官房長官は「調整したい」と述べるにとどめた。根本匠厚生労働相は、家族側との協議の場を設ける方針を明かした。

 一方、政府声明では、判決が行政と国会の責任を認めた点を「法律上の問題がある」と指摘。賠償請求できる時効の起算点を同種訴訟の鳥取地裁判決(2015年9月)以降とした点も「国民の権利義務関係への影響が大きく、ゆるがせにできない」と批判した。

 ハンセン病元患者が起こした訴訟の熊本地裁判決(01年)でも、国は敗訴受け入れと同時に首相談話と政府声明を出しており、今回はこれを踏襲した。

 6月の判決は、国の患者隔離政策で家族も深刻な差別を受けたとして、国に対し原告541人へ1人当たり33万~143万円の支払いを命じた。原告20人の請求は退けられたが、弁護団共同代表の徳田靖之弁護士はこの日の集会で「(談話で)私たちの思いを正面から真摯(しんし)に受け止めていただいた。高く評価できる。控訴しない」と述べた。

 家族への補償制度は、01年に成立した元患者本人が対象のハンセン病損失補償法を議員提案で改正するのが有力とみられる。「家族」の定義や補償額などが論点になりそうで、厚労省幹部は「課題は山積しており、法案提出は早くても秋の臨時国会だろう」と話す。【阿部亮介、梅田啓祐】

毎日新聞

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