振るわぬ北米、冷え込む中国…「脱ゴーン」課題山積 日産中期経営計画下方修正

2019/05/14 21:05 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日産自動車が14日、2023年3月期まで6年間の中期経営計画の目標を下方修正し、カルロス・ゴーン前会長が主導した拡大路線から転換する姿勢を鮮明にした。だが、苦戦する米国市場などの持ち直しは容易ではない。業績回復には仏ルノー、三菱自動車を加えた日仏3社連合の連携強化が不可欠だが、ルノーが持ちかける統合案に日産は否定的だ。「脱ゴーン」の課題は山積している。【小坂剛志、和田憲二、本橋敦子】

 「業績低迷からの脱却が最優先課題。昨年の(ゴーン前会長が逮捕された)事件で、ルノーとの関係を含め事業面に集中できなかった時期もある。不安を与えて申し訳ない」。日産の西川広人社長は記者会見で陳謝した。

 西川社長が明確にしたのは、ゴーン前会長が進めてきた拡大路線との決別だ。1999年にルノーから最高執行責任者(COO)として日産に送り込まれたゴーン前会長は、数値目標を掲げて各部門の責任を明確化する「コミットメント経営」で、巨額赤字に陥っていた日産の業績をV字回復に導いた。だが20年近くトップに君臨し、身の丈よりも高い数値目標を掲げた拡大路線は経営にひずみをもたらした。

 その象徴が主力の北米市場だ。販売台数を追って過剰な値引きをした結果、収益が大きく悪化。日産は値引き原資の販売奨励金を抑制し始めたが、トヨタ自動車など他社に比べて依然高水準で、ブランド力低下を招いて販売も低迷。18年度(19年3月期)の米国販売台数は前年度比9・3%減の144万台まで落ち込み、2・1%増だった国内や2・9%増の中国と対照的になった。西川社長は「トップからのプッシュが(米国の事態を)招いた。時間をかけて回復したい」と語った。

 今後の成長に向け、日産は、電気自動車(EV)やハイブリッド車など電動車の世界販売を18年度の4%から22年度に30%に引き上げる方針。西川社長は「日欧ではガソリン車を半分以下とし、グローバルで20以上の新型車を投入する」と述べたほか、事業の効率化策を7月にも公表する考えを示し、新たな目標達成に意気込む。

 しかし、ブランド回復は容易ではなく、中国市場のさらなる冷え込みも懸念され、実現のハードルは高い。20年3月期の売上高は前期比2・4%減の11兆3000億円、最終(当期)利益は46・7%減の1700億円を見込む。減収減益は2年連続だ。

 一方、経営立て直しの土台となる3社連合の関係は微妙なままだ。4月中旬にはルノーが日産に対し、共同持ち株会社を設立し、傘下に両社をぶら下げる経営統合を提案。だが、日産は否定的だ。

 日産は現在、6月下旬の定時株主総会に向け、新取締役体制の準備を急いでいるが、日産がルノーの要求を拒否し続ければ、大株主のルノーが日産提案の人事案に反対する可能性もゼロではない。3社連合のバランスを取っていたゴーン前会長の退場後、経営正常化に向けてどのようなかじ取りを進めていくのか。重い課題を突きつけられている。

 ◇キーワード「日仏3社連合」

 日産自動車、仏ルノー、三菱自動車による国際的な企業連合。2018年の世界販売台数は前年比1.4%増の1075万台で首位の独フォルクスワーゲン(VW)グループ(1083万台)に次ぐ2位。1999年、経営危機に陥っていた日産を救済するためルノーが出資して生まれた日仏連合が始まり。世界販売台数は00年に約500万台だったが年々拡大。16年には、燃費不正問題で販売不振に陥った三菱自に日産が34%出資して現在の3社体制となり、その後1000万台規模に達した。ルノーは日産株式の43.4%を保有する一方、日産が持つルノー株は15%にとどまる。資本面ではルノーが優位だが、販売台数など業績面では日産がルノーを上回る。

毎日新聞

経済

経済一覧>

注目の情報