鈴木農相、おこめ券含む食料品高騰対策は市区町村の「必須項目」
鈴木憲和農相は2日の閣議後記者会見で、国の今年度補正予算案に自治体向けの「重点支援地方交付金」を拡充し、「おこめ券」の配布を含む食料品価格高騰対策を盛り込んだことについて、「市区町村に対応いただきたい『必須項目』として基本的には位置づけをされている」と述べた。
交付金は本来、自治体が使い道を自由に決められるものだが、住民の負担を軽減する食料品価格高騰対策については、市区町村に対し事実上強制して実施してもらう考えを示した形だ。
鈴木氏が持論に掲げているおこめ券の配布を巡り、一部の自治体が事務経費の多さから見送りを検討しているため、自治体の判断によって配布の有無が生じて国民の間に不公平感が出るとの質問に対して答えた。
鈴木氏は交付金を活用した自治体の食料品価格高騰対策について、おこめ券以外に電子クーポンやプレミアム商品券、地域ポイントの配布、食料品の現物給付なども選べると強調。「各自治体において、できる限り負担感が少なく、速やかな実施が図られる方法を選択して進めていただくことを期待する」と語った。
そのため、おこめ券の配布を見送ったとしても、別の手段も取ることができる上、全ての市区町村に実施を求めるため、「不平等感を招かないよう配慮されている」と理解を求めた。
政府は補正予算案に重点支援地方交付金の拡充として2兆円を計上。このうち食料品価格の上昇に対応する特別加算(特別枠)として4000億円確保し、おこめ券などを通じて1人当たり3000円相当を利用できるようにする方針だ。早ければ12月の地方議会で関連予算を可決してもらい、速やかな事業実施を市区町村に促していくという。
内閣府などによると、国から自治体に交付金の利用を強制する権限はないが、今回のおこめ券を含む食料品価格高騰対策については全1741市区町村に対して対応を求めているという。国が財政負担するため、利用しない市区町村は基本的にないとみている。
また各市区町村に事業を任せるよりも、国が一括して実施した方がスケールメリットにより事務経費が軽減される可能性もあるが、「コメや子育て世帯、低所得世帯に限定するといった、地域の実情に合わせた支援ができる利点がある」(政府関係者)と反論している。【中津川甫】
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