プーチン露大統領、新START1年無条件延長を提案 米は追加条件求め拒否

2020/10/17 10:35 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ロシアのプーチン大統領は16日、来年2月に期限を迎える米露の新戦略兵器削減条約(新START)について、無条件で1年延長することを米側に提案した。だが、現在の条約が米側に不利と批判するトランプ政権は追加条件を求めてプーチン氏の提案を拒否。11月3日の米大統領選までにさらなる譲歩を引き出したい考えとみられるが、歩み寄りは難しい状況だ。

 露大統領府によると、プーチン氏は16日の安全保障会議で、新STARTについて「軍拡競争の抑止や軍備管理において重要な役割を果たしていた」と改めて指摘。これまでは現条約の5年間延長を求めていたが、延長期間を最低で1年に縮め、「中身のある交渉」を今後も続けることを提案した。

 一方、米国のオブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は16日の声明で、プーチン氏の提案を「成功の見込みがない」と指摘。現条約を1年延長する代わりに、両国が条約対象外のものも含む全ての核戦力を凍結することを提案していると明らかにし、「これが双方にとって有益だ」と受け入れを求めた。

 新STARTは配備戦略核弾頭数や大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの運搬手段の数を制限するが、未配備の弾頭や射程の短い戦術核は対象外だ。米側はこれまでの米露高官協議で、中国の将来的な参加や、ロシアが増強する戦術核の制限などを新たな条約に含めることを提案。米大統領選までに枠組みの合意を求め、ビリングスリー大統領特使(軍縮担当)は露メディアの取材に、選挙までに合意がまとまらない場合はさらに条件を引き上げることを示唆した。

 これに対し、露側は米国の提案を「不平等」と批判。リャプコフ露外務次官は「平等な取引ならあり得るが、それをまとめるには時間がかかる」と指摘し、条約失効までの時間が限られる中、現条約の延長を優先する考えを示していた。

 米露は今月5日にもフィンランドで協議を行うなど交渉は継続しており、双方とも当初の提案から歩み寄りは見せている。だが、米民主党から大統領選に出馬するバイデン前副大統領はロシアが求める現在の条約の延長に前向きとされており、プーチン政権は選挙まで追加条件の受け入れには応じない考えとみられる。一方、トランプ政権はオバマ前政権時代に締結された現条約に新たな条件を加えて外交成果とすることにこだわっており、両国の隔たりはまだ埋まりそうにない状況だ。【モスクワ前谷宏】

毎日新聞

国際

国際一覧>

注目の情報