地方創生のあり方、第一声に込め 「消滅」危機の秋田市議選

2019/04/15 18:05 

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 14日に後半戦が始まった統一地方選。東京への一極集中が進み、人口流出や経済停滞に歯止めがかからない地方にとって、国の旗振りで進めてきた「地方創生」の成果や方向性が本格的に問われる選挙でもある。人口減が深刻な秋田市で市議選に挑む候補者からは「国や東京に地方の窮状を伝える機会にしたい」との声も上がる。

 「若者がみんな都会に行ってしまわないように魅力ある働き場が必要」「これまで実感の湧かなかった地方創生だが、官民一体で取り組まなければ」。秋田市議選で4選を目指す現職の男性候補は第一声で訴えた。

 2014年に民間の研究機関が発表した「消滅可能性都市」。20~30代女性の減少率が30年後に5割を超えると推計される自治体を指すが、秋田県内は一つの村を除き、秋田市を含めて名前が挙がった。県庁所在地さえ「消滅」と予測されたのは、全国でも隣接する青森県と2県だけだ。

 政府は人口増加や雇用創出といった「地方創生」を打ち出し、交付金などに多額の予算を付けてきた。しかし男性候補は「成果が出ているとは言い難い」と話す。

 市の玄関口であるJR秋田駅前は夜の早い時間から人通りがまばらになる。男性の地元に近い工業団地も、約30年前に造成されながら半分しか埋まらない。危機感を抱き、4年前の前回選では話さなかった地方創生のあり方に演説で触れた。

 別の男性候補も第一声で「全国ワーストの人口減克服」を訴えた。1997年に開通した秋田新幹線「こまち」に期待をかけたが、観光地の客は増えた一方、市内に置かれた大企業の支店は閉鎖が目立つようになった。「盛岡や仙台に近くなり、そちらに拠点をまとめるストロー現象が起きた」と嘆く。

 実際、東京一極集中には改善の兆しが見えない。総務省の人口移動報告によると、首都圏への転入者は昨年、転出者を約14万人上回った。地方創生の取り組みが始まった4年前より2割増えた。

 隔たりを埋めるため、政府が大都市の税収を地方に振り分ける「偏在是正措置」の拡大を図ると、東京都の小池百合子知事は「東京の『稼ぐ力』をそぐことは日本全体にマイナス」と反発し、東京と地方の知事の対立を生んだ。最後は政府が東京を押し切る形となったが、地方には「東京の発展を支えているのは地方が育てた人材」との思いが根強い。

 秋田市議の4選を目指す男性は「選挙で地方創生のあり方を問うことで、有権者と危機感を共有し、ともに考えたい」と語る。【安高晋、市川明代】

毎日新聞

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