米に「安全の保証」参加内容明確化求める方針 仏ウクライナ首脳会談

2025/12/02 10:39 

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 ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は1日、パリでフランスのマクロン大統領と会談し、ロシアとの和平交渉に向け、停戦後のウクライナへの「安全の保証」について、米国に参加内容を明確にするよう求める方針で一致した。

 マクロン氏、ゼレンスキー氏は英独伊などの欧州首脳とも和平交渉について電話協議した。

 和平交渉では、停戦後のロシアによる再侵攻をどう阻止するかが、ウクライナ、欧州にとって最大の課題となっている。欧州を中心としたウクライナを支援する有志国連合は、ウクライナへの平和維持部隊の派遣を計画しているが、強力な軍事力を持つ米国による「保証」への確実な参加が求められている。米国は参加の意思を示しているとされるが、態度を明確にしていない。

 マクロン氏はゼレンスキー氏との共同記者会見で、安全の保証が「ウクライナ、フランス、欧州にとって重要」との認識を示し、「今後数日間に、米国と協議し、米国の参加内容を明確にする」と述べた。

 仏大統領府によると、マクロン氏はゼレンスキー氏との会談後、トランプ米大統領とも電話協議し、「ウクライナの安全の保証について、フランスが米国と協力して取り組む決意」を示した。

 マクロン氏は記者会見で、ウクライナとロシアの領土問題にも言及。「現状では最終的な計画は存在しない」と明らかにし、「領土問題はゼレンスキー氏によってのみ最終決定される」との立場を強調した。

 領土を巡っては、ロシア側は、ウクライナ軍が保持する地域も含めたドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)の全面割譲を求めており、米国が提案した当初の和平計画案に盛り込まれた。だがウクライナ軍はドネツク州の一部で強固な防御拠点を築いており、割譲すると、停戦後のロシアの再侵攻に対する防衛が困難になる。

 ゼレンスキー氏は「戦争によって利益を得たという印象をロシアに持たせないようにする必要がある」としたうえで、「領土の問題は、安全の保証と関連づけられなければならない」と主張した。米国による明確な安全の保証への参加が実現した場合、領土交渉に柔軟に応じる可能性にも含みをもたせた。

 安全の保証の実現に向け、ウクライナはこれまで北大西洋条約機構(NATO)への参加を要望してきた。だが米国による当初の和平計画案ではロシアの要望を受け、ウクライナの非加盟が盛り込まれた。当初案で米国は、領土でウクライナに譲歩を求める引き換えに、集団防衛を規定する北大西洋条約5条をモデルにした「保証」を提示したとみられる。だが、11月23日のスイス・ジュネーブでの米、ウクライナ、欧州による会合などでの協議内容は明らかになっていない。【ブリュッセル宮川裕章】

毎日新聞

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