香港火災、住み込みの外国人家政婦らも犠牲に 40人と連絡取れず
香港政府当局者は1日、高層住宅群での大規模火災の死者が151人となったと発表した。犠牲者の中には、住み込みの家政婦として働く東南アジア出身の女性たちも含まれ、異国の地で命を落とした人々を悼む声が広がっている。
香港北部・大埔の火災現場では11月30日、追悼に訪れた市民が約1キロにわたって列を作った。聞こえてくる声には、香港で主に話される広東語でも英語でもない言葉が交じる。
「こんなことになるなんて、かわいそうで……」
友人3人と並んで花を手向けたインドネシア・スマトラ島出身のカレンさん(27)は、涙を拭いながらそう語った。
インドネシアとフィリピンの総領事館などによると、燃えた7棟の住宅を含む区画に両国合わせて約200人の家政婦が働いており、30日時点でインドネシア人9人、フィリピン人1人の死亡が確認された。連絡が取れていない人も約40人いるという。
香港では外国人家政婦を住み込みで雇う家庭が多い。育児や介護も担う家政婦の数は約37万人(2024年)と人口の5%を占め、香港社会を支える存在だ。
女性たちは週末になると近くの駅などに集まって、菓子を分け合いおしゃべりをして過ごす。家族と離れて外国で働く生活の中で一番の楽しみだという。
「友人でなくても、どこかで一緒に時間を過ごしたかもしれない。ここに来ずにはいられなかった」(カレンさん)
香港メディア「香港01」によると、あるフィリピン人家政婦は火災に気づくと、とっさに雇い主の生後3カ月の乳児を抱きかかえ、救出されるまで煙を吸わないよう守り続けた。
発生当初から、外国人労働者を支援するNGOが現場近くに駆けつけ、被災した家政婦に宿泊先を手配したり、行方不明者の捜索を手伝ったりしている。関係者によると、火災で職を失った家政婦からも相談が寄せられているという。
香港政府は、火災で亡くなった外国人家政婦の遺族にも、香港人と同額の20万香港ドル(約400万円)の弔慰金を支給することを決めた。【香港で林哲平】
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