イラン、核査察を最大3カ月受け入れ継続 IAEAと合意
国際原子力機関(IAEA)は21日、イランが通告した23日以降の核施設の抜き打ち査察受け入れ停止後も、一時的な措置として最大3カ月は必要な査察を継続できることで同国と合意したと発表した。イラン国内で拘束中の米国民の処遇に関する対話も模索されており、米国のイラン核合意への復帰を視野に入れた動きが出始めている。
イランは2015年に主要6カ国(米英仏独露中)と結んだ核合意に基づき、IAEAによる核施設への抜き打ち査察を認める「追加議定書」をこれまで履行してきたが、23日からこの履行を停止すると表明。これを受け、IAEAのグロッシ事務局長が20日からイランを訪問し、サレヒ原子力庁長官やザリフ外相と会談した。
IAEAは21日にイランとの共同声明を発表し、イランはIAEAとの保障措置協定を順守するとした上で、「追加議定書」の履行を停止した後も、必要な検証や監視を継続することで合意したことを明かした。
協議を終えたグロッシ氏は21日夜、ウィーンで記者団に「集中的に協議し、妥当な結果が得られた」と述べた。ただし今回の合意は一時的な措置に過ぎないと指摘。「安定的で維持可能な状態のためには、政治的な交渉が必要だ」として、今後の交渉進展に期待を寄せた。
イランは核合意で経済制裁の一部解除と引き換えに核開発の制限に同意。しかしイランを敵視するトランプ前米政権は18年に一方的に核合意から離脱し、イラン産原油禁輸などの経済制裁を発動した。反発したイランは核合意からの逸脱に踏み切り、米とイランの対立は深まった。
20年11月にはバイデン米大統領が当選を確実にしたが、27日にイランで核開発を主導したとみられる科学者が暗殺される事件が発生。これを受けてイラン国会は同12月、核合意を逸脱して核開発を進める法律を成立させ、年明けにはウラン濃縮度を20%に引き上げるなど違反を繰り返していた。それでもブリンケン米国務長官が18日、イランと「対話する用意」があると表明したことを受け、査察受け入れを継続し、最悪の事態を回避した。
一方で米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は21日にCBSテレビ番組に出演。イラン国内で拘束されている複数の米国民の解放に向けて、イラン政府と連絡を取り始めたことを明かした。両国は外交関係を持たないことから、永世中立国のスイスを通じて話し合いが模索されている模様だ。
サリバン氏は核合意への復帰の可能性についても、「(バイデン氏は)イランに核合意を厳密に順守させるために話し合う用意がある」と述べた。【ベルリン念佛明奈】
◇米国の譲歩引き出す外交戦略か
イランがIAEAとの間で核施設の査察について最大3カ月の継続で合意した背景には、バイデン米政権の譲歩を早期に引き出すための硬軟取り交ぜた外交戦略があるとみられる。今後、反米の保守強硬派の候補が優勢とされる今年6月の大統領選を視野に入れ、対米交渉でどこまで成果を上げられるかが焦点となりそうだ。
イランは米国に対して経済制裁解除の先行実施を求め続けている。最高指導者ハメネイ師は17日のテレビ演説で「口約束は何の役にも立たない。今度こそは(米側に)行動を求める」と主張。イランがウラン濃縮度の引き上げなど核合意からの逸脱をやめるのは、米国が制裁を解除した後になるという原則的な立場を改めて示した。
一方、今回のIAEAとの合意は、イランが表明していた核施設の抜き打ち査察の受け入れは予定通り停止するものの、一部の査察は認める妥協案といえる。
強硬派主導の国会が昨年12月に制定した法律によって、合意逸脱や抜き打ち査察の受け入れ停止を義務づけられている穏健派のロウハニ政権としては、国内で法の枠を守りつつ、米国を含む国際社会と交渉していく時間的余裕を確保した形だ。
米国の制裁によって原油輸出をほぼ封じられ、イラン経済は厳しい状況が続く。制裁解除が実現しないまま6月の大統領選を迎えれば、強硬派の新政権が誕生し、核合意の存続が危機的状況を迎える可能性が出てくる。米イランの双方にとって時間は限られている。【カイロ真野森作】
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