西日本豪雨:孤立集落に漁船で水 オカザキさんに住民感謝

2018/07/12 11:38 

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 オカザキさん、ありがとう−−。豪雨による無数の土砂崩れで道路が寸断され、断水した愛媛県宇和島市吉田町。豪雨が明けた8日、思わぬ贈り物があった。生活用水を水槽に積んだ漁船が突然現れ、トイレにも困っていた住民に「恵みの水」を届けたのだ。漁師の名前は「オカザキ」としか分からない。住民は感謝の念を募らせている。

 宇和海に面した同市吉田町は入り組んだ海岸線の間際まで山が迫り、海沿いに集落が点在する。6、7日の豪雨で背後の山が崩れ、小学4年の男児ら計11人が犠牲になった。集落を結ぶ道路が通れなくなり、水道設備も破損して断水が起きた。

 翌日には市などが給水車による支援を始めたが量は限られ、飲料水が確保できた程度。住民は「洗顔やトイレなどに節約して使ってもすぐに底を突いた。押し寄せた土砂を洗い流すこともできないまま途方に暮れた」と話す。

 善意の水はそんな時に届いた。雨が上がった8日夕、同市吉田町白浦のみかん農家、白砂一博さん(48)、園枝(そのえ)さん(43)夫妻は岸に近づく大きな漁船に気づいた。

 半島を挟んで南に10キロ近く離れた、宇和島湾に浮かぶ九島(くしま)の船だった。水槽に満杯の水を積んでおり、真珠養殖に使う大きな容器や子供用のビニールプールに移し替えられた。乗っていた漁師数人に尋ねると、白浦地区に友人がおり「恩返し」という。1人は「オカザキ」と名乗ったが、水を届けるとすぐに出港した。

 宇和島市では9日以降、最高気温が30度を超す暑さが続く。水くみ場にはひっきりなしに住民が訪れ、女性は「顔が洗え、さっぱりした」と表情も晴れやか。白砂さんは「いつか、直接お礼が言いたい」と話している。【今野悠貴】

毎日新聞

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