コロナ経験、葛藤を文字に 静岡の中学生「恐れるべきは何か」

2021/02/23 10:53 

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 新型コロナウイルス感染者に対する誹謗(ひぼう)中傷を恐れ、誰にも感染の事実を話せず、精神的に追い詰められる人が後を絶たない。昨年感染した静岡市の男子中学生が、自身のジレンマを作文に込め、療養中の健康観察を担った小児科医に郵送した。「家族以外の人に初めて気持ちを伝えることができてよかった」。取材に応じた中学生は、心なしか晴れやかな表情で語った。
 男子中学生は、先に感染した母親の濃厚接触者として検査を受け、陽性が確認された。無症状で、10日間学校を休んだ。「友達に知られ、避けられたり悪口を言われたりしたらどうしよう」。自宅療養中、心配でたまらなかった。
 通学を再開すると、教員が友達に、別の欠席理由を告げていたと知った。感染前と変わらない学校生活に胸をなで下ろした一方で「悪いことをしたわけではない」のに、社会問題となっている誹謗中傷を恐れ、事実を隠し続ける自身に矛盾を感じた。
 登校から1週間後。健康観察を担った静岡厚生病院の田中敏博小児科診療部長から「人生で二度とない体験。記録したら」と勧められたのを思い出し、約500字の作文を書いた。「誰もが差別、偏見にさらされず、助け合っていけるようにすべきだ。(コロナに対する)イメージを変えられるのは、罹患(りかん)した僕たちなのかもしれない」
 田中部長は中学生以下の新型コロナ感染者とその家族を診察している。小学校高学年以上の患者には記録を残すよう勧めてきた。「大半は軽症か無症状だが、周りの目を気にして精神的に参る人が多い。感情を文字に表すことで、結果的に内面を整理することにつながるようだ」と話す。
 中学生は今も友達に事実を打ち明けていない。ただ「コロナの何を恐れるべきか友達と議論したい。療養中、精神的に苦しかったことも、『そんなことがあったんだ』と受け止めてほしい」と望んでいる。

 <メモ>静岡県立こども病院の荘司貴代感染対策室長によると、新型コロナウイルス感染者は若いほど症状が少なく、10代は8割、70歳以上でも3割が無症状。子どもは先に感染した家族の濃厚接触者として検査を受け、初めて感染に気付くケースが多い。症状の有無にかかわらず10日たてば感染性はなくなるため、再検査や「陰性証明」なしで登園、登校、職場復帰ができる。
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