私が自民党を選ばなかったのは… 野党に1票託した有権者の本音

2025/07/20 20:00 

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 今回の参院選で、有権者は何を思い、どんな政策に期待して野党に1票を投じたのか。各地の投票所前で聞いた。

 札幌市中央区の大学教員、宇田川耕一さん(63)が最重視したのは外交政策だ。ロシアのウクライナ侵攻など国際情勢の混迷を念頭に、「石破茂首相は防衛費増額の方針を示している。自民政権だと、軍備増強と戦争に突き進むのでは」と懸念する。立憲民主を選んだのは「右寄りでない政党で最も力があり、ましだ」と考えたから。「日本は唯一の被爆国として、『武力行使はできない』と言い続けるべきだ」と強調した。

 福岡市南区の女性会社員(45)も立憲に投票し、「野党第1党の議席を増やし、自民党政治を終わらせたい」と話した。就職氷河期の中で正社員として頑張ってきたが、給料はなかなか上がらず、結婚や出産を考える余裕もなかった。政治は高齢者や若い人には目を向けるが、40~50代が取り残されていると感じる。「少子化が進む理由をよく考えてほしい」と訴え、減税と賃金アップを求めた。

 名古屋市中区の女性会社員(32)は、消費税に関する政策に注目した。交流サイト(SNS)などで各候補者の人柄や政策を見比べ、「一番、現実性がある」と感じた国民民主の候補者を選んだ。与党が掲げる国民1人2万~4万円の現金給付については「もらえるならうれしいが、税金で回収したものを配っているだけ。選挙用のバラマキだ」と思い、自民は選ばなかった。

 外国人に関する政策に注目した有権者も多い。東京都千代田区の男性会社員(25)は、「日本人ファースト」を掲げる参政にひかれ、候補者に票を入れた。「自民党は日本人を優先する姿勢が感じられない」といい、「今回は他の党に変えてみようと思った」。

 千代田区の女性会社員(62)も、比例代表で参政を選んだ。大学生の息子の学費に苦労しており、「留学生の方が優遇されている」と思っている。前回は自民に投票したが、外国人に対して厳しい姿勢を示している参政に魅力を感じたという。

 一方、大阪市北区の会社員、安田憲幸さん(28)は今回、日本維新の会の候補者に初めて一票を託した。維新代表の吉村洋文氏が知事を務める大阪府は、子育て世帯などに「お米クーポン」を配っており、「府民ファーストで生活に寄り添っている」。自民を選ばなかったのは石破首相の実行力に疑問を持ったからだといい「政府備蓄米が出回るのが遅く、コメの価格がなかなか下がらない」と話した。【伊藤遥、山口響、洪玟香、道下寛子、根本佳奈】

毎日新聞

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