阪神大震災情報誌:高齢被災者の「友」終刊へ

2018/05/17 12:33 

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 阪神大震災で被災した高齢者向けに1999年から発行されてきた季刊情報誌「にっち倶楽部」が6月の夏号で終刊する。「親世代を勇気づけよう」と手弁当で取材してきたスタッフ自身も高齢となり、編集継続が難しく創刊20年目を区切りとした。久野幸子編集長(72)=兵庫県芦屋市=は「人生の先輩から学ぶことの多い歳月でした」と、寂しさの中に達成感も漂わせる。

 グラフィックデザイナーの久野さんは、震災で友人を亡くした母親の口数が減り元気をなくしていたのを見て、震災4年後の99年6月、子育てが一段落した40〜50代の仲間とにっち倶楽部を始めた。

 大きな活字で高齢者のエッセーや健康情報を充実させた。当初はB5判約40ページで隔月発行。2002年にタイトルと同名のNPO法人を設立し、誌面を通じて新潟県中越地震(04年)や東日本大震災の被災地の支援もした。季刊となった06年からは約90ページ仕立てとなった。

 創刊当初から人気の連載「百歳の肖像」には約100人が登場。100歳を迎えてなお人生を謳歌(おうか)するお年寄りの半生から読者もスタッフも生きる力をもらうことが多かった。取材したスタッフの佐藤博子さん(67)は「60歳で定年を迎えても100歳まで40年もある。人生は定年後から」と説かれ「何かを始めるのに遅いということはないと気づかされた」と話す。

 だが、スタッフも60〜70代となり、体調を崩しがちに。終刊を昨年12月の冬号で予告すると、国内外の読者から惜しむ声が寄せられた。

 最終号は1000部発行。ジュンク堂書店の三宮、芦屋、神戸住吉、西宮の各店と大阪本店で6月1日から販売される。税込み500円。問い合わせは「にっち倶楽部」(0797・35・5160)。【生野由佳】

毎日新聞

社会

社会一覧>

注目の情報