中韓首脳会談 戦略的な意思疎通強化で一致 北朝鮮問題巡り

2025/11/01 21:43 

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 韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と中国の習近平国家主席は1日、韓国南東部・慶州で会談した。会談冒頭で李氏は「北朝鮮との対話再開のためにも中韓両国で戦略的な意思疎通を強化したい」と強調。習氏も「中韓の戦略的協力パートナー関係を発展させ、地域の平和と安定に貢献する用意がある」と応じた。

 会談では、核・ミサイルの高度化を進める北朝鮮を巡る問題についても議題としたとみられるが、中国側の発表では北朝鮮や核問題への言及はなかった。韓国は引き続き「朝鮮半島の非核化」を求める立場だが、今年9月に北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記と習氏が会談した際、習氏は非核化には触れていない。

 中国国営新華社通信によると、習氏は中韓首脳会談で韓国と人工知能(AI)など新興分野での経済協力を進めていく考えを表明。また「中韓はオンラインギャンブルや特殊詐欺の撲滅を重視しており、協力することで国民の生命や財産の安全を守ることができる」と強調した。韓国ではカンボジアで韓国人の男子大学生が、中国系とみられる特殊詐欺グループによる暴行で死亡した事件への関心が高まっている。

 また、習氏は韓国内で強まる反中感情を念頭に「世論や民意に対する導きを強化し、前向きな情報を増やし、マイナスの動向を抑制することで、国民感情を引き上げる」べきだと強調した。在韓米軍への終末高高度防衛(THAAD)ミサイル配備に中国側が過剰に反発して以来、韓国内の対中感情は悪化が続いている。

 一方、米国との対立を背景に中国は、米韓間の造船協力などに神経をとがらせている。李氏は10月29日の米韓首脳会談で「北朝鮮や中国の潜水艦の追跡」の必要性をあげて原子力潜水艦保有への協力を米国側に求め、トランプ米大統領から了承されていた。

 習氏の訪韓は2014年7月以来、約11年ぶり。国賓としての訪韓で、会談前には儀仗(ぎじょう)隊による歓迎式が行われた。【慶州・日下部元美、北京・畠山哲郎】

毎日新聞

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