JR東海社長、基本協定「結ぶ用意ある」 リニア・大井川流量減

2019/09/12 07:22 

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 JR東海の金子慎社長は11日、名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題の対策を盛り込む基本協定について「(静岡県や利水関係者と)結ぶ用意があるという文書をこれまで積み重ねてきた」などと述べ、利水関係者と引き続き協議して締結を目指す姿勢を示した。ただ、本格着工前の締結は明言しなかった。
 同社は、静岡県に6日提出した中間意見書に対する最終回答に、島田市の染谷絹代市長らが強く求めていた本格着工前の基本協定締結を明記せず、「実施を表明した(流量減少対策や環境保全の)内容は着工前に文書で確認する用意がある。その内容を基本協定として整理することについて県と調整する」と記載するにとどめた。会見でこの点を巡り「(締結という)合意なしで着工する可能性があるのか」と質問されたのに対し、金子社長は「(最終回答に)協定書の内容について県と調整しましょうと書いてある。どうしてそういった質問になるのか理解できない」と不快感を示した。
 また、掛川市の松井三郎市長が求めている水量や水質に影響が生じた場合の補償については「個別のことは、(12、13日に県庁で開かれる環境保全)連絡会議で正確に申し上げたい」と述べるにとどめた。
 トンネル工事中に坑内の湧水が山梨県側に流出し、全量を大井川に戻せないとしている点についても、県の環境保全連絡会議で技術者から詳しく説明するとした。

 ■JR東海社長一問一答
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、金子慎JR東海社長は11日の定例記者会見で、流量減少対策を盛り込む基本協定の利水者との締結や、トンネル内に湧き出る水の他県への流出について答えた。
 記者会見での主なやりとりは次の通り。
 −利水者の同意なく静岡工区に本格着工する可能性はあるか。
 「回答書に書いた通り。協定を結ぶ用意があるという文書をこれまで積み重ねてきた。協定書の内容について県と調整しましょうと書いてある。このような質問にどうしてなるのか理解できない」
 −大井川の水量や水質に影響が出た際の補償を、なぜ確約しないのか。
 「個別のことは(県の環境保全)連絡会議で正確に申し上げたい。一方的にJR東海が何もしない、確約しない、取り扱い、対応がよくないと受け止められている印象があるが、ちょっとおかしいのではないか」
 −トンネル工事中の湧水は川に全量戻せないと表明したが、環境影響評価書は(工事中も)水をくみ上げて川に戻すから河川流量は減少しないとしていて食い違うのでは。
 「評価書をよく読んで質問してほしい。もともと河川流量に影響させないというのが私たちの一貫して申し上げてきたことだ。専門委員会を作り、(専門家が)河川流量を測定して導水路を作っておいて影響がないようにしたらいいのではないかとし、私たちもその通りだと申し上げている。河川流量がどうなるかということを明らかにしていく」

 ■知事、ルート変更に言及
 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、川勝平太知事は11日に吉田町で開かれた知事広聴で「遠回りする以外ない」とルート変更の必要性に言及した。
 茶の振興策に関する住民との意見交換の中で「リニアには賛成。南アルプスは守らないといけない。両立するには遠回りする以外ないと思っている」と述べた。
 終了後の取材には、トンネル湧水の全量回復について「(現状の技術水準では)水を(全て)戻せる状況でないことははっきりしている」とした。

 ■赤羽新国交相「しっかり対応する」
 赤羽一嘉国土交通相は11日の就任記者会見で、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題に関し「地元自治体と国交省とがしっかりと対応しながら、しっかり仕上げるように頑張っていきたい」と述べ、事業者のJR東海と県側の意見調整に努める考えを示した。
 リニア新幹線は「大変画期的なこと」とした上で、議論に当たっては「科学的知見に基づき検討を進めることが重要」とも強調した。
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