米最高裁、トランプ関税は「違法」 一部失効へ 還付要求で混乱も

2026/02/21 00:22 

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 トランプ米政権の関税政策の合法性が争われている訴訟で、米連邦最高裁は20日、昨年4月に発動した「相互関税」などは違法との判断を示した。欧米メディアが報じた。世界経済を大きく揺るがせてきた高関税措置の一部が失効する。政権の看板政策に司法が「NO」を突きつけた形。ロイター通信によると、米政府が徴収した1750億ドル(約27兆円)以上が対象になると推計され、国内外企業約1000社が米政府に還付を求めており、混乱が広がる可能性がある。

 米憲法は、関税を課す権限を議会に与えている。ただ、トランプ政権は国際緊急経済権限法(IEEPA)で大統領が、国家が「異常かつ特段の脅威」にさらされている場合に緊急事態を宣言し、輸出入を「規制」できると規定していることから、「関税措置も輸出入規制に含まれる」と解釈。緊急事態を宣言した上で議会を通さずに、すべての国・地域からの多くの輸入品への一律10%と特定の国への「上乗せ分」で構成される相互関税と、合成麻薬フェンタニルや不法移民の流入対策を理由に中国とカナダ、メキシコに課した制裁関税を発動した。

 だが、1審の米国際貿易裁判所は昨年5月、緊急時であっても大統領の権限は関税まで及ばないと判断し、相互関税などの差し止め命令を出した。同8月の連邦高裁も1審判決を支持。最高裁は判決で、IEEPAは「大統領に関税を課す権限を認めていない」と明記した。

 トランプ大統領はかねて高関税政策が外交・通商分野で交渉を優位に進める重要な手段として機能していると主張してきた。1月中旬の自身のソーシャルメディアの投稿では、政権に不利な判決が出た場合「還付額は数千億ドルに上る」「我々は終わりだ」と危機感を示していた。今後、法的根拠を変えて相互関税などを事実上継続することを模索するが、再発動に時間がかかったり、対象品目や規模が限定されたりする可能性がある。

 一方、自動車や鉄鋼・アルミニウムなどの分野別関税はIEEPA以外の法律を発動根拠としているため影響を受けず、高関税が維持される。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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