「ポピュリズムへの防波堤」目指す仏マクロン新党 欧州議会選まで1週間

2019/05/16 17:57 

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 【ストラスブールで賀有勇、ブリュッセル八田浩輔】今月23~26日に欧州連合(EU)全域で行われる欧州議会選挙まで1週間。親EUの旗振り役であるフランスのマクロン大統領の政党「共和国前進」は、初めての欧州議会選を迎える。各地でEUに懐疑的なポピュリズム(大衆迎合主義)政党の躍進が見込まれる中、「防波堤」として存在感を発揮できるのか、注目が集まる。

 今月11日、共和国前進は仏東部ストラスブールで大規模な選挙集会を開いた。ドイツとの国境に近いストラスブールは両国の係争に翻弄(ほんろう)された歴史があり、「欧州の平和は仏独の和解から」として欧州議会が置かれた欧州統合を象徴する都市だ。

 「たった5年で世界は様変わりしてしまった」。集会で同党から出馬したロワゾー前欧州問題担当相がポピュリズム政党や極右勢力との対決姿勢を鮮明にし、欧州の価値観を守り抜く決意を示すと、EU旗を振る支持者たちは大歓声で応じた。

 今回の選挙では、議会の安定を長年支えてきた親EUの中道右派、中道左派の2大会派が過半数を割る公算が大きくなっている。格差の拡大に伴う中間層の縮小が、既存政党離れとポピュリズム勢力の台頭を招いているのだ。

 一方で、世論調査によれば、有権者のEU自体への支持は過去最高の水準にあり、共和国前進を中心とする新興の親EUリベラル政党も支持を広げている。

 集会では、選挙後に共和国前進との会派形成を模索するベルギーとオランダの親EU政党の関係者も参加し、共闘をアピール。2大会派が衰退する選挙後の議会で、共和国前進を中心とする新会派がキャスチングボートを握る可能性もある。

 マクロン氏は今年3月、「親愛なる欧州へ」と題してEU諸国の主要紙に寄稿し、今回の選挙を「欧州のルネサンス(再生)の時」だと強調。移民排斥を掲げるイタリア与党の右派「同盟」やフランスの極右「国民連合」を念頭に「解決策も提示しないナショナリストに人々の怒りにつけこむ隙(すき)を与えてはいけない」と呼びかけた。

 EUをより強力な組織とする改革に意欲的なマクロン氏にとって、EU懐疑派と真っ向対決する欧州議会選は負けられない戦いだ。

 ただ、マクロン氏の国内支持率は低迷する。ストラスブールの会場の外には反政権運動「黄色いベスト」の参加者らが詰めかけ「マクロンは辞職しろ」とシュプレヒコールを上げた。マクロン氏は所得減税などの対応策でガス抜きを図るが、仏ラジオRTLは「敗れれば、マクロン氏にとっては黄色いベスト運動を受けて発表したさまざまな政策の『否決』を意味する。政治的に大きな痛手となる」と指摘する。

 15日に仏BFMテレビが公表した政党別支持率では、共和国前進は23.5%で首位となったが、1.5ポイント差で極右の国民連合が迫っている。

毎日新聞

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