定数削減数は「選挙区25、比例20」軸に検討 維新、比例のみから転換

2025/12/01 20:36 

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 高市早苗首相(自民党総裁)と日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は1日、首相官邸で会談した。今国会で成立を目指す1割を目標とした衆院議員定数削減法案について、法施行から1年以内に結論を得られなかった場合、小選挙区と比例代表を合わせて約1割削減するとの条文を盛り込むことで合意した。

 維新はこれまで、今回の法案で削減の大枠を決めた後、衆院各会派で構成する選挙制度協議会での議論が長期化することを警戒し、「実効性の担保が必要だ」と主張。1年以内に結論が得られなかった場合、比例定数を自動的に50削減するとの「期限条項」を盛り込むよう求めた。だが、中小政党が影響を受ける比例のみの削減に野党が反発したため、維新が譲歩した。

 吉村氏は会談後、記者団に「高市総裁が出席する会議で合意に至ったことは非常に大きいと思う」と強調。削減数は「選挙区25、比例20をベースに条文を置く」と述べ、具体的な削減数を法案に盛り込む考えを示した。

 首相は1日の自民役員会で「野党の意見を踏まえて小選挙区と比例代表を合わせて約1割削減することとした。ご苦労をおかけするが、党でもその方向で(進めてもらいたい)」と述べ、鈴木俊一幹事長を通じて党内手続きを指示した。

 萩生田光一幹事長代行は1日の記者会見で、野党側との協議で「比例単独の削減では合意できないという話があった。方針転換したということだ」と説明した。関係者によると、11月30日深夜に木原稔官房長官や萩生田氏、維新の遠藤敬国対委員長らが東京都内で協議し、合意案をまとめた。

 ただし、小選挙区を削減する場合は区割り変更や競合する候補者の調整に時間がかかったり、過疎地の選挙区が削減されたりする課題がある。「自民党内の議論が大変だ」(閣僚経験者)との見方も出ている。

 これに対し立憲民主党の安住淳幹事長は1日、「なぜ1割で、1年でやるのかについて、もう少し説明を聞かせていただきたい。(法案への)書き込み方を見ないと賛成も反対も言いにくい」と記者団に語り、与党の対応を注視する姿勢を示した。また、野党側で対案を検討する意向も示した。共産党の小池晃書記局長は「国民の声を切り捨てる改革だ。道理もなければ必要性もない」と批判した。【園部仁史、池田直】

毎日新聞

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